日本臨床麻酔学会誌
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最新号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
症例報告
紹介
  • 隈元 泰輔, 國徳 裕二, 平岡 知江子, 入江 知恵子, 加藤 清彦, 原武 義和
    2023 年 43 巻 3 号 p. 220-224
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー

    当院では手術室での麻酔業務のタスクシフト/シェアの取り組みとして,臨床工学技士による麻酔アシスタント業務を導入している.麻酔アシスタントの業務は,術前準備,麻酔導入補助,術中モニタリングや麻酔記録の記載,退室補助など多岐にわたり,麻酔科医の負担軽減や手術室運営の効率化に貢献している.心臓血管麻酔ではマルチタスクを安全かつ円滑に行いつつ刻一刻と変化する状況に対応する必要があるが,麻酔科医が単独で行うのは容易ではない.心臓血管麻酔において麻酔アシスタントと協働することにより麻酔科医の時間的・精神的余裕が形成され,安全性や質の向上につながると考える.

日本臨床麻酔学会第41回大会 教育講演
  • 福岡 尚和
    2023 年 43 巻 3 号 p. 225-230
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー

    術中脳神経モニタリングの中でも運動誘発電位(motor evoked potentials:MEP)モニタリングが全身麻酔の影響を最も受けやすく,モニタリングにおける麻酔管理の難易度が最も高い.MEPモニタリングの麻酔管理を適切に行うことができればその他のモニタリングの麻酔管理は容易ともいえる.モニタリング時の麻酔法の第一選択はプロポフォールとレミフェンタニル,フェンタニルによる全静脈麻酔であり,麻酔の3大要素(鎮静,鎮痛,筋弛緩)を可能な限り一定にすることが重要である.また,合併症などに対する安全面への配慮も必要である.

  • 村田 寛明
    2023 年 43 巻 3 号 p. 231-237
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー

    ERAS(Enhanced Recovery After Surgery)プログラムにおける疼痛管理は多様式鎮痛法を基本とし,オピオイド鎮痛薬の使用は最小限にとどめつつ原則としてアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬を投与し,術後疼痛が強いと予想される場合などは区域麻酔の使用を考慮する.体幹部の手術では硬膜外鎮痛の役割が減少し筋膜面ブロックの有用性が増加しているが,エビデンスの蓄積が待たれる.下肢の人工関節置換術に対しては末梢神経ブロックが有用であるが,歩行への影響を考慮する必要がある.肩腱板修復術の術後鎮痛には斜角筋間ブロックが推奨される.ERASプログラム実践において多様式鎮痛法の構成要素として区域麻酔の果たす役割は大きい.

  • 藤野 裕士
    2023 年 43 巻 3 号 p. 238-244
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー

    集中治療医学の発展において人工呼吸管理法は中心的役割を担ってきた.急性呼吸不全患者の人工呼吸における要点は人工呼吸関連肺傷害(VALI)の発症を防ぐことである.VALIは肺胞の過膨張あるいは剪断力の発生により起こるが,自発呼吸存在下では経肺圧を指標に人工呼吸管理を行う必要がある.強い自発呼吸努力が認められる場合は筋弛緩薬を投与してVALIを防ぐ必要が生じることがあるが,副作用として呼吸筋萎縮が起こることがあり注意を要する.2019年から世界で流行したCOVID-19肺炎患者の治療では各施設の急性呼吸不全患者管理の知識と経験が試された.麻酔科医は人工呼吸管理に精通した職種であり今後も集中治療において中心的役割を果たすことが期待される.

日本臨床麻酔学会第41回大会 シンポジウム ─小児の緩和ケア─
  • 山口 重樹
    2023 年 43 巻 3 号 p. 245
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー
  • 堀木 としみ
    2023 年 43 巻 3 号 p. 246-252
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー

    神奈川県立こども医療センター緩和ケア普及室は2013年4月に開設された.麻酔科医師が専従であることを生かし,子ども達の検査・処置時の苦痛緩和を目的とした検査・処置時の鎮静に携わっている.緩和ケア外来は大部分が慢性疼痛患者であり多職種で対応している.遺族のビリーブメントケアの一環として2017年から病院主催の遺族会を開催している.日常活動では多職種で構成された緩和ケアサポートチームが主体となり,がん患者だけでなく非がん患者の苦痛緩和に対応している.ファシリティドッグとハンドラーがチームの一員であり,医療者や薬物とは異なる視点から子ども達や家族の苦痛緩和を行っている.

  • 多田羅 竜平
    2023 年 43 巻 3 号 p. 253-257
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー

    小児緩和ケアの普及のためには,子どもに関わる全ての人たちが必要に応じて小児緩和ケアの知識やスキルを身につけるための機会が保証されていることが重要である.緩和ケア教育は,専門家の養成・スキル向上を目的としたものと病気の子どもに関わるさまざまな人たちを対象とした基本的緩和ケアの習得を目的としたものに分かれるが,本稿では基本的小児緩和ケアのための教育プログラムとしてCLICの開発の経緯と現状を中心に紹介する.

  • 余谷 暢之
    2023 年 43 巻 3 号 p. 258-263
    発行日: 2023/05/15
    公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー

    第2期がん対策推進基本計画で,「小児がん」が重点項目となり,治療中から一貫した疼痛管理,終末期ケアを含めた緩和ケアの充実が明記された.しかし,①緩和ケアチームが小児患者を診る経験が少ない,②小児病院に緩和ケア専門家が不在,③小児がん診療の集約化が十分に進んでいないなどの理由から,こどもたちが十分に専門的緩和ケアを受けられていない実態がある.こどもたちに緩和ケアを届けるためには,症状緩和や意思決定支援においても小児特有のポイントがある.緩和ケアチームが小児患者にかかわるためのハンドブックや小児がん疼痛ガイドラインなどを活用することで,多くのこどもと家族に緩和ケアを届けることにつながる可能性がある.

日本臨床麻酔学会第41回大会 シンポジウム ─区域麻酔の現状と今後の展望─
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