近年,BIMによる設計図書を要求する機会が増加している。特に政府関連の不動産調達において増加をしており,各国で政府主導による積極的なBIM利用の推進が試みられている。しかしながら,日本では,現状のBIMソフトウェアが実際の設計ワークフローで発生する要求に十分に対応できていないことから,一般的に主張されるBIMのメリットを十分に享受できないのみでなく,BIMの導入が業務効率を低下させる懸念が設計者の間に顕在する。そこで,本論文では,空調設備設計に主に着目し,現状のBIMソフトウェアと設計ワークフローのFit and Gap Analysisを行う。また,BIMの普及に対する内的・外的要因をまとめ,今後BIMソフトウェアの開発に必要な視点をまとめる。結果,直近では設計のフロントローディングに寄与する3次元CADとしての機能を充実させると共に3Dモデリングソフトウェアとは異なる開発方向性を明示すること,将来的には設計プロセスにおける初期条件としてのデフォルトを構成するデータベースとしてBIMが機能することを,重点開発項目として提案する。
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