準天頂衛星初号機「みちびき」は,測位単独ミッションの研究開発衛星として,官民協力計画時代から先行して研究・開発中の測位ミッション部の成果を引き継ぎつつ,基本設計の着手から打上げまで4年弱の短期間で開発された.短期開発の実現のため,ミッション部とのインタフェース部の早期の明確化・固定,及び既存バス技術の徹底活用等の方針のもと開発が進められた.一方,特殊な軌道への対応,頑健性強化に加え,我が国初の測位衛星として精密な熱制御,質量中心管理及び精確な軌道制御要求等の高度な要求への対応も同時に行われた.また,短期開発のプロセスの中では,試験手法・評価の方法に工夫が施された他,第二段階への移行も視野に入れた,少人数で確実な運用を行える地上システムや運用手順書にも配慮が行われた.2010年9月11日に打上げられた「みちびき」は3ヵ月の軌道上検証によりすべての機能が確認され,12月に技術実証に供された.
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