魚病研究
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15 巻, 1 号
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  • 青木 宙, 城 泰彦, 江草 周三
    1980 年 15 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1980/07/31
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1974年4月,徳島県下の14の養殖場のアユの腸管および池水中のchloramphenicol(CM)耐性菌およびtetracycline(TC)耐性菌を定量的に分離した。那賀川で採捕された野生アユの腸管についても同様に行なった。その結果養殖アユの腸管あるいは池水よりCM耐性菌およびTC耐性菌が高頻度に検出された。一方,野生アユからはまったく耐性菌は検出されなかった。分離耐性菌種はAeromonas hydrophilaがもっとも多く,次いでVibrio anguillarumであった。他に腸内細菌群およびPseudomonasであった。伝達性RプラスミドはV.anguillarumの耐性株からもっとも多く検出され,腸内細菌群およびA.hydrophila耐性株の一部からも検出された。検出された伝達性Rプラスミドの耐性マーカーのほとんどはsulfonamides,streptomycin,CM,TCの4剤耐性であった。
  • 養殖ハマチにおける吸収,分布,排泄および残留性
    片江 宏巳, 河野 薫, 清水 當尚, 楠田 理一, 谷口 道子, 塩満 捷夫, 長谷川 仁
    1980 年 15 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 1980/07/31
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     養殖ハマチにA-66(本製剤1g中に日局エリスロマイシン100mg力価を含有する散剤,大日本製薬)をEMとして50mg/kg1回または1日1回10日間連続的に経口投与して魚体内濃度の測定を行ない次の結果を得た。1.EMを1回経口投与することにより各組織中のEM濃度は1~3時間で最高値に達し,肝臓,腎臓および脾臓は血液の約4倍の値で推移した。2.EMを10日間連続経口投与した後の各組織中濃度の推移は1回投与で得られた成績と類似しており,特定の臓器または組織に蓄積する傾向はみられなかった。3.EMの生物学的半減期は各組織により異なり,血液が最も短く(5.00~7.78時間),腎臓が最も長かった(14.32~15.89時間)。各組織中のEM濃度は投与後168時間ですべて定量限界以下となった。4.胆汁中のEM濃度は投与後144時間で定量限界以下となった。
  • 養殖ハマチの連鎖球菌症に対する野外治療効果
    塩満 捷夫, 楠田 理一, 大須賀 穂作, 宗清 正廣
    1980 年 15 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 1980/07/31
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1. 養殖中のハマチ1年魚および2年魚に発生した連鎖球菌症に対して,EMは25~50mg/kg/日,4~7日間の混餌投与により治療効果を有することが認められた。2. EMはOTC(50~80mg/kg/日,5日間)およびABPC(20 mg/kg/日,8日間)混餌投与よりも本症による死亡率を顕著に低下させることが認められた。また,ABPC投与で無効であった病魚群に対してもEMは25mg/kg/日,5日間の投与により有効であった。3. EMによる治療後の観察において,本症の再発は認められず,EMに起因する異常魚の発生は認められなかった。4. 以上のことからEMは養殖ハマチの連鎖球菌症に対して有用な治療薬であり,その使用法としては25~50mg/kg/日,1日1回5~7日間の混餌投与が適当と考えられる。
  • 腹腔内注射した炭粉の貪食
    森 真朗
    1980 年 15 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1980/07/31
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1. キンギョの腹腔内に墨汁を注射し経時的にとり上げ異物貪食系について組織学的に検討した。2. 墨汁中の炭粉は脾臓莢組織の莢大円形細胞,腎臓造血組織の細網内皮細胞,心室の内皮細胞に貪食された。脾臓,腎臓では炭粉を貪食したマクロファージがメラノ・マクロファージ・センターに集簇した。肝臓と鰓では炭粉のとり込みは認められなかった。3. 血液塗抹標本の観察では大単核細胞と類推される大型貪食細胞と同定未了の小型貪食細胞に炭粉が貪食されていた。
  • 柏木 哲, 杉本 昇, 松田 敏生
