全身麻酔下の急速気管内挿管に十分なベクロニウムの最小投与量を決定するために,腹部および下肢の予定手術患者68名を3群に分け,それぞれベクロニウムを0.1,0.2,0.3mg/kg投与し,比較した.母指の加速度を測定して,単収縮反応を測定した.ベクロニウムの各投与群における作用発現時間は,それぞれ111±38,74±19,70±14秒であり,0.1mg/kg群に比べ,0.2mg/kg群および0.3mg/kg群で有意に短縮した.また,作用持続時間は,それぞれ47.6±22.8,68.2±30.0,102.6±46.4分であり,用量依存的に延長した.以上より,ベクロニウム0.2mg/kgの投与は,筋弛緩の作用発現を十分に早め,作用持続時間を極端に延長させることなく臨床的に有意義であることがわかった.
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