宇宙航空研究開発機構(JAXA)では,国際宇宙ステーション(International Space Station, ISS)上の宇宙飛行士が船外活動(Extra Vehicular Activity, EVA)の際に用いるハンドレール(手すり)の上に実験装置を取り付けるという,新しい形態の汎用実験プラットフォームである「簡易曝露実験装置」(Exposed Experiment Handrail Attachment Mechanism,以降「ExHAM」(エックスハム)と呼ぶ)を開発し,現在運用している.ExHAMはその名のとおり,宇宙環境に試料を曝す形態の実験に適した実験プラットフォームであり,様々な種類の技術実証実験,科学実験を行っている.本稿では,ExHAMの特長およびこれまで実施されている実験テーマの概要について紹介する.
飛行中の航空機から搭載物を分離する場合,母機に衝突する等の事故を防ぐため,実飛行で行う前に分離特性を地上で検証することは不可欠である.これには,ドロップ試験等の風洞での分離試験とCFD解析が用いられている.今後のステルス等の趨勢を考えた場合,搭載物を内装化し,遷/超音速で分離することが要求されると考えるが,このような衝撃波等を伴う複雑な流れ場について,風洞での分離試験およびCFDによる解析ともにあまり確立されていないのが現状である.こうしたことから,防衛装備庁(当時防衛省技術研究本部)および川崎重工業(株)は,内装を含む搭載物の高速における分離時の空力現象を複合的に取り扱う研究(以下「本研究」という)を実施した.本稿は,本研究の中で行われた,キャビティ模型のCFD解析と風洞試験の比較についてまとめたものである.
本稿では,エアタクシーやジェネラルアビエーションへの用途を目的として小型電動航空機の開発機運が急速に高まっていることを示し,現在,世界中で研究開発が始まっている電動航空機を紹介している.また,日本航空宇宙学会航空ビジョン委員会のグリーンイノベーションの提言として電動航空機が挙げられていることを示すとともに,著者らの小型電動航空機に対する研究開発の試みとして,小型電動航空機のコンセプト機の提案と1/10スケール機の試作に関する試み,EV車用などに開発された電気モーターとリチウムイオンバッテリーを組み合わせた電動パワーユニットの開発とそれを小型機に搭載しての走行テスト,電動航空機用に特化した概念設計手法の開発を紹介している.最後に,高い利便性を有する小型電動航空機の出現が交通インフラに革命をもたらすことを述べている.