本稿は,「探究スキルの性質」(Nature of Inquiry Skill)の内容構成を事例として取り上げ,米国の理科カリキュラムにおける"Nature of Science"の内容構成の特質を明らかにすることを目的とした。理科カリキュラム分析の対象は,『全米科学教育スタンダード』と『科学的リテラシーのための基準』,さらに,米国中等前期教育段階で使用されている理科教科書とした。その結果,『全米科学教育スタンダード』や『科学的リテラシーのための基準』では,「探究としての科学」の内容領域において,「探究スキルの性質」の内容に関する学習が設定され,また,理科教科書では,生徒が,単に観察や実験などの活動の中で探究スキルを行うことが設定されていただけでなく,"Nature of Science"に関する単元の中で,例えば,「観察」や「推論」などの探究スキルを区別し,それらの探究スキルがどのような行為であるのか,「観察」や「推論」はどのように異なる行為であるかについても理解させることが強調され,学習するように設定されていたことが明らかになった。
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