日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
29 巻, 2 号
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表紙・目次
発表
  • 結合エネルギーの考えを踏まえて
    山田 和季, 今村 哲史, 土井 正路
    2014 年 29 巻 2 号 p. 1-4
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,中学校第2学年理科の「化学変化と熱の出入り」において,発熱反応と吸熱反応が進むしくみを題材とし,結合エネルギーの視点を踏まえた授業を計画・実践した。授業後に化学変化と熱エネルギーに関する生徒の考えを調査した。その結果,発熱反応の場合,反応前に比べて反応途中でエネルギーが大きくなると 77%の生徒が回答していたが,結合エネルギーとの関係を指摘する生徒は少なかった。反応後のエネルギー状態の正解者は 44%であり,エネルギー図を取り入れた指導の効果はみられたものの課題も残った。
  • 岩手県・宮城県教員を対象としたアンケート調査から
    川村 教一, 山下 清次
    2014 年 29 巻 2 号 p. 5-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    岩手県中・部および宮城県北部の公立小学校教員のうち,2011年東北地方太平洋沖地震後に 6年生理科指導経験のある方を対象に,地震学習に関するアンケート調査を 2014年 2月~3月に実施した。回答した教員の半数強は,地震の授業に臨む際,困難に直面した経験があり,その多くは授業に起因するメンタル面での児童への影響を心配した点であった。地震に関する授業の工夫の内容について,津波被災地区では,地震・津波の内容を重視する指導を行った教員と,これらの内容を軽減させて指導を行った教員とに分かれた。非津波被災地区の教員の多くは,2011年の地震・津波や震災,防災を積極的に取り入れた授業を行った。この場合でも,授業においては児童の心情を推し量りながら展開する必要があった。
  • 吉川 千詠, 川村 教一
    2014 年 29 巻 2 号 p. 11-16
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校低学年に見合った科学教育を行うために,2014 年 5 月から小学生を対象とした科学教室を月に 1 回開催した。この科学教室は,物理や化学,生物,地学分野の自然科学の内容全般を含んでいる。科学教室の活動項目ごとに4観点別の評価規準を設定し,その評価規準が達成されたかを質問紙や児童観察をもとに分析した。これまでに行った計 5回の科学教室では,ほとんどの実施回で評価規準を概ね達成することができた。
  • 小瀧 健吾, 川村 教一
    2014 年 29 巻 2 号 p. 17-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校教員養成課程の大学生は,川に流れる水のはたらきに関して河原の堆積物を観察することにより,河川砂成因認識が変化するのか明らかにするために,秋田大学の学生を対象に調査を行った。この結果,多くの学生は河川砂形成について不適切な素朴理論を抱いており,野外実習を経ても,調査の結論を不適切な仮説から変えなかった。また,仮説から変えた学生でも,河川砂の形成について正しい考えをもつものはいなかった。このことから,河川砂の形成について大学生がもつ素朴理論は強固なものだと考えられる。
  • 三橋 功一
    2014 年 29 巻 2 号 p. 21-26
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    教育実習前の学部 2 年(約 260 名)対象の教科教育(「小学校算数科教育法」)において,教師の実践的知識・能力として「授業研究・授業づくり」に焦点をあて,「自律学習を基盤とした協働学習による授業プログラム」を開発した。授業づくりプログラムは,「教科内容を,授業を想定し問題・課題設定と教授・学習過程構成」を行うとともにその手続き・知識等の獲得をめざすものであり、小学校算数の教材研究・授業づくりにおける「小学校算数教科用図書分析」を中心とした学生の学びを検討した。
  • -鉛直投げ上げ運動する物体にはたらく力を例として-
    松橋 龍平, 川村 教一
    2014 年 29 巻 2 号 p. 27-30
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    大学生を対象として,鉛直投げ上げ運動の中でも上昇中の物体における上向きの力についてのアンケート調査を行った。その結果,MIF 概念とそれに伴う力の増減の理由の回答状況について,高校物理履修群と非履修群の間に差異を見出した。また,力の増減については,両群とも同じような回答傾向が見られた。
