本報は,フッ素ゴムの研削加工における超音波振動の援用が砥石作業面と被削面に及ぼす影響を明らかにし,それに基づいて高精度表面仕上げの実現を試みるものである.卓上型3軸加工機上に超音波援用研削システムを構築し,超音波援用研削と慣用研削を比較しながら実験を行った.超音波援用研削では,砥石作業面における目づまりが低減され,フッ素ゴムの被削面が平滑に形成されることがわかった.また,これらの要因は,研削温度の低減と切りくずの微細化に基づくものであることを確かめた.さらに,これらの知見を元に,条件を最適化することによって,従来よりも高能率で表面粗さの要求値を達成できることを示した.