点検によって設備機器に劣化が認められた場合,修繕するか,もしくは経過観察とするか判断する必要があり,最適な判断方法を検討する必要がある.また,設備機器の定期点検結果を分析して,建築設備の保全に関係する機器の劣化の進行や不具合の発生頻度,さらには修繕に関する確率の分布を同定できれば,確率過程を適用したシミュレーションで定量的な比較ができる.本研究では,事務所建物に設置された多数の空冷ヒートポンプチラーの定期点検結果に,マルコフ連鎖を適用して点検項目ごとの遷移確率を計算してモンテカルロ法でシミュレーションを行い,修繕するか,もしくは経過観察とするか判断する基準を変更した定量的な比較を行った.
我々はオープンサイクル型の吸着材蓄熱システムを開発してきた。ハスクレイ吸着材を用いた本蓄熱システムは,低温の排熱を利用することができる。自動車工場内でのオフライン熱輸送方式の実証実験では,コージェネレーションシステムにて蓄熱された蓄熱槽をトラクターで輸送し,塗装工程の空調機(AHU)への供給空気を除湿した。通常のAHU では冷水で冷却除湿した後,温水で加熱して所定の温湿度の空気を塗装工程に供給する。吸着材蓄熱槽を利用することによってAHUへの供給空気を除湿することで,AHU で使用する冷水・温水のエネルギー消費量が減少した。その実証試験の結果,57%のCO2削減効果が確認された。このような塗装工程は,オープンサイクル型の吸着材蓄熱システムの経済的な適用先の1つであることが確認できた。
日射量の計算で使用される大気透過率に倣い,所定の地域における月別・天気別の「擬大気透過率」の算出方法を示した。本稿では下関地方気象台の全天日射量時別値をもとに同地域の月別・天気別擬大気透過率を算出した。また,天気予報と組み合わせた日射量の予測への応用例を示した。