におい・かおり環境学会誌
Online ISSN : 1349-7847
Print ISSN : 1348-2904
ISSN-L : 1348-2904
47 巻, 3 号
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特集(悪臭防止法対象外の悪臭)
研究論文
  • 松原 英隆, 今村 弥生, 内村 恵梨子, 川上 京, 浦野 紘平
    2016 年 47 巻 3 号 p. 207-221
    発行日: 2016/05/25
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    従来,煎茶の熱湯浸出液に含まれる香気物質は,gas chromatography-olfactometry (GC-O) を利用したaroma extract dilution analysis (AEDA) から得られるflavor dilution (FD) factorによって評価されている.しかし,この方法は,長時間かつ複雑な分析技術が要求される.本研究では,ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い,揮発性香気物質を迅速かつ容易に特定する方法の開発を試みた.GPC分画により,香気物質のGC-MSピークは,他のピークから明確に分離され,香気物質の検出が容易になった.また,GPC画分ごとの各物質の香気強度の合計値と,画分の香気強度の測定値との比較から,寄与が大きい香気物質を確認できた.これらの方法により,煎茶の豊な香りには,香気物質のlinalool,β-ionone,trans-geraniol,cis-jasmone,phenylacetaldehyde,2-methoxy-4-vinylphenol,coumarin,4-hydroxy-2,5-dimethyl-3(2H)-furanoneおよびvanillinが含まれる一方,一般に好ましくないとされるtrans-3-hexenoic acidやindoleも含まれていることが判明した.

  • 森 一郎, 矢吹 雅之, 石田 浩彦, 柏木 光義
    2016 年 47 巻 3 号 p. 222-229
    発行日: 2016/05/25
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー

    ヒト尿の腐敗に伴い生成する臭気成分の一つとしてフェノール化合物があるが,これらは排尿直後の尿中においては大部分がグルクロン酸もしくは硫酸が結合した無臭の抱合体として存在することが知られている.今回,腐敗尿中の抱合体をLC-MS/MSにより分析したところ,グルクロン酸抱合体のみが分解していることが確認された.これよりグルクロン酸抱合体の分解抑制により尿臭気の生成を抑制できるものと考え,抱合体分解酵素(β-グルクロニダーゼ)の阻害剤を探索した.香料化合物約200種よりスクリーニングを実施した結果,8-シクロヘキサデセン-1-オンをはじめとする大環状化合物が優れた阻害効果を有し,フェノール化合物等の尿臭気の生成抑制に有効であることを見出した.

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