冷房負荷に占める開口部の熱取得(透過日射熱取得、吸熱日射熱取得、貫流熱取得)のうち夏季の透過日射熱取得が非常に大きい。開口部のガラスにフィルムを貼付し透過日射熱取得を小さくすることを提案する。フィルムは3タイプ(日射透過率大、中、小)を想定。省エネ基準地域区分 2 地域:札幌、6 地域:東京、8 地域:那覇の 3 地点年間冷暖房負荷シミュレーションを行いフィルム貼付による負荷削減効果を検証した。冷房・暖房負荷総和削減効果はフィルム日射透過率小、中、大の順に高い。暖房負荷がある札幌、東京も那覇同様削減効果があることが判った。
本研究は,排気や還気を処理して再度室内に給気する空気循環系について,動的定常濃度という概念を適用し,対象室の供給空気による換気効率を求めるためのトレーサガス実験法の開発を目指すものである。本報(第3報)では,動的定常濃度を用いた空気齢分布の測定の手順を示すとともに,適切なタイミングでデータ収集を行った場合に得られる動的定常濃度が等価な開放系の空気齢になることを実験室実験にて確認した。さらに,複数の空気循環系を対象とした空気齢分布の算出方法を示し,複数のビル用マルチ空調機が運転されている実空間において,二台のビル用マルチ空調機からの供給空気を対象とした空気齢分布の実験的検証ならびに CFD解析を実施した。その結果,循環換気量による名目換気時間の1.0~1.5倍程度のタイミングでデータ収集を行えば,精度良い空気齢測定が可能であること,実空間において複数の循環系を対象として空気齢測定を実施する場合,循環系単体の空気齢分布を合成することで精度良く空気齢測定が可能であることを示した。