既報に引き続き,多数室問題に関して,次時刻の冷房発停および窓,扉開閉のスケジュールがマルコフ過程で確率的に取り扱い得ると仮定し,このことが建築伝熱系解析上,いかなる意味を有するのかについて,数値計算により検討した.計算対象は集合住宅中間階の3室よりなる1住戸であり,状態遷移確率は既報で示した室内外それぞれのSET^*で定義された関数を用いた.また,各3室における居住者の在室確率を正規分布を仮定し付与し,各時刻で居住者が居ない室にあっては冷房発停や窓,扉開閉などの人為操作は生じないとした.これにより,より現実的な条件設定での検討が可能となった.特性値である期間冷房全熱負荷,最大冷房全熱負荷は,試行10^4回のモンテカルロシミュレーションにより求め,バリエーションスタディの結果について考察を加えた.
抄録全体を表示