日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
32 巻, 6 号
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表紙・目次
発表
  • -ハイファ大学の事例-
    北澤 武, 望月 俊男, 山口 悦司
    2018 年32 巻6 号 p. 1-4
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    筆者らは,我が国における学習科学の専門家養成に向けた情報収集を行うために,諸外国における学習科学の教育プログラムについて調査を行ってきた(大浦ほか 2017;河﨑ほか 2017;河野ほか 2017)。この調査の一環として,本稿では,イスラエルのハイファ大学に着目した調査を行った。ハイファ大学の教師教育プログラムでは,学習科学が重視され,これに関する授業が複数開設されていることが明らかになった。

  • -誤謬論を中心に-
    山本 輝太郎, 石川 幹人
    2018 年32 巻6 号 p. 5-8
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    たとえばPISA(OECD 生徒の学習到達度調査)では,生徒が習得を目指す科学的リテラシーに関して,科学・技術に関する議論に積極的に参加できる態度の形成が望ましいとしている.また,議論を建設的に行うために,誤った論法=誤謬に陥らないようにすることが重要である.そこで,筆者らが構築・運営している「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」におけるコメントを事例とし,科学が関与する議論においてどのような誤謬がみられるかについて分析した.結果,議論を閲覧する第三者に向けて自身の主張の正当性を演出するような誤謬が多くみられた.これを,現代社会におけるネット上での議論に特有の問題として位置づけ,こうした方面を重点的に学習する教材開発を目指している.

  • 下吉 美香
    2018 年32 巻6 号 p. 9-12
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    本研究では,次期学習指導要領の小学校理科,生物領域に示されている見方,「多様性と共通性」の視点に着目し,子どもたちにとって有効な学習となるよう単元をデザインし,その効果検証を行った。その結果,科学的な見方・考え方をはたらかせながら,ヒトである「自分自身」と身のまわりの「植物」の体の巧みさ,生命の尊さに気付く姿,「生物多様性」の観点から地球環境をとらえようとする子どもの姿が表出された。また,問題解決を行う過程において,どのような手立てや形態が有効かについても子どもの姿から明らかとなった。

  • -超音波距離センサを用いた活動を中心に-
    天羽 康
    2018 年32 巻6 号 p. 17-22
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    次期学習指導要領の改訂において,「理数探究」の新設が予定されており,ICT機器の活用の充実化も求められている。また,「理数探究」に取り組むにあたり,深い探究を材,ICT 機器を扱うような教材,理科の現象伴を数う教学で探究するような教材を蓄積していくことが今後の課題である。そこで,実験結果の処理が簡単にできる超音波距離センサに注目し,実験を通して重力と摩擦の関係を探る教材を開発した。本稿では,教材開発の意図,実践の概要を報告するとともに,高校1年生を対象として行った授業実践をもとに成果と課題を考察した。

  • 平田 昭雄, 青戸 優花
    2018 年32 巻6 号 p. 23-28
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    平成20年代日本で文部科学省他の日本国政府当局により発行された3点の中学生向け放射線教育関連副読本の内容を分析し見較べたところ、次のようなことが確認された。すなわち、初代副読本においては原子力発電と放射線関連科学技術が、二代副読本においては放射線の性質と被曝の影響が、三代副読本においては原発事故と放射線被害、被曝、復興が、それぞれ重点的に扱われるという変遷を辿っていた。そして、各副読本の作成、発行に当たっては、国のエネルギー基本計画、2011年3月の原発事故、同事故により生じた被災者の実情、などの社会的情勢が強く影響していたことを認識した。"

  • 吉川 佳佑, 島 弘幸
    2018 年32 巻6 号 p. 33-36
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    虹をテーマとした「光の回折・干渉」の実験は、目にした生徒の印象に残りやすく、光の波動性を学ぶのに適した実験の一つである。本稿では光ディスク(CD やDVD 等)を用いて、二重同心円の虹模様を、教室の壁いっぱいに作り出す手法を紹介する。本手法で二重の虹の円を実演した後、その仕組みを生徒に考えさせることで、回折・干渉に関する生徒の理解を促すことができる。さらに手軽で安全な道具のみを用いることから、生徒自身が実験条件を自由に工夫して、虹の変化を楽しむことができる。

