本研究では、まずDHCシステムにおいて2 つの蓄熱槽を有するプラント間で実際に運用されている熱融通の効果を分析し、高効率な熱回収熱源機の運転増加や超低負荷運転の回避によるエネルギー効率の向上を確認した。次にシミュレーションを使用して対象プラント間で効果的な熱融通を行える条件について検討した。竣工年度が大きく異なる場合など、プラント間で熱源機の効率に差がある場合や、建物の用途(負荷パターン)が異なる場合であっても、熱融通により適切に片側のプラントに負荷を集約することで効率向上が見込めることを示した。
屋外設置する排水貯留槽から拡散する臭気は高湿度を伴うため、活性炭脱臭において、水蒸気吸着により運転に支障をきたす懸念がある。関東地方の事業所において屋外設置した高濃度有機系排水貯留槽の通気口から硫化水素を主成分とする臭気が拡散しており、通気口からダクト接続し、電気ヒーターを併設した活性炭脱臭装置により臭気を処理した事例を述べる。本研究では、電気ヒーターを利用した処理空気の加熱により活性炭への水蒸気吸着量を低減することで、運転異常の防止を試みた。臭気を5℃加熱したとき、処理前の硫化水素濃度10ppmに対し、処理後の硫化水素濃度は0.7ppm以下であり、必要とする脱臭性能を得ることを確認した。