日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
4 巻, 4 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
表紙・目次
〔一般研究発表〕
  • 志賀 康子
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 1-4
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校6年生の児童を対象に、算数の面積問題におけるメタ認知とフィードバックの関係について検討を行なった。自己の解答に対する確信度をメタ認知の指標として、フィードバックがモニタリングにどのように影響し、その結果ここでのメタ認知の指標とした確信度がどのようなパターンであらわれるかを調べたものである。フィードバックを利用し正しくモニタリングされていれば自己の遂行を正しく評定することが可能であり、実際の遂行の結果と確信度は一致すると予想される。しかし、かえってフィードバックを得たことでモニタリングに混乱をもたらす場合もあるのではないかと予想される。これらのことについて検討を行なった。
  • 石塚 哲夫
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 5-8
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    理科部員会を中心に, 数台のコンピュータを使い実践してきた授業での展開の例を以下述べてみたい。提示装置としてのコンピュータの利用からはじまり, シミュレーション, 実験測定装置としての利用について実践してきた。「地震の学習」におけるシミュレーションでは, 画像とコンピュータの作図機能を生かした展開を試みた。地震のP波とS波の伝わる様子を画面に出し, 各地に伝わる時間を測定させ, 速さを求めさせる。「金星の満ち欠け」のシミュレーションでは, 地球と金星の位置から満ち欠けを割り出すものである。実験測定はMSXパソコンとI/Oインターフェースを使った, 音センサーを使ってみた。
  • 助川 公継
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 9-12
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学校理科第2分野「地球と宇宙」の単元で, 生徒の主体的な学習活動を支援するために, パソコンを用いたシミュレーションプログラムを開発し, 授業で利用した。太陽系の惑星である金星と火星の動きを調べる授業で, 生徒の問題解決の場へ, 思考の援助として本プログラムを導入した。見方・考え方を深めるためグラフィックスによる描画を地球上からだけでなく金星, 火星から見てみるといった工夫をした。課題の解決へ向け, 画面上のいくつかの場面から, 時には自ら選択しながら, 迫っていくことをねらいとした。個々の考え方を, 確認したり, 新たな視点から考え直したり, 既習の内容を確認したり, イメージ化し易くしたり, というように利用の方法を考えて実施した。コンピュータの利用と併せて, 個人やグループに対して, 思考を促すようなはたらきかけについても考察した。
  • 小山 征雄
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 13-16
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学校理科第2分野「生物どうしのつながり=食物連鎖」の単元を通してこれまでに培ってきた知識や技能をもとに自己の課題を追求させていくのにその成果が最も発揮しやすい単元である。中学3年という発達段階から考えても知的好奇心, 知識量ともに増えており, 一つの単元で自己の課題を立てて, 課題を追求する過程で生徒一人一人にとって新しい試みを生み出していく力を育てていくことができるように授業構成をしていくことが肝要である。また, 解決の過程で, 生徒一人一人が1時間1時間の学習をどのように受け止め, そこから派生する課題をどのように解決していくのかを検討してみた。また, 今後の選択教科「理科」では, これまでよりも十分な時間を与えて生徒一人一人の特性に応じた課題を主体的に取り組ませることにより, 創造的な活動を通しての理科が行えるものと考える。
  • 立木 徹
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 17-22
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    細菌の働きを中心とする「環境教育」に先行して、植物・動物の物質・エネルギー代謝の学習を行なうことにした。ルール・システムを形成することによって、さまざまな問題解決が可能になると考え、テキストを作成した。その際、「単純なルールを作成する」という教授原則を採用し、さまざまな事例についての発問を用意した。そこで使用された事例は、学習者の経験可能性のあるもの、ルールの使用を大きく拡大するような性質を持ったものである。短大生を対象として、2か月の授業を行なった結果、目標が達成された。
  • 貝沼 喜兵
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 23-28
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ファージは、分子遺伝学の研究材料として極めて優れた特徴を持っており、これを用いた著名な研究が多数ある. 中でもS. Benzerによるファージの微細構造の研究によるレコン、ミュトン、シストロンなどの概念の提起は著名である. 現在、ファージは、組換えDNA技術のベクターとしても良く利用されている. 高校選択生物でも、ファージは, "DNAが遺伝子の本体である"ことを明確に実証したHersheyとChaseの実験が、多くの教科書に記載されている. にもかかわらず、選択生物では、ファージの教材化に関する報告は極めて少ない. そこで筆者は、ファージの教材化に関し、次の観点で取り組んだ. 1 ファージを通して何を指導するか. 2 教師実験と生徒実験との関連性. 3 生徒の実験に対する技能や、実験目的の理解度の調査. 4 ファージを用いた生徒の課題研究のあり方の検討. これらの課題を明らかにするため、次の5種類の実験を実施した.実験1 : ファージの遺伝形質を調べる 実験2 : 一段増殖 (ファージのlife cycleを調べる) 実験3 : 突然変異株の分離とミュトンの検討 実験4 : シス・トランス相補性テストによるシストロンの検討 実験5 : 三点交配による遺伝子地図の作成とレコンの検討 これら、5種の生徒実験は、ほぼ予定したデータを得て成功した. また生徒の実験に対する理解度も比較的高いことがレポートの課題の調査の結果分かった.
