におい・かおり環境学会誌
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44 巻 , 3 号
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特集(期待される可視光応答型光触媒)
  • 岩橋 尊嗣
    2013 年 44 巻 3 号 p. 173
    発行日: 2013/05/25
    公開日: 2017/10/11
    ジャーナル フリー

    2009年(40巻,No. 2)に,“これからの光触媒の市場動向”という題目での企画を特集している.その中で,特にJISとISOに関する進捗状況を掲載し,研究関連では可視光型光触媒の開発状況について掲載している.また,特集冒頭において,本誌におけるこれまでの光触媒に関連する掲載記事についても総括している.1972年“Nature”に掲載され一躍注目を浴びた酸化チタンの光活性機能も,昨年(2012年)ちょうど40年の節目を迎えた.関連産業の1兆円規模への成長も期待されて久しいが,そのハードルは高くブレークスルーするには今一度の技術革新が必要であるかも知れない.特に,紫外光型光触媒から可視光型光触媒の実用化が期待され続けてきたが,これまで能力的に満足できるレベルには到達していないのが実情である.

    本特集では,独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において“循環社会構築型光触媒産業創生プロジェクト”が発足し,2007年~2012年の5年間にわたって行われたプロジェクトの成果の一部を紹介する.本プロジェクトは,東京大学橋本和仁教授をプロジェクトリーダーとした典型的な産官学共同体として遂行されたものである.2010年8月にNEDO環境部から発刊されたプロジェクト資料に,研究開発項目として五つのテーマが掲載されているので,以下に紹介する.①光触媒共通サイエンスの構築,②光触媒基盤技術の研究開発,③高感度可視光応答型光触媒内装部材の開発,④酸化チタンの新機能開発,⑤光触媒新産業分野開拓.これらのテーマに沿って,新規な可視光応答型光触媒材料の開発が行われ,実用化に向けてのさまざまな取り組みが進められた.

    本特集では,まず橋本氏・砂田氏(東大先端科学技術研究センター),宮内氏(東工大大学院)らに「生活空間に存在するリスク低減を目指した可視光応答型光触媒の開発」という題目で執筆していただいた.本誌でも2009年(40巻,No. 2)にプロジェクトの途中成果を掲載しているが,今回はプロジェクト終了の総括的意味合いも含めての内容となっており,成果の全体像が理解できるようにまとめていただいた.

    第2編では黒田氏(昭和タイタニウム㈱)に「高感度光触媒材料の開発」という題目で執筆していただいた.本プロジェクトの最重要部の一つと言っても過言ではない.これまでに報告されている窒素ドープ型酸化チタンに比べ,プロジェクトで開発された触媒は,可視光領域で圧倒的に優れた酸化活性を発揮することが証明され,すでに量産化も可能とされる.

    第3編では栗屋野氏(盛和工業㈱)に「光触媒技術による空気浄化」という題目で執筆していただいた.長年培った光触媒フィルターに関する情報(ノウハウ)を細かく分析することで,長所・短所を的確かつ客観的に示していただいた.光触媒フィルターの活用を考えている方々には,大いに参考となる情報である.

    長年にわたって積み上げられてきた光触媒の市場は,およそ800億円/年とも言われる.50億円近い国費を投入して行われたプロジェクトの成果に対する期待は大いに膨らむ.是非とも多くの企業が参入できるように門戸を広げていただきたい.そして日本発の光触媒技術が,産業として国内はもちろん世界に拡大していくことを切に願う次第である.

    最後に,ご多忙中にも関わらず本特集にご賛同いただき,執筆をご快諾いただいた方々に本紙面を借り深謝申し上げます.

  • 砂田 香矢乃, 橋本 和仁, 宮内 雅浩
    2013 年 44 巻 3 号 p. 174-183
    発行日: 2013/05/25
    公開日: 2017/10/11
    ジャーナル フリー

    紫外光しか吸収しない酸化チタンをベースに,その表面に銅イオンや鉄イオンからなるアモルファス状のクラスター助触媒を担持することで,室内光下でも十分な光触媒活性を発揮する新規な可視光応答型光触媒材料を創製した.それらの材料は,可視光下で空気浄化や抗菌・抗ウイルス,セルフクリーニングなど多機能な性能を示した.抗菌・抗ウイルス効果を中心に病院や空港で製品に近い材料で実証試験を行うなど,光触媒製品のマーケット拡大をめざした取組みについても紹介する.

  • 黒田 靖
    2013 年 44 巻 3 号 p. 184-191
    発行日: 2013/05/25
    公開日: 2017/10/11
    ジャーナル フリー

    NEDO「循環社会構築型光触媒産業創成プロジェクト」にて開発された,3種類の高感度光触媒材料について紹介する.十面体酸化チタンは,紫外光照射下において,最高の光触媒活性を示した.銅系化合物修飾酸化タングステンは,可視光照射下において,VOC分解活性が高い.銅系化合物修飾酸化チタンは,抗菌・抗ウイルス効果が非常に強い.これらの材料を応用した最終製品が開発されつつある.

  • 栗屋野 伸樹
    2013 年 44 巻 3 号 p. 192-200
    発行日: 2013/05/25
    公開日: 2017/10/11
    ジャーナル フリー

    酸化チタンを代表とする光触媒は日本発祥の技術であり,また環境材料として我々の身近に幅広く応用されている.光触媒にはあらゆる有機物を酸化分解できる「光誘起分解性」と表面が水に非常によくなじむ「光誘起超親水性」の2つの大きな機能がある.本文では「光誘起分解性」を利用した光触媒フィルタが搭載された空気浄化システムについての概要,「脱臭」「揮発性有機化合物(VOC)の分解除去」「抗菌・抗ウイルス」の3大機能,今後の光触媒による空気浄化について説明する.

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