本研究は光弾性法と光源の同期による撮影手法,および二次元切削モデルを用い,背分力方向の超音波振動切削によって生じる超音波帯域の動的な被削材内部応力分布の変化を観察および分析することにより,加工現象を究明することを目的とする.背分力方向の超音波振動切削は近年応用事例が増えているが,超音波帯域の現象については測定や可視化が困難であり十分な解明がされていない.実験に用いた工具逃げ角は10 °,20 °,30 °である.刃先前方には圧縮応力分布が見られ,工具と被削材の相対位置が最下点となったとき,応力が作用する面積は最大となった.また,工具逃げ角が小さいほど応力が作用する面積は比例して大きくなった.これは,逃げ面が被加工面を押しつぶしたことにより発生した現象であり,工具の逃げ角が小さいほど超音波振動一周期における干渉体積が大きいことに起因することが明らかとなった.