におい・かおり環境学会誌
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ISSN-L : 1348-2904
40 巻, 1 号
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研究論文
  • 門脇 亜美, 佐藤 淳太, 大津 香織, 坂内 祐一, 岡田 謙一
    2009 年 40 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2009/01/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    映像や音声など他のメディアと共に香りを用いる場合には,時間に伴って変化する映像や音声情報に合わせて香りの提示を制御する必要がある.特に映画のシーンには複数の物体が同時に描写されていることが多く,それに合わせて複数種の香りを配信することによりさらに臨場感が高まると考えられる.
    本研究の目的は,微小時間中に複数の香りを視聴者に認知させる提示手法を導くことであった.我々は,香りが空間に残留しないパルス射出を用い実験を繰り返しているうちに,人間は一呼吸中で2種類の香りが切り替わることを認知できるという知見を得た.そこで,一呼吸中で2種類の香りを提示した際の嗅覚の時間特性を測定した.2種類の香りを分離し感じることができる2度のパルス射出の最短射出間隔を「分離検知閾値」,さらに両方の香りの種類まで特定できる最短射出間隔を「分離認知閾値」と定義し測定した.また,1度のパルス射出に対する「応答時間」および「感覚持続時間」も合わせて測定した.
    測定の結果,応答・感覚持続時間と分離検知・認知閾値の結果には個人差が生じた.しかし,分離認知閾値と感覚持続時間は相関が見られ,感覚持続時間が長時間のグループでは分離認知閾値も大きいことが分かった.微小時間中に複数の香りを視聴者に認知させるためには,各人の感覚持続時間を測り,それに合わせて香りを提示する時間間隔を定める必要がある.それによって,一呼吸という短い間に2種類の香りを感じることが期待できる.このような香りの提示方法を応用することによって,例えば映画のシーンに複数の物体が同時に描写された場合,そのシーンに合わせ,これまで以上に臨場感のある香りの演出が可能になると期待される.
技術論文
  • 溝口 忠, 高橋 誠, 小野 大介, 堀 雅宏, 谷口 眞
    2009 年 40 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2009/01/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    賃貸集合住宅で居住者退去後に問題となる前居住者の生活残留臭の除去方法を実験により検討した.処理法としては3種の植物性オイルミスト,グラフト重合高分子塗膜剤処理,オゾン処理を取り上げた.ペット臭・煙草臭・芳香臭を着臭させたペーパータオルについてスクリーニング試験を行い,比較的効果の高い方法を実住宅に適用して評価した.塗膜処理はスクリーニング試験では有効であったが,実住宅では大きな効果は見られなかった.オゾン処理は10ppm 14時間処理で臭気強度4から2に低下することができた.これらの検討を通して残留臭気の除去ついての知見が得られた.
技術速報
  • 石川 紫, 唐牛 聖文, 竹内 庸夫, 蓑毛 康太郎, 大塚 宜寿, 野尻 喜好, 柳沢 幸雄
    2009 年 40 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2009/01/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    鋳物作業場内作業環境空気を対象に,VOC定性分析を行い,原料由来の熱分解物質の存在について考察した.また,VOC72種,アルデヒド類7種ならびにケトン類2種の定量分析を行い,その濃度から閾希釈倍数を求め,注湯による空気質の変化について考察した.その結果,作業場内空気から原料由来の熱分解物質を含む非常に多種類のVOC物質が検出され,その中で閾希釈倍数が大きい成分はアセトアルデヒドとキシレンであった.
  • 古橋 拓也, 韓 珏
    2009 年 40 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2009/01/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    水蒸気が多量に発生する場合に,調理臭を除去する調理臭脱臭フィルタから放散されるにおい成分を分析し,においの放散を抑制する方策として調理臭脱臭フィルタに活性炭を混合することを検討した.一般家庭での調理臭を除去した調理臭脱臭フィルタを用い,湯沸しによる水蒸気により,調理臭脱臭フィルタから放散されるにおいを分析した結果,トリメチルシラノール,酢酸,酢酸ブチル,1-ブタノール,ノナン,デカン,ヘプタコサン,テトラコサンが放散されることがわかった.調理臭脱臭フィルタから放散されるにおいを抑制するために,調理臭脱臭フィルタに活性炭を混合することを検討した結果,アセトアルデヒド除去率を向上させ,においの放散を抑制する最適な活性炭混合率が存在することが判明した.活性炭10重量%混合時が,アセトアルデヒド除去率が最も良く,においの放散量が少ないことがわかった.
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