西ローマなきあと西欧はゲルマンの土地となり古代の学問的伝統から孤絶したが,ごく一部はキリスト教神学の中に受け継がれた。ギリシャの知の継承者ビザンチンを経て西アジアに集積した科学を含むギリシャの知はイスラムの勃興後インドやペルシャの知にも刺激されて深められ,イスラム世界のイベリア半島にまで達する急速な拡大とともに西進しシチリア, トレド,コルドバなどを拠点に西欧に流入した。これが12世紀ルネッサンスと呼ばれる西欧の文化的覚醒をもたらす。科学的思考方法は西欧に根付き,やがてコペルニクス,ケプラー,ガリレオらが近現代科学の黎明を告げる。
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