砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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ISSN-L : 0914-2703
69 巻, 1 号
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  • 澤田 俊之
    2025 年69 巻1 号 p. 30-34
    発行日: 2025/01/01
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    ショットピ-ニングで得られる最も重要な効果は,圧縮残留応力の付与による各種部品の高強度化であり,高硬度投射材を用いることで高い効果が得られる.一方,コ-ルドスプレ-のように各種部品の表面に投射材を移着させ,成膜する技術も検討されており,この場合,低硬度投射材を用いることが移着させるための必要条件となる.このように,大きな圧縮残留応力の付与と投射材の移着は,用いる投射材の硬さにおいて相反する現象となる.本研究では,これら2つの効果を同時に得るハイブリッド表面改質の実現を目的とし,全体として高硬度を有しながら,構成相の一部にCu,Snの低硬度相を含有する投射材を試作し,これを用いたショットピ-ニング効果を評価した.Cu,Sn相を含有する高硬度投射材をショットピ-ニングすることで,被処理材(SUJ-2焼入焼戻材)の表面に約-1500MPaの大きな圧縮残留応力が付与されると同時に,それぞれ表面のEDX面分析で10mass%以上ものCu,Snの移着が認められ,ハイブリッド表面改質を実現することに成功した.また,被処理材表面にはナノ結晶粒化(メカニカルミリング効果)とともに,移着したCu,Snの過飽和固溶(メカニカルアロイ効果)も認められた.

  • 倉茂 周治, 野村 衛, 伊藤 幸男, 福原 義也, 笹原 弘之
    2025 年69 巻1 号 p. 35-40
    発行日: 2025/01/01
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,CFRP板に対して直径80, 160 mmといった大径穴加工が可能な円筒型ダイヤモンド電着金網砥石を開発した.この工具は,一般的なホ-ルソ-とは異なり,側面も使用することが可能で,台金が金網であることによる高い切りくず排出性を活かして穴壁面の仕上げ加工まで行うことができる.この砥石の側面を使用する場合,半径方向への突出量が大きいワイヤの交差部分が主に加工を行うが,工具を上下に揺動させながら穴の輪郭をなぞることで,平滑な加工面が得られた.切り込み量を増やさずに仕上げ加工を繰り返し行ったところ,目標の寸法との差は約0.02 mmと小さくなり,表面粗さは航空機部品用の基準値を満たしていることを示した.

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