  • 荒木 一美
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 29-32
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    21世紀の時代は, 高度技術化, 情報化, 国際化が一段と進む時代であると予想され, そういう時代に対応できる青少年の育成の一環として, 昭和59年にコンピュータが導入された。しかし, 導入当時はコンピュータに取り組んでいる学校は全国でも数少なく, 研究の方向や方法がなかなかつかめない状態だった。海外及び先進校視察, 校内研修などで研究を深め, 今日に至った。当初はドリル的あるいはチュートリアル的活用が主であり, ともかく, 授業の中でコンピュータを使用することに力点がおかれていた。また, 授業の場もコンピュータ室に限られていた。しかし, 理科学習においては観察実験を重視する立場から, コンピュータを理科室に設置することとした。コンピュータの活用方法についても, 情報活用能力を育成するためには, むしろ, データベース的活用が適していると考えた。さらに, 場面場面に応じて, チュートリアル的, アニメーション的要素を加えるなど, 一層効果的な活用方法を研究している。
  • 東 昌子, 鴨志田 義英
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 33-36
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    情報を創造し情報手段を活用する能力を育成し, 情報化の影の部分に対応するためのコンピュータの利用方法を考案した。主体的な探究活動の過程をビデオカメラで撮影し, その映像を利用してコンピュータで新しい情報を作り出させることを, 中学校のクラブ活動における試行事例で報告する。
  • 奥山 拓雄, 竹田 洋二, 西原口 伸一, 向平 泱, 篠原 文陽児, 木村 捨雄
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 37-42
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学校「情報基礎」は生徒が初めて、コンピュータを系統的に学習する機会であり、広い視野で「情報活用」能力を捉え、その育成を指導する必要のある領域である。そこで、情報活用能力を高めるためには、さまざまな思考や学習活動を育成することが必要である。中学校「情報基礎」を通して、思考や活動の育成ができるかどうか、実践と評価を報告している。なお、思考には、さまざまな思考があるが、今回は中学校技術・家庭の教科目標でもある「創造的」思考を取り上げ、活動については、学習の場において大切な、意欲に基づく自己学習や、協同学習に視点を置いている。
  • 竹田 洋二, 奥山 拓雄, 篠原 文陽児
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 43-48
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学校「情報基礎」の指導は生徒が「情報活用」の道具としてコンピュータを使用できる能力の育成を目指すとともに、生徒の「個性」や「創造性」を重視し、生徒の身近な題材を取上げた「問題解決」の経験を豊富に与えることが重要である。また、プログラミングで問題解決の考え方を指導する際の命令語は必要最小限にとどめ、生徒に工夫させる配慮が必要であると思われる。
  • 久田 隆基, 藤岡 睦也, 宮城島 正仁
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 49-54
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では, 初等・中等教育段階における科学教育の基礎として欠くことのできない科学的記述力についての指導法の確立を図ることを目的とする. このため, (1) 実験や観察における「事実」と推諭や判断などの「説明」との混同を避けた明確な表現をする指導を盛り込んだ理科の指導案を設計すること, (2) その授業案に基づき, 授業を実施すること, (3) 授業の事後分析を通しての科学的記述力の教育方法としての評価を行うことなどを通して科学的記述力を育成するための指導法の定型化を提案することをめざした。今回は中学校1年「物質とその変化」の単元を指導内容とし, 3つの学級を対象として, 15〜18校時にわたって, 言語指導を盛り込んだ授業実践を行った。授業実践を通しての生徒の記述物の分析およびアンケート調査の結果から, 言語指導の有効性の有無, 言語指導における問題点, 指導プロセスの定型化のための考慮事項などについて述べる.
  • 佐伯 卓也
    原稿種別: 本文
    1990 年 4 巻 4 号 p. 55-60
    発行日: 1990/01/20
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    一般の教育の立場から始まり、筆者の専門の数学教育に至るまで、「ヒトの創造性」と「ヒトの文化としての教育」の関係を考察することは大きな問題である。しかも、これが回答である、という形では解決されにくい問題である。ここでは、その入り口として、ヒトの創造性はやはりヒトの脳生理学から始めなければいけないことを提案したい。
シンポジウム:『科学教育と創造性』
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