  • -スウェーデン・スカンセンの事例-
    三宅 志穂, 高岡 素子
    2018 年32 巻6 号 p. 37-40
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    著者らは, 近年, 動物園で顕著に取り組みの進んでいる生物多様性保全について, 海外の展示手法から, その具体的内容の特色を見いだす研究に取り組んでいる。 本稿ではスウェーデン ・ スカンセン (Skansen) の動物展示を調査した結果について報告する。スカンセンの展示を通して, 動物の生息環境や食性など生態学的な側面だけでなく, 人間活動与えている影響についても伝えていることや, 実際の生息環境を擬似的に反映した展示レイアウトといった工夫が見られた。 動物を見るだけでなく, 動物の生息環境についても理解, 想像できる展示が生物多様性保全への人々の関心を高める一端であるのかもしれない。

  • 福井 智紀, 内藤 覚哉
    2018 年32 巻6 号 p. 41-46
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    遺伝子編集技術によって実現可能性が高まりつつある「デザイナー・ベビー」に焦点を当て,その現状や可能性と問題点について理解したうえで,生徒がグループ討論するための理科教材を開発した。討論では,市民参加型テクノロジー・アセスメントの手法のひとつであるフューチャーサーチを,大幅に簡略化して取り入れた。教材は,中学校理科の免許を取得する教職課程学生を対象に試行した。試行後のアンケート結果と発話分析から,一定の活用効果が明確になり,教材としての必要性についても高い評価を得た。しかし,説明や指示の分かりやすさなど,さらなる改善点も残されていることが明確になった。

  • -航空機を用いた無重力実験-
    岩下 詩乃, 鎌田 正裕
    2018 年32 巻6 号 p. 47-52
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    近年、メディアを通して誰もが国際宇宙ステーション*KUU+で活動する宇宙飛行士の様子を見ることができる。無重力環境での様々な現象を考える時間は、児童生徒に新たな視点で力学と向き合う機会となり、「質量と重さの違い」や「慣性の法則」「作用・反作用の法則」などの理解を深めると考える。しかし、KUU での映像は理科の学びを得るための教材として用いられるよりもむしろ無重力の世界の不思議を見せるエンターテイメントとしての要素が強いと考える。そこで本研究では、理科の授業で使える無重力実験教材の開発を目指し、航空機を用いた無重力実験を行った。また、児童生徒が無重力環境を身近に感じられるよう地上で行う無重力実験装置の開発も行い、航空機で行う無重力実験に実感を伴 った理解ができるようにした。それらを用いて授業実践を行い、無重力実験教材は理科の学びを得るための教材として有効なものであるのかを確かめた。

  • 坂井 英夫, 鎌田 正裕
    2018 年32 巻6 号 p. 53-56
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    中等教育の理科の教科書において,実用電池はその内部構造を含めて紹介されているが,生徒実験において実用電池を扱うことは少ない。また,中等教育の化学実験は,獲得した知識や技能を活用して思考力・判断力・表現力を育成する探究活動を授業の中で行うことは,それほど多くない。簡単に作製できる実用電池を開発し,生徒が工夫可能な条件を設定することで,生徒がより性能の高い電池を目指して主体的に活動することを可能にした。また,科学的に電池の性能を評価・記録する方法を検討することで,科学的に探究する能力と態度の育成が可能になると考え,その評価も併せて検討した。

  • 竺沙 敏彦
    2018 年32 巻6 号 p. 57-62
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/07/01
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    次期学習指導要領では,「主体的・対話的で深い学び」を重視した授業実践が求められているが,そのために用いる「問題」は必ずしも豊富にあるわけではない.本稿においては,現実の問題を用いて問題解決をするために,一枚の紙を用いて可能な限り容積の大きな容器を作るという新たな教材開発を行った.その際、A4用紙を用いて作成できる直方体型容器の最大容積を求めることができた.本稿では、その活用事例について報告するとともに,教材開発及び実践を通して主体的・対話的で深い学びに繋がる得られた示唆を報告する.

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