宇宙航空研究開発機構(JAXA)の低ソニックブーム設計概念を実証するためのD-SENDプロジェクトでは,低ブーム設計概念を適用して設計・開発した試験機を成層圏気球から落下,飛行させて低ブーム設計概念を実証する第2フェーズ(D-SEND#2)試験を2015年7月24日に実施した.特集の第6回として,本稿ではD-SEND#2機体システムの開発のうち,構造設計・地上試験と飛行試験結果を受けて構造設計を検証した結果を述べる.JAXAが蓄積してきた無人機の技術と富士重工業株式会社(FHI)の無人機設計/製造技術が実を結び,構造設計の妥当性が確認できた.
将来の精密進入システムとして導入がはじまっているGBAS(Ground-Based Augmentation System)の機能の一つとして検討されているTAP(Terminal Approach Path)では,標準的な直線経路以外に曲線を含む複数のセグメントを接続した経路を扱うことができる.TAPの規格は未成熟であり,現在の航空機のオートパイロットは曲線進入に対応していない.JAXAではGBAS-TAPを用いた自動着陸技術の開発を目的として,電子航法研究所(ENRI)と共同で研究を実施してきた.2011年6月以来,関西空港で4回と仙台空港で1回の飛行実験を経て,曲線経路に対応した自動操縦装置のアルゴリズムを開発し,ENRIが運用するGBASプロトタイプと実験用航空機MuPAL-αの模擬自動操縦機能を用いて,直線進入と同等の性能を達成できることを実証した.