直線的な速度分布を持つ,いわゆる直線せん断流を風胴測定部に4種類作り,主流に直交させて円柱を置き,レイノルズ数も2.67×10
3~1.07×10
4の範囲で変えて,円柱後流および円柱から発生する渦に及ぼす主流の速度こう配の影響を調べた.その結果,次のようなせん断流の場合の性質が明らかになった.
後流や渦列は後流中心線について非対称に拡がり,また低速側により多く拡がってゆく.渦の発生点は,速度こう配の増加とともに円柱に近づく.渦の発生周波数は高,低速側でともに等しく,一様流の場合と同様である.渦の縦間隔および縦横比は,速度こう配の増加とともに大きくなる.渦の減衰や渦列の不安定さは,一様流のものより著しく,また速度こう配の大きなものほど著しい.
これらの減衰や不安定さに関連して,次のようなことが観察された.渦の横間隔は高速側の方が大きい.渦の強さは高,低速側で等しくなく,しかも流れの途中で逆転する.渦外部すなわち主流の乱れは,主流の速度こう配の増加とともに著しくなる.
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