日本では,昨今大規模な災害に見舞われている.2011年の東日本大震災や大雨による被害は甚大である.こういった状況で,防災分野の重要性はますます高くなっており,その中で宇宙を利用した防災への取り組みが進められている.地球観測衛星による観測画像の提供や通信衛星によるインターネット接続の提供,GPS観測による地殻変動の活用など宇宙技術の利用が進んでいる.衛星測位の分野では,米国のみならず,ロシア,中国,欧州等の測位衛星システムの運用が開始しており,マルチGNSS時代に突入している.衛星測位が使える場所・時間が拡がり,更に精度も向上していることから,利用者にとって,より使いやすいサービスに発展している.衛星測位は,防災分野の中でも災害発生前の津波監視,地すべり監視,復旧に役立つプローブカー等,様々な防災アプリケーションに活用されているが,衛星測位技術の発展に伴い,更に適用範囲は拡がりつつある.
飛行中の航空機から搭載物を分離する場合,母機に衝突する等の事故を防ぐため,実飛行で行う前に分離特性を地上で検証することは不可欠である.これには,ドロップ試験等の風洞での分離試験とCFD解析が用いられている.今後のステルス等の趨勢を考えた場合,搭載物を内装化し,遷/超音速で分離することが要求されると考えるが,このような衝撃波等を伴う複雑な流れ場について,風洞での分離試験及びCFDによる解析ともにあまり確立されていないのが現状である.こうしたことから,防衛装備庁(当時防衛省技術研究本部)及び川崎重工業(株)は,内装を含む搭載物の高速における分離時の空力現象を複合的に取り扱う研究(以下「本研究」という)を実施した.本稿は,本研究の中で行われた,キャビティ模型及びCTS装置を用いて実施したキャビティ流風洞試験についてまとめたものである.
極超音速領域における柔軟構造再突入機の空力加熱が実験的・解析的に調べられた.実験装置としてJAXA極超音速風洞,数値解析ソルバーとしてFaSTAR/RG-FaSTARが用いられている.風洞試験において,いくつかの迎角のケースに対して,シュリーレン画像による密度勾配分布と赤外線サーモグラフィによる表面熱流束が計測された.これらの計測結果に基づき解析モデルの検証が合わせて実施され,空力加熱に対して良好な予測性能が確認された.低迎角ケースでは,衝撃層の形成とそれによる表面熱流束の増加,背面における強い膨張波の形成が確認された.大きな迎角での特徴的な現象として,模型頭頂部の剝離による渦の形成と,対応する模型表面での熱流束低下が認められた.今回の実験結果および解析結果より,衝撃層における流れ場は乱流ではないと推察されるが,剝離後の領域は乱流場であることが示唆された.
地球・天文観測等のミッションでは,センサ分解能の向上等の性能向上に伴い画素位置決定のための指向決定精度への要求が厳しくなってきており,将来的にはさらに高い精度要求が見込まれる.それを達成するためには,誤差要因の切り分けとそれぞれの誤差要因ごとの誤差低減化が重要である.本稿では,指向誤差要因の中でも特に姿勢決定系における誤差及びその構成機器の高精度化を中心として指向決定系の高精度化技術に関する検討状況について紹介する.