国土交通省の「交通運輸技術開発推進制度」を利用して2014年度から2016年度に大学,研究機関,企業が連携して実施した「航空機の到着管理システムに関する研究」の概要を述べる.混雑空港に到着する航空交通流の効率的な到着管理を目指して,到着機の滞留を解消し,安全で効率的な運航を目指す管理手法である到着管理システムの運用コンセプトを構築し,要素技術を開発した.到着管理システムの実現に向けて,スケジューリング,軌道生成などのアルゴリズムの開発や気象データの活用方法,滑走路の処理効率の向上手法,シミュレータによる検証を研究課題として抽出した.各課題について専門的な知見を有している,電子航法研究所,九州大学,名古屋大学/首都大学東京,早稲田大学,茨城大学,構造計画研究所の6機関で共同して研究を実施した.
「たんぽぽ計画」では国際宇宙ステーション(ISS)曝露部で微生物を採集することによって,この高度での微生物の存在可能性を検討する.また,微生物が宇宙空間で,どの程度の時間生存できるのかを,微生物を宇宙環境に曝露することによって調べる.生命の起原以前に,宇宙空間で合成された有機物が宇宙塵とともに地球に飛来した可能性がある.そこで,ISS上で宇宙塵の採集を行い,有機物を解析する.地球周辺には,スペースデブリが多量に蓄積している.本計画ではそのモニターも行う.これらの実験のために0.01g/cm3という超低密度のエアロゲルを開発した.これは今後の宇宙における様々な高速衝突微粒子採集に利用可能である.曝露試料は1年間,2年間,3年間曝露の後に地上に持ち帰り解析する.すでに,1年目と2年目の試料が地上に帰還して分析が行われている.1年間曝露した微生物の生存が確認された.
現在,CFD最適化設計は航空機の空力設計において非常に重要であり,設計サイクルに要する時間,経費を大幅に短縮,削減することが可能になる技術である.従来の線形設計法に比べてCFD最適化設計は高忠実度かつ高効率な設計手法として認められている.旧航空宇宙技術研究所の時代から進めてきたJAXA次世代超音速旅客機の研究プロジェクトでは重要な技術の一環としてCFD最適化設計法が開発された.本稿ではAdjoint法を利用した最適化手法とCFDを組み合わせた空力最適設計法及び小型超音速実験機における複雑な非線形干渉現象を考慮した適用事例を紹介する.Adjoint法は流れ支配方程式を解く1回程度の計算時間で,すべての設計変数に対する目的関数の勾配が得られるため,計算時間は設計変数の数に依存せず,設計時間を大幅に短縮することができる.