  • -「電気と磁気」領域を例として-
    加藤 基, 川村 教一
    2014 年 29 巻 2 号 p. 31-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    米国の STEM 教育と我が国で現在行われている中等教育理科について,「電気と磁気」領域を例として文献調査に基づいた比較を行った。この結果,STEM 教育の方が,現在の科学技術開発に即したより実用的な内容を取り扱っていることが明らかになった。
  • 「すべすべ・つるつるの石の展覧会」に出品した児童について
    TAGUCHI Mizuho
    2014 年 29 巻 2 号 p. 35-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,児童の石に対する興味・関心を高めることを目的として行ったものである。筆者が勤務する由利本荘市は秋田県の南西部に位置し,山と田畑に囲まれる,自然豊かな地域である。その中に暮らす児童であっても,石に対する意識は低いものであった。そこで児童に対し,石に対する興味・関心を高める試みとして,「石の展覧会」を実施したところ,児童の興味・関心を高めることができた。そして,第 4 回「すべすべ・つるつるの石の展覧会」に出品した児童アンケートから,次のことが明らかになった。1 展覧会に出品した児童は,石が好きで,石を見る傾向があるということ2 展覧会を通じて,児童の石に対する興味・関心が高まったこと3 出品していない児童の中にも,石に対する興味・関心が高まっている児童がいること
  • 田畑 優希, 安川 洋生
    2014 年 29 巻 2 号 p. 39-42
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    細菌は私たちの身の回りに多く生息するが普段はその小ささから細菌個体を肉眼で確認することはできない.また,ヒトや細菌を含む全ての細胞は遺伝子によって支配されているが,その遺伝を研究する分野である生命科学が行う実験は生徒には難しいと考えられがちである.しかし,細菌の形態観察や特定の遺伝子の存在を確認する実験は生徒でも可能なものである.納豆菌(Bacills subtilis var. natto) は入手が容易で安全な菌であり,生徒を対象とする微生物実験には最適である.本稿では,発酵食品である納豆に存在する納豆菌の顕微鏡観察法,抗菌薬感受性試験,納豆菌のDNA抽出,PCR法及びオルソログのアライメント作成を紹介する. 細菌の形態と遺伝子の存在を確かめ,生命科学分野における実験方法の理解を深めることは科学に対する生徒の関心を高め確かな学力の育成に寄与すると考えられる.
  • 笹川 洸, 山本 充孝, 小林 俊将, 安川 洋生
    2014 年 29 巻 2 号 p. 43-46
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    アユ冷水病はFlavobacterium psychrophilum(アユ冷水病菌)による致死性の魚病であり鰓,肝臓,腎臓の貧血や潰瘍等の穴あき症状などがある。本菌はもともと日本に生息していなかったが 1987年に徳島県の養殖アユから初めて本菌が確認され,その後,全国で感染が確認された。養殖場では他の魚病に対する対策としてテトラサイクリン系抗菌薬の一種であるオキシテトラサイクリンを汎用しているが,これにより本菌がこの抗菌薬に対して耐性をもつ危険がある。本研究では,滋賀県内及び岩手県内で分離されたアユ冷水病菌の同定,テトラサイクリン系抗菌薬に対する感受性試験,RAPD-PCR による遺伝子解析を行った。その結果,テトラサイクリン系抗菌薬に対し耐性を示す菌株がいることが分かった。さらに,菌株によってゲノムに差異があることもわかった。本研究は本菌の進化の進行を感受性試験による耐性の有無やDNAレベルの変化でとらえることができ,生命科学教育試料として生命科学の発展的な学習での利用が期待できる。
  • ~視覚をはじめとした体感経験を通して~
    氏家 章次
    2014 年 29 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    高校の化学(有機化学分野)の授業において、光学異性体についての実験や観察は旋光度を測定する器具の購入や作製を伴うなど、従来なかなか実施されにくい面があった。そこで、旋光度測定の実測VTRの観察、有機プラスチックモデルの活用などを行い、光学異性体の違いによる光の振動面の逆転を視覚的に理解させることができた。また、臭覚(匂い)や味覚(味)の違いとして体感させることなどにより、ほとんどの生徒に、より深く光学異性体の性質の違い等を理解させることができた。
