宇宙航空研究開発機構の航空技術部門では,エコウィング技術の研究開発事業において環境性能と経済性を向上させる空力技術及び構造技術の研究開発を行ってきた.本研究開発事業では,2020年代から2030年代に開発開始が想定される航空機への適用を目指し,航空機の抵抗低減や構造軽量化による燃料消費量削減及びCO2排出量低減を実現する技術と,空港騒音を低減するための設計基盤技術の研究を進めた.本研究開発事業の構造技術研究の一つとして,航空機複合材構造の一層の軽量化を目指して,高ひずみ軽量複合材構造設計技術の研究開発を実施した.この中で,プライドロップオフ最小化技術,高精度ポストバックリング解析技術,高荷重継手部設計技術(接着継手,ファスナ継手),自動積層機を用いた複雑曲面設計技術,薄層プリプレグ技術等の航空機構造の軽量化を目指した研究に取り組み,いずれも軽量化に資する可能性を示した.本稿では,これらの主要成果の概要を報告する.
2021年11月9日〜12日の4日間,第65回宇科連を開催した.開催時期のコロナ感染状況を予測することが難しく,今年の宇科連もオンライン講演会となった.企画当初の開催地を山形県山形市として準備を進めてきたが,オンライン変更後もオンライン拠点を山形市におき,山形コンベンションビューローおよび山形県,山形市の関係者および参加者のご協力を得て成功裏に終了することができた.ご協力頂いたすべての皆様に感謝する.本稿では開催結果の速報を紹介する.
第65回宇宙科学技術連合講演会は,史上初であった第64回に続いてオンラインで開催された.本会誌編集委員会では,昨年度に続き,学会誌という媒体を使って講演会の様子をアピールする場を提供することを目的とした企画を実施することとした.本企画は昨年度と同様,例年掲載している「開催報告」に先立って講演会全体の開催結果の速報と,オーガナイズドセッション(以下,OS)の内容および当日の議論を各OSのオーガナイザーの執筆により紹介する.本記事により,宇宙分野の研究開発動向をお伝えするとともに,来年度以降の学会参加を促す効果を期待する.