    1980 年 15 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1980/07/31
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     養殖ウナギのパラコロ病原因菌に対するFZDの試験管内抗菌力および人工感染試験における効果について検討し以下の結果を得た。1.パラコロ病原因菌に対するFZDのMICは0.03ppmから5ppmの範囲であった。2.人工感染試験においてFZDは1ppmの薬浴で高感受性菌株に対して効果が認められた。低感受性株に対しては4ppmの薬浴で効果が認められたが,生残率70%であり,高感受性株と比較すると効果は劣った。3.FZD高感受性株を用いた人工感染試験の場合,NP, OTC, CP, NAはそれぞれ0.4,25,30,5ppmで効果が認められた。FZD低感受性株を用いた場合, NP,OTC, CPは試験濃度範囲において効果が認められなかったがNAは0.5 ppmでも効果が認められた。
  • 井上 潔, 志村 茂, 斉藤 実, 西村 和久
    1980 年 15 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1980/07/31
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1. チョウモドキに対するトリクロルホンの殺虫効果を調べ,高水温・高pHによってその効果が高まることを示した。2.ヤマメ1年魚に寄生するチョウモドキに対して駆虫実験を行ない,50~100ppm 30分,200ppm 20分の薬浴において,高い駆虫効果が認められた。3.薬浴に伴う魚体への薬剤の影響を,ヤマメ・カワマス・ニジマス・ブラウンマスの4種のサケ科魚類について調べた結果,チョウモドキの駆除を行なう薬剤濃度および時間の範囲では,トリクロルホンの魚体への影響を無視できると考えられる。
  • 志村 茂, 江草 周三
    1980 年 15 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1980/07/31
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1.チョウモドキの産卵は,通常,夜間に行なわれるが,人為的に暗条件を作れば,日中でも産卵を行なった。2.産卵と水深との関係を調べる実験を,水深65cmと140cmの池で行なった結果,いずれも池の下層に卵塊が多かった。水深65cmの池では水深45~65 cm層に全体の88%, 140cmの池では100~140 cm層に74%の卵塊が産みつけられていた。3.産出基盤の表面形状に関して,表面あらさが0.5μm以下の透明ガラスなどの滑面には卵塊が少なく,50μm以上の木材などの粗面にもあまり産みつけられず,9μmのすりガラスや素焼き板の上に多く産みつけられていた。
  • 免疫螢光直接法によるパラコロ病診断の基礎的検討
    堀内 三津幸, 佐藤 勉, 高木 博元, 戸塚 耕二
    1980 年 15 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 1980/07/31
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     養殖ウナギのパラコロ病の迅速診断に免疫螢光直接法を応用するため,基礎的な検討を行なったところ,以下のことが判明し,有用性の高いことが推察された。1)FITC標識抗 E. tarda E-8株家兎IgG(F/Pモル比:1.3)を作製し,これを人為感染魚のスタンプ標本に応用したところ,満足すべき特異反応性が確認された。2)本標識抗体はウナギ由来のE. tarda 18菌株に対し1:16ないし1:32の反応力価を有するが,E. tarda以外のウナギ由来病原細菌(V. anguillarum,Vibrio sp.,A. liquefaciens, Aeromonas sp.,F.columnarisおよびPs. anguilliseptica),アユ由来V. anguillarum,コイ由来A.liquefaciens,チダイ由来Ps. fluorescensおよびPs.putida(ATCC 12633株)とは反応せず,また,腸内細菌科のEscherichia coli, Salmonella sp.およびS. marcescensとも反応しなかった。3)スタンプ標本上のE. tardaの被染色性は,37℃に11日間放置しても安定であった。4)10%ホルマリン液にて固定した病魚材料への応用でも,螢光強度はわずかに弱まるものの特異螢光が確認された。
  • 小川 和夫
    1980 年 15 巻 1 号 p. 57-58
    発行日: 1980/07/31
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
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