におい・かおり環境学会誌
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43 巻 , 5 号
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特集(東日本大震災)
  • 諸井 澄人
    2012 年 43 巻 5 号 p. 319
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    このたびの東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに,被災された方々が1日でも早く復興されることを祈念いたします.
    東日本大震災が発生して約1年半が経った現在,様々な問題がまだあるものの,復興に向けての活動が進められている.
    災害は,再び起こる可能性をもっており,事故等のように再発防止策をとることができない.したがって様々な教訓を記録しておき,人的にも物的にも被害を最小限に抑え,災害の発生に備えることで対応することが重要と考える.
    まだ復興の途上ではあるが,今回は,悪臭問題を中心に東日本大震災の発生直後からその後の対応等について特集し,今後の災害発生に際しての資料として活かしていただけたらと考える.
    本特集にあたっては,行政的な面から自治体の方2名と調査,対策等の技術面で2名の方にご執筆頂いた.
    安倍氏(宮城県環境生活部環境対策課)には,「東日本大震災による被災地の環境・衛生の確保への取組」という題目で執筆していただいた.本稿では,震災の発生は,悪臭だけでなく,アスベストはじめダイオキシン類,有害大気汚染物質等の大気汚染の問題も発生すること,また震災発生後の廃棄物処理においても大気汚染の問題を考慮することの重要性が述べられており,建物の破損,解体工事等通常とは異なる状況の中で,大気モニタリングをおこない,情報を各方面に素早く周知することが重要であることがうかがえる.
    古澤氏,小澤氏,菊池氏(岩手県沿岸広域振興局宮古保健福祉環境センター)には,「災害廃棄物処理に係る悪臭対応等を含めた現地機関の取り組みについて」という題目で執筆していただいた.
    廃棄物処理についても,廃棄物だけの問題ではなくそれに付随する悪臭,害虫の発生,火災対応等様々な問題が発生することが,本稿よりよくわかる.特に現地機関として問題に直面されていることもあり,記述されている内容は大変具体的であり,貴重な内容である.
    加えて,災害発生時からの廃棄物の処理について,適宜各種通知を織り交ぜて時系列に記述されており,行政面での対応と合わせて理解していくことができる.
    行政面では,情報の周知,共有化等「つなぐ」,「連携」という言葉がキーワードになってくるのではないかと考える.
    樋口能士氏(立命館大学理工学部),樋口隆哉氏(山口大学大学院理工学研究科),祐川英基氏(祐川環境カンファレンス㈱),村上栄造氏(㈱朝日工業社),増田淳二氏(大阪市立環境科学研究所)には,「東日本大震災における被災地の臭気問題に関する現地調査」という題目で執筆いただいた.
    本稿においては,現地での詳細な調査をもとに,臭気の発生状況およびその対策について述べられている.特に地域ごとの臭気の発生状況は,大変興味深い内容と考える.被災地での悪臭は,魚介類等に起因する腐敗臭が主であるが,その他に燃料油タンクからの油臭,廃棄物からの硫化水素数等,詳細な現地調査を実施しないと得られない知見である.
    また,施設ごとに整理された対策方法も今後の対応に大変参考になるかと考える.
    最後に本協会の震災対応について「東日本大震災の津波被災地における悪臭対策支援に関する報告」という題目で報告させていただいた.
    震災発生直後においては支援物資の提供,その後は,現地での視察,アドバイスを含めた情報発信,さらには技術的な支援と状況に応じて必要とされる支援の内容が,異なってくることが分かる.被災地で求められていることが何であるかを把握した上で,タイムリーにその求めに対応することが重要であることがわかる.
    復興に向けての活動が進んでいる中,まだまだ多くの問題が存在している.特に現時点では,物質的な内容に加え,被災者の方々のメンタル面での問題の解決も重要になってきている.このような状況の中で,今後どのような支援ができるのかを考えていきたい.
    最後になりましたが,本特集を企画するにあたり,ご多忙中にもかかわらずご快諾いただいた著者の方々に,本紙面を借り深く感謝申し上げます.
    特に安倍氏(宮城県環境生活部環境対策課),古澤氏,小澤氏,菊池氏(岩手県沿岸広域振興局宮古市宮古保健福祉環境センター)には,復興業務のご多忙の中,ご執筆頂き深く感謝申し上げます.
