窒化炭素(C3N4)はダイヤモンドを凌ぐ体積弾性率を有する可能性を秘めた炭素系材料である.しかしダイヤモンドより高硬度な窒化炭素は未だ合成されておらず,成膜方法も確立されていない.本研究ではMicrowave-sheath Voltage combination Plasma (MVP) により生成したプラズマ中の発光種および発光強度比に関する基礎的な評価および異なる窒素流量比で作製した膜の炭素構造,組成および機械的特性について検討した.MVP法では低圧力でCNを主体としてN2+,N2,CH,Hαなどの発光種から構成されるプラズマを形成し,圧力およびガス流量比の変化により発光強度比の制御が可能であることが明らかになった.プラズマ中のCNの発光強度比の増加に伴い膜の窒素含有量が増加し,窒素含有量は最大1.9at.%であることが確認された.またN2+の発光強度比の増加に伴い炭素sp2結合が減少する傾向がみられた.
歯科治療における歯冠の作製は,鋳造法からCAD/CAMシステムによる切削法に変わりつつあり,近年ではセラミックス3D造形技術の適用が注目されている.本研究ではこのセミラックス3D造形技術に注目し,造形体の機械的特性や生体適合性,さらには審美性などの複数の機能を同時に付与するための革新的な造形プロセスの構築を目的としている.本稿ではとくに審美性に着目し,自然歯に近いカラ-グラデ-ションを達成するための造形条件について詳細な検討を行った.その結果,色調の異なる粉末と樹脂の配合率を変えることにより造形体の色調を制御可能であるということが明らかとなった.また,それらを多層化した際,目視では色調の境界は認められず,色調のグラデ-ションを作製可能であるということが示された.