航空機,航空主要部品の開発には認証の取得という課題があり,YS-11の後に本格的な民間航空機開発がなかった日本では,MRJ開発時の大きな課題となっている.今回,幅広い共通認識を図るとともに,課題についても掘り下げ,今後の更なる技術開発と航空産業の発展に資するため,2017年4月14日に第48期年会講演会特別企画として国内での認証取得に向けた体制の構築について関係者から発表を行った.最初に型式証明の流れ等航空機の認証制度に関して述べ,次に認証制度の実務や背景を把握するべく,米国のRTCAにおける活動内容,また認証の歴史的背景や取り組みの展望について発表を行った.さらに,認証取得体制の構築に向けての課題や今後の取り組みを発表して,特にプロセス認証やソフトウェア認証に関する理解を深め,最後に各国の産学一貫した人材育成等の実情について発表した.本稿は各講演の概要を紹介し,今後の取り組みに向けてのヒントを探るものである.
干渉型光ファイバジャイロは,原理提案から40年以上が経ち,リングレーザジャイロと比肩する性能を安定して達成するほどに技術成熟した.ジャイロとしての応用は地上のみならず宇宙分野でも広がりをみせている.本稿では,干渉型光ファイバジャイロの計測原理について述べたうえで,限界感度を引き出すための高精度化の要となる技術項目について説明する.
簡易曝露実験装置(Exposed Experiment Handrail Attachment Mechanism : ExHAM)は,船外設置前に,実験試料取付けなどの宇宙飛行士による軌道上での準備作業を行う必要がある.宇宙飛行士によるこれら準備作業は,ExHAM実験の成否にも影響する重要な作業の一つと位置付けられる.特に「宇宙飛行士訓練」「運用準備」「実時間運用」は,有人運用に係る個別の業務ではあるが,その関係性は深く,「宇宙飛行士訓練」の開発及び実施には「運用準備」のため手順書作成担当が参加し,宇宙飛行士の意見を取入れて作成し,また「実時間運用」では宇宙飛行士訓練のインストラクタや手順書作成担当が管制官として加わり作業を進めることで,宇宙飛行士の疑問も即座に理解し支援するなど円滑な運用を行うことができた.
現在,新たな大気圏突入システムとしてインフレータブル型空力減速機(IAD)が注目を集めており,国内外でさかんに研究開発が進められている.IADは大気圏突入前に柔軟な膜面を膨張展開させて大面積の空力減速殻を構成するシステムであり,従来から利用されている剛構造の空力減速殻に比べ,大気圏突入時の空力加熱を大幅に低減することが可能となる.著者らは国内で開発が進められているIADシステムに関して,有限要素解析に基づく数値構造解析により,その構造特性を調査している.本稿では数値構造解析によってこれまでに得られた知見を風洞試験結果との比較を通じて紹介する.数値構造解析の結果は風洞試験結果に概ね整合しており,また一連の数値解析結果からIAD供試体の初期不整や膜材の材料特性が,構造強度に大きな影響を与えていることが明らかとなった.