日本航空宇宙学会誌
Online ISSN : 2424-1369
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70 巻, 1 号
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解説
  • 田中 啓之, 米田 智久
    2022 年 70 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2022/01/05
    公開日: 2022/01/05
    ジャーナル 認証あり

    飛行試験は,開発中の航空機・装備品が設計通りの機能・性能を有することを確認する重要なプロセスである.一方,未検証の機体システムと非線形な物理現象,人間(テストパイロットやフライトテストエンジニア等)との相互作用を伴うため,飛行試験では解析や地上試験の結果から事前に予測しきれない「予期せぬ事象」がしばしば生じ,事故等の不安全事象に至る事例もある.このようなリスクを低減し飛行試験を安全に実施するために,飛行試験リスク管理プロセス及びその中核をなすリスク評価手法であるTest Hazard Analysis(THA)が世界の飛行試験業界で広く活用されている.本稿では,三菱航空機(株)が民間機開発における飛行試験リスク管理の事実上の世界標準であるFAA Order 4040.26Bに基づく国内初の実施例として構築した飛行試験リスク管理プロセス及びTHAについて紹介する.

特集 亜音速機の環境性能を向上させるエコウィング技術の研究開発成果紹介 第4回
  • 徳川 直子, 郭 東潤, 湯原 達規, 石田 貴大
    2022 年 70 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2022/01/05
    公開日: 2022/01/05
    ジャーナル 認証あり

    宇宙航空研究開発機構で実施したエコウィング技術の研究開発事業で検討した抵抗低減技術についてまとめた.技術参照機体TRA2022について,摩擦抵抗と誘導抵抗の低減に供するため,自然層流翼設計,遷移を促進する臨界粗さの調査,様々な境界層制御,翼端および翼胴結合フェアリングの形状設計を適用した.自然層流翼設計は,TRA2012Aに対しては3.9 cts(1 ctsはCD=0.0001に相当),TRA2022の2次形状に対しては0.2 ctsの摩擦抵抗低減を獲得し,風洞試験でも検証した.遷移を促進する臨界粗さの調査では,三次元境界層に対する臨界条件を獲得した.プラズマアクチュエータによる遷移抑制では,コード長の4%を遅延するアクチュエータ配置を考案した.一様吹出しおよび吸込み/吹出しの組み合わせ制御による乱流制御では,20–40%程度の抵抗低減を獲得した.翼端設計および翼胴結合フェアリングについても目標以上の抵抗低減を達成した.すべての項目について個別の目標を達成し,事業の目標達成に貢献した.

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