空気調和・衛生工学会 論文集
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46 巻, 291 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
学術論文
  • 町田 秀輔, 柴田 千尋, 坂本 大介, 田代 博一
    2021 年 46 巻 291 号 p. 1-10
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2022/06/05
    ジャーナル フリー

    本研究では,ペリメータゾーンの床面温度を,NN(Neural Network)を用いて推定する手法を提案する。VAV 空調制御においては居住域の温度測定が難しいため天井面の温度で制御を行っており,居住域との温度差のため十分な快適性が得られていないことがある。そこで,居住域により近い床面温度を制御に用いることで快適性の向上を想定した。床面温度の推定にあたり,床面周囲の物理量から十分な推定精度を得ることができた。また,各測定値の意義についても検討している。例えば,日射量は,床面温度推定精度を向上させる効果があることを示した。最後に,どのネットワーク構造が最適かを明らかにする。

  • 橘高 康介, 森山 正和
    2021 年 46 巻 291 号 p. 11-18
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2022/06/05
    ジャーナル フリー

    沿岸都市の愛知県半田運河地域を対象に気温・湿度・風向風速の観測を夏季を中心に行い、名古屋、大府等のAMeDAS観測値と比較して半田運河地域の気候的特徴を把握し、熱環境の評価等を行った。その結果、半田運河地域の気候は、海風時は低温で高湿となる傾向があった。外気環境の比較では、夏季に近づくにつれ、温湿度に関する室内環境基準に含まれる時間数は名古屋より少なくなった。暑熱期の晴天日の温熱快適性については、半田運河地域は名古屋より地上付近の風は強いと推定され、快適性の評価は高かった。また、建物の外気取入口の近傍においては建物の形状に風向風速は大きな影響を受けているが、地域代表点の気温・湿度とは大きな差ではなかった。

  • 阿部 佑平, 月館 司, 森 太郎, 菊田 弘輝, 羽山 広文
    2021 年 46 巻 291 号 p. 19-29
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2022/06/05
    ジャーナル フリー

    本研究は、建物群に対する熱供給を対象として、流体移動と熱移動を同時に解析することが可能な数値解析手法を開発し、筆者ら既往研究で提案した差圧を用いない変流量制御方式(バルブ開度制御)の制御特性について評価することを目的とする。開発した数値解析手法を用いて、熱負荷パターンの異なる3つの建物に対して、熱交換器による間接受入方式で暖房の熱供給を行うことを想定した数値解析を行い、バルブ開度制御の適正な運用範囲を明らかにした。また、バルブ開度制御の制御特性を評価したところ、従来の差圧を用いた変流量制御方式よりも搬送動力の削減効果があることを示した。

  • メチルメルカプタンとトリメチルアミンの同時処理
    水野 良典, 村上 栄造
    2021 年 46 巻 291 号 p. 31-38
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2022/06/05
    ジャーナル フリー

    本研究では、微酸性次亜塩素酸水の脱臭への適用可能性を調査するため、腐敗臭として知られるメチルメルカプタン(CH3SH)及びトリメチルアミン((CH3)3N)の微酸性次亜塩素酸水による洗浄除去を試みた。先ず、洗浄脱臭で従来よく用いられる水道水・塩酸・水酸化ナトリウム・次亜塩素酸ナトリウムなどに対する微酸性次亜塩素酸水の優位性を調査するために洗浄瓶による小スケールのガス除去及び脱臭実験を行った。塩酸・水酸化ナトリウム・次亜塩素酸ナトリウムを用いた場合の結果と比較することで、微酸性次亜塩素酸水がメチルメルカプタンとトリメチルアミンの両方の脱臭に有効であることを確認した。次に、実スケールでの微酸性次亜塩素酸水の適用可能性を検討するため、微酸性次亜塩素酸水製造装置と風量3m3/minの充填式洗浄塔を用いて実スケールの脱臭システムを構築した。ワンパスでのガス除去率はメチルメルカプタンに対して80、トリメチルアミンに対して90%であり、微酸性次亜塩素酸水の脱臭への適用可能性を確認した。

技術論文
  • 宮田 征門
    2021 年 46 巻 291 号 p. 39-46
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2022/06/05
    ジャーナル フリー

    省エネルギー基準への適合性を判定する方法のうち、設計仕様の入力を詳細に行う評価法である「標準入力法」で評価された非住宅建築物(計1,407棟)を対象として、省エネルギー基準の適合性判定プログラム(Webプログラム)に入力された情報をプログラム利用者の許諾のもとで収集し、空調熱源・搬送システムの設計仕様を分析した。具体的には、空調機群の空気搬送システム定格効率、変風量制御の採用率や最小風量比、二次ポンプ群の設計温度差や水搬送システム定格効率、台数制御や変流量制御の採用率、一次ポンプの水搬送定格効率、冷却塔ファンの空気搬送定格効率、冷却水ポンプの水搬送定格効率について、その平均値や分布を明らかにした。

  • 第2報−潜熱顕熱分離空調システムの研究
    増田 正夫, 谷野 正幸, 齋藤 敏明, 藤井 義久
    2021 年 46 巻 291 号 p. 47-54
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2022/06/05
    ジャーナル フリー

    業務用ビルにおける空調設備に関わるエネルギーの大幅な削減を目的に,筆者らは,熱源水ネットワーク型潜熱顕熱分離・個別分散空調システムの開発を目指している.第一報では,低温再生デシカントロータを採用した水熱源ヒートポンプ式の外気処理ユニットを開発し,機器単体で高い性能を発揮することを報告した.本報では,水熱源潜熱顕熱分離空調システムを構築してシステム性能評価試験を行った.その結果,潜熱顕熱分離効果により,夏期にシステムCOP が約25%向上することを確認した.また,システムが持つ高いポテンシャルを発揮させるためには,外気処理ユニットと高顕熱処理ユニットとの連携運転と台数制御の導入が必要であることをシミュレーションで確認した.

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