エコウィング技術の研究開発事業WP2において,現行技術を想定した220席級ベースライン機3機(Tube & Wingの767相当機,ダブルバブル胴体のHELNA0A, BWB)の概念設計と空港騒音評価を行った.さらに,前記3機に先進技術の効果を入れ,設計パラメータの最適化を行って,2030年代の開発開始を想定した将来機3機(767将来機,TRA2035A, BWB将来機)の概念設計を行った.将来機3機の空港騒音はベースライン機の空港騒音と文献値から簡便に求めた.その結果,767将来機とBWB将来機の中間形態と言えるTRA2035Aは,JAXAが将来機に対して設定した2つの環境性能目標値(燃費:同級現行機から50%の燃料消費量削減,騒音:ICAO Chap. 4−30 dB)を満足する可能性があることが分かった.
第59回飛行機シンポジウム(飛行機シンポ)は,史上初となった昨年度に続きオンライン開催となった.本会誌編集委員会では,学会誌という媒体を使って講演会の様子をアピールする場を提供することを目的とした企画を昨年度に続いて実施する.2月号で取り上げた第65回宇宙科学技術連合講演会に続き,第59回飛行機シンポに関しても企画講演の内容及び当日の議論を各企画責任者の執筆により紹介する.本記事により,航空分野の研究開発動向をお伝えするとともに,来年度以降の学会参加を促す効果を期待する.