大阪府摂津市に位置する地上20階建て集合住宅団地の全586戸の2年間の電力使用量の1分間隔実測データに基づき,ルームエアコンの電力使用量や使用時間の統計性状に関する詳細な分析を行った.その結果,エアコンの使用電力の住戸間のばらつき,冬季と夏季の運転割合の日変動,外気温度条件に対する運転頻度の特性を明らかにした.また,各住戸の空調負荷の確率密度分布は,平均値による無次元化を施した場合でもその分布性状は住戸毎に大きく異なる事を示した.
本報では,計算負荷の低減を目的とした新たな出湯・給湯用シミュレーションモデルを提案する。提案モデルは,若松・橋本(2013)のモデルでのタイムステップ当たりの出湯量および給湯量の制限をなくしたものに相当するもので,これにより時間刻み幅を大きく,また,貯湯タンクの数値シミュレーション上の分割数を低下させることで大幅な計算負荷の低減を実現している。提案モデルの妥当性を検証したところ,分割数20,時間刻み幅を15min とすることで,実用上問題の無い計算精度のシミュレーションを,若松・橋本(2013)と比較して約1/240の計算時間で行うことができた。
竣工後の建物において、ダブルスキンなどの高性能ファサードの効果検証するために、現場で簡易に行える日射遮蔽性能の実測方法の確立を目的に研究を行った。太陽電池評価用の分光放射照度計が、ハンドキャリーできるほど小型化し、安価に入手できるようになったため、これを活用した日射熱取得率の簡易測定法を提案する。
地域熱供給システムを計画する上で、当該地域に立地する建物の用途別負荷原単位の利用は不可欠であり、また省エネ促進のためには未利用エネルギーを用いることが有効と考えられている。そこで本研究では建物負荷原単位、未利用エネルギーの整備を行うことを目的とする。現在一般的に使用されている建物負荷原単位は約20年前のデータを基に作成しているため、2000年代のDECCデータを用いることでデータ更新を図る。また10建物用途の地域別、時刻別の建物負荷の系統的な算出を行い、既往文献との負荷比較を行う。未利用エネルギーについては6 種類の未利用エネルギーの温度、取得量(流量・熱量)のデータソースの所在及び加工法の整理を行う。