無人航空機は,我が国,欧米等の民間航空分野において,農薬散布や自然現象観測等多様な用途での利用が拡大する中,他方では,旅客機とのニアミスという安全を脅かす事案が発生している.このような中で,欧米における国内制度の設計の動きも踏まえ,国際民間航空機関(ICAO)は,無人航空機システム検討会(UASSG)を設置して,無人航空機の国際運航の安全性を確保するための枠組みに関する議論を行っている.ICAOの議論においては,無人航空機を既存の国際航空システムに統合する方向で,有人航空機と無人航空機の相違を整理した上で,既存システムの根本的な概念変更は不要としつつも,無人航空機特有の事項にどのように対処するべきかというアプローチで検討が進められている.本稿は,ICAOにおける安全確保のための制度構築に向けた議論を中心に,プライバシー保護との調整の必要性に関する議論にも触れつつ,無人航空機の制度設計の動向及び今後の見通しを解説する.
抄録全体を表示