細菌は私たちの身の回りに多く生息するが普段はその小ささから細菌個体を肉眼で確認することはできない.また,ヒトや細菌を含む全ての細胞は遺伝子によって支配されているが,その遺伝を研究する分野である生命科学が行う実験は生徒には難しいと考えられがちである.しかし,細菌の形態観察や特定の遺伝子の存在を確認する実験は生徒でも可能なものである.納豆菌(Bacills subtilis var. natto)は入手が容易で安全な菌であり,生徒を対象とする微生物実験には最適である.本稿では,発酵食品である納豆に存在する納豆菌の顕微鏡観察法,抗菌薬感受性試験,納豆菌のDNA抽出,PCR法及びオルソログのアライメント作成を紹介する. 細菌の形態と遺伝子の存在を確かめ,生命科学分野における実験方法の理解を深めることは科学に対する生徒の関心を高め確かな学力の育成に寄与すると考えられる.
本研究の目的は,米国の次世代科学スタンダードにおける Nature of Science の内容構成、Nature of Science の内容と科学的・工学的な実践及び領域横断的な概念の関連性を解明することである。研究の結果として以下の 3 点を挙げることができた。第1 に、Nature of Science の内容は、「学問上核となる知識」の一つではないものの独立した学習内容として導入されていたこと。次に、次世代科学スタンダードに導入されたNature of Science の内容は、具体的に 8 つの内容であり、それらは科学史を活用しながら、科学的・工学的な実践と領域横断的な概念と関連づけて学習することとなっていたこと。そして、Nature of Science の内容と科学的・工学的な実践との関連については、領域横断的な概念と比べると、内容に応じて幅広く関連付けられていた。しかしその一方で、Nature of Science の内容と領域横断的な概念との関連については偏りが見られた。