ガス吸収冷温水機と冷却塔からなる空調用熱源システムについて,冷却塔ファンのオンオフ制御による省エネルギー効果を調べるために,527kW(150USRt),1055kW(300USRt)クラスの最近の二重効用ガス吸収冷温水機の性能特性とこれらの吸収冷温水機用の冷却塔の性能特性を調べ,この熱源システムを大阪の事務所ビル(10000m^2)などの冷房に適用したときのエネルギー消費量をシミュレーション計算によって求めた.その結果,次のことが分かった.吸収冷温水機の冷却水温度特性(冷却水入口温度の低下による燃料消費量の低下率)βの値が大きい場合には,一般に冷却水の設定温度が低いほうが冷房期間全体のエネルギー消費量は小さい.一方,βの値が小さい場合には,冷却水の設定温度によるエネルギー消費量の差は小さいが,25〜28℃に最適値がある場合が多い.冷房負荷率が吸収冷温水機の総容量(1055kW)の50%を超える運転時間数が少ない病院,店舗,ホテルの場合は,吸収冷温水機の台数分割による効果が顕著である.また,吸収冷温水機の冷水入口温度(返り温度)制御を行うと,冷水出口温度が高くなるぶん,冷水出口温度(往き温度)制御よりもCOPが高くなり,エネルギー消費量は少なくなる.
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