日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
22 巻, 5 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 井戸 佳奈, 佐伯 晋成, 油布 克己, 熊野 夏美, 松崎 孝
    2002 年 22 巻 5 号 p. 189-192
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    Novametrix社製NICOTMにより測定した心拍出量(NCO)の精度を検討するため,肺疾患をもたない心臓血管外科予定手術患者7例を対象に,NCO,肺動脈カテーテルによる持続心拍出量モニター値(CCO)と冷水注入による測定値(TCO)を同時に記録した.TCOに対するNCOとCCOの相関係数は0.783(p<0.001)と0.909(p<0.001)であった.一次回帰式はNCO=0.72×TCO+1.16,CCO=0.88×TCO+0.30, Bland-Altman plotの結果は,NCOが-0.65±1.48l・min-1, CCOが-0.42±0.97l・min-1であり,NICOTMは心拍出量モニターとして有用と思われた.
  • 佐々木 俊郎, 麻賀 太郎, 柴田 俊成
    2002 年 22 巻 5 号 p. 193-197
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    乳癌手術時に,センチネルリンパ節生検のため腫瘍直上皮内に注入されたパテントブルーが,脈波型酸素飽和度測定に与える影響について検討した.パテントブルー30mg注入後30分で経皮的酸素飽和度(以下SpO2)が有意に低下した.パテントブルー注入によるSpO2低下は注入後90分まで持続した.パテントブルーは640nm付近の吸光度が最大で,酸素ヘモグロビンの吸光度が最小となる波長に一致する.この波長は脈波型酸素飽和度測定に利用されており,赤色光の吸光係数が増加し赤色光と赤外光の吸光係数の比が増加するため,SpO2が低下したと考えられる.
  • 明星 康裕, 遠山 一喜, 瀧 康則, 木元 文彦
    2002 年 22 巻 5 号 p. 198-201
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    先天性プロテインS欠乏症は,常染色体優性遺伝疾患で,ここ数年血栓性疾患として注目されている.プロテインS欠乏症は妊娠中や抗凝固療法中は診断が困難であるため,産褥後に抗凝固療法を中断して確定診断しなければならない.今回,妊娠中に出血傾向が出現し,凝固機能検査で先天性プロテインS欠乏症が疑われた双胎妊娠患者の帝王切開術の麻酔を経験した.妊娠中より産褥期まで抗凝固療法と物理療法を継続し,帝王切開術の麻酔は脊髄クモ膜下麻酔,早期離床のため術後硬膜外鎮痛法を施行した.周術期にわたって血栓症は発症しなかった.抗凝固療法終了後に先天性プロテインS欠乏症が診断できた.
  • 田尻 治, 舘田 武志, 西木戸 修, 笹野 淳, 磯村 朗子, 谷 知佐子
    2002 年 22 巻 5 号 p. 202-206
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    剣状突起結合体児分離手術の麻酔管理を経験した.症例は生後56日の女児で合計体重は6,480gであった.肝臓の一部を共有していたが他臓器に奇形はなく,交差循環もほとんど存在しなかった.麻酔導入はセボフルランでの緩徐導入とし,マスク換気が可能であることを確認した後,筋弛緩薬投与し気管挿管を行った.術中・術後は問題なく経過し,術後13日目に退院した.結合双体児分離手術の麻酔では合併奇形,重要臓器共有や交差循環の評価などの術前準備に加え,気道確保,術中出血への対応など,その管理は特殊で煩雑となる.スタッフ間で術前カンファレンスやリハーサルを行い,各自が病態の把握と術中の役割分担を確認しておくことが重要である.
  • 高祖 真樹子, 香川 哲郎, 木村 好江, 尾原 秀史
    2002 年 22 巻 5 号 p. 207-210
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/12/11
    ジャーナル フリー
    僧帽弁狭窄症(以下MS)を合併し心不全状態にあった妊婦の帝王切開の麻酔を経験した.妊娠31週の精査にてMSと診断され,33週には心不全(NYHAIV)となり,治療にても軽快しないため帝王切開を施行することとなった.周術期に循環虚脱の可能性を考慮し,経皮的人工心肺補助装置(以下PCPS)をスタンバイする計画を立てた。PCPSに伴うヘパリンの使用を考慮し,手術当日用いる硬膜外カテーテルは手術前日に留置した.術当日は硬膜外腔に0.25%ブピバカインを投与しつつPCPSのシースを挿入しTh6からS4までの無痛域を得て帝王切開を行った.
feedback
Top