糸状微生物の増殖する要因は,生物反応槽流入時における負荷条件と流入間隔にあると考え,排水量を分割し,間欠的に流入する実験を行い,糸状微生物の増殖を抑制できる領域を見付けることを目的に実験的検討を行った.得られた知見は次のとおりである.1)合成排水は糸状微生物の基質となりやすい組成をもつ排水を用いた.2)排水の流入条件は,連続流入,間欠流入,回分流入とした.その結果,回分流入条件(1回/日)ならびに排水を1日あたり3回/日,5回/日と間欠的に流入した条件において糸状性バルキングの発生は認められなかった.一方,連続流入条件では活性汚泥は膨化する傾向にあった.3)以上の方式について,SVI値に及ぼす生物反応槽流入時のBOD-MLSS負荷[BOD-g/MLSS-g・回]と排水の流入間隔について重回帰分析を行った.その結果,流入時のBOD-MLSS負荷で0.1〜10 BOD-g/MLSS-g・回の範囲,排水の流入間隔を5時間以上とれば,糸状微生物の増殖を抑制できることがわかった.
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