  • 安倍 睦夫
    2012 年 43 巻 5 号 p. 320-326
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    宮城県では,環境省等の支援を受けながら,東日本大震災の津波被災地において,アスベストのほか,ダイオキシン類や重金属類等の有害大気汚染物質,窒素酸化物や浮遊粒子状物質等について大気環境モニタリングを定期的に実施した.その結果,環境基準や指針値が設定されている項目については環境基準等を満足し,アスベストのように環境基準等が設定されていない項目については,通常の一般大気環境とほぼ変わらない値であった.
    アスベスト対策としては,大気環境モニタリングのほか,がれきの散乱場所のパトロールや被災建築物の解体工事現場の立入検査の強化,関係団体等に対する飛散防止対策徹底の要請等も行い,飛散防止対策の徹底や災害廃棄物の適正処理を促進した.
    水産加工場から流出した魚介類等の腐敗による悪臭および衛生害虫の発生への対策については,市町からの要望に応じて自衛隊による駆除作業を調整するとともに,衛生講習会を開催するなど,市町を支援した.
  • 古澤 勉, 小澤 慶一, 菊池 憲夫
    2012 年 43 巻 5 号 p. 327-334
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    東日本大震災により生じた「災害廃棄物」は,膨大であるとともに,多種多様なものが混在しており,一定の期間で適正に処理していくには,困難を極める状況であった.
    また,この災害廃棄物を処理していくうえで,早急に対応が必要であったのが,魚介類等腐敗物に係る悪臭・害虫抑制であった.
    本報告では,被災直後からこれまでの,岩手県としての災害廃棄物処理に係る主な取り組みに併せ,悪臭・害虫抑制事例を初め,火災対応等の宮古地域における現地機関としての主な取り組み内容について概説する.
  • 樋口 能士, 樋口 隆哉, 祐川 英基, 村上 栄造, 増田 淳二
    2012 年 43 巻 5 号 p. 335-353
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東日本大震災では,地震直後の津波により沿岸地域に極めて甚大な被害をもたらしたが,漁港に保管された大量の魚介類の散乱などの影響により,一部地域では大規模かつ強烈な悪臭が発生した.本報告では,被災地における悪臭の実態を数回にわたって視察し,簡易な方法で臭気測定を行った結果を集約した.被災地では極めて広範かつ多様な形で臭気発生源が依然として残存しているが,それらのうちの主要な発生源に対して実現可能な悪臭低減対策を提言した.
  • 重岡 久美子, 岩崎 好陽, 諸井 澄人, 中辻 康, 大京寺 信隆, 石井 進
    2012 年 43 巻 5 号 p. 354-361
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    東日本大震災による津波の被災地では,水産加工施設,養殖施設に蓄えられていた魚介類が流れ出,腐敗が進み,周辺に深刻な悪臭被害を生じさせている.気温が高くなるにつれて臭いは増し,精神的な不快感が懸念されている.
    そこで本協会では,臭気の学術団体としての災害支援の方策を検討し,支援物資の提供,情報発信,消臭剤の効果判定,窓口の設置,情報の共有化を行った.また,被災地に入り,被災地の状況を確認し,現地の状況に応じた悪臭対策について,市町担当者等に助言・指導等を行った.今後,腐敗した魚を仮埋設する被災地においては,本協会が作成した「腐敗した魚介類の悪臭対策について」を参考に進めてもらうよう指導した.
研究論文
  • 龍口 巌, 松岡 龍雄, 泉 玲子, 伊地智 節, 柴田 浩志
    2012 年 43 巻 5 号 p. 362-366
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,ウーロン茶エキス,甜茶エキス,緑茶エキス,柿渋エキスの4種のポリフェノールを組み合わせたポリフェノール混合エキス(抗ノネナールPolyphenol Complex,以下抗ノネナールPCと記載)に,加齢臭の主な原因である2-ノネナールへの高い消臭効果があることを見出した.更に,加齢臭が気になるあるいは加齢臭を指摘された事がある43歳〜75歳の日本人男性を対象に,抗ノネナールPCを配合した石鹸を4週間継続使用させる“加齢臭低減効果確認試験”を実施した.結果,使用前に比べて,使用2週間後,使用4週間後に,2-ノネナール量,臭気判定士による臭気強度および被験者の体感(主観評価)を表すVisual analogue scale (VAS)値が有意に改善され,抗ノネナールPCを配合した石鹸の加齢臭低減効果が確認された.
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