放屁の有無の測定は,腸管運動の機能の評価において重要である.とくに手術後の患者では,腸管の動きが抑制されるため,放屁の出現は,腸管の運動が回復したことを正確に示し,経口摂取開始の指標となる.放屁を客観的に評価する放屁モニターの,指標として用いることができるガスは,大気中にほとんど含まれず,放屁中に必ず存在する事が必要条件であり,炭酸ガス(CO
2)と水素(H
2)が適する.CO
2は呼気に5%含まれるため,部屋の換気や部屋にいる人数により大気中のCO
2は変動するが,H
2は,呼気中に含まれる濃度がCO
2に比べるとはるかに少ないため,測定に影響が少ない.H
2を指標とした小型で,簡便な放屁モニターを試作し,CO
2アナライザーと比較した結果,信頼性が高く,CO
2アナライザーより優れていた.今後,H
2を指標とした放屁モニターの臨床での実用化が期待される.
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