  • ―科学的・工学的な実践及び領域横断的な概念との関連に着目して―
    鈴木 宏昭
    2014 年 29 巻 2 号 p. 53-56
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究の目的は,米国の次世代科学スタンダードにおける Nature of Science の内容構成、Nature of Science の内容と科学的・工学的な実践及び領域横断的な概念の関連性を解明することである。研究の結果として以下の 3 点を挙げることができた。第1 に、Nature of Science の内容は、「学問上核となる知識」の一つではないものの独立した学習内容として導入されていたこと。次に、次世代科学スタンダードに導入されたNature of Science の内容は、具体的に 8 つの内容であり、それらは科学史を活用しながら、科学的・工学的な実践と領域横断的な概念と関連づけて学習することとなっていたこと。そして、Nature of Science の内容と科学的・工学的な実践との関連については、領域横断的な概念と比べると、内容に応じて幅広く関連付けられていた。しかしその一方で、Nature of Science の内容と領域横断的な概念との関連については偏りが見られた。
  • 大澤 弘典
    2014 年 29 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    算数において,「同等と見なす技術」が具体的にどのように取り扱われているのかを明らかにするために,小学校第1学年用の教科書(学校図書,平成26年度用)に見られる記述内容について調査し,分析・考察した。その結果,次の知見を得た。①同等と見なす技術に係わる記述は,第  学年の教科書から見られる。②また,それらの記述は児童が違和感なく直感的に同等と見なすことができるように,基底構造としての絵や図などを駆使し記述されている。③さらに,それらの記述は数学的な拡がりを包含し,直面の算数指導にばかりでなくその後の授業展開や教材開発に利用可能である。
  • -角の二等分線を作図する場面の考察を通して-
    安達 心
    2014 年 29 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,中学校数学科における生徒の持つ傾向やつまずきに価値づけ,角の二等分線を作図する場面において,数学の本質に迫る教材を開発した。第3学年の生徒に対して,コンパスの半径を変えないで作図する特殊な作図方法に着目し,一般化である二度目のコンパスの使用に際してその半径を長くする作図方法との違いを模索する授業を行った。また,先端が切れている角の二等分線を作図する授業を,生徒の思考の流れに沿って分析・考察した。その結果,生徒は,半径を長くする一般化した作図方法を意識するとともに,今まで描いていた半径を変えない特殊な方法で作図することの意味も見出した。以上のことにより,生徒の視点に寄り添って生徒と共に教師が学ぶことで,生徒の理解が深まったり広がったりするという示唆を得た。
  • 小関 恭平
    2014 年 29 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小関(2013)では,発見する楽しさを感じる際には,教師の手立てや生徒とのかかわり方も影響することを明らかにした。しかし,偶然ではないかという課題がある。そこで,本研究では,教師が意図的に課題を設定することで生徒に数学の楽しさを感じさせる授業ができないか考え,授業を構想し,実践授業の分析・考察した。その結果,教師が意図的に「問い」を設定した授業によって,生徒の考えを多様化させることができ,生徒の疑問を生むことで,生徒に数学の楽しさを感じさせることができるのではないかという知見が得られた。
  • -全盲生の光に対する親しみの変化からの見えること-
    佐藤 尚生
    2014 年 29 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    視覚障害児への教科教育では、教科の専門性と視覚障害の特性への配慮という2つの専門性が必要である1)。また光の学習に関しては全盲生は未知の部分が多いため、より素朴な発想から学習を組み立てる必要がある。本研究は生徒の素朴な発想を生かしつつ、前述の専門性を満たしながら指導することで、生徒の光に対する親しみ(親近感を含んだプラスの感情)がどう変化していくかを確かめために行ったものである。結果として親しみが高まるほど、学習内容が生徒の素朴な発想の再構成によりよくかかわることになり、またその結果、生徒の素朴な発想が科学的概念に変化してきたと思われる。
  • ―教養教育科目で実施してみて̶
    村上 祐, 武井 隆明, 吉村 泰樹
    2014 年 29 巻 2 号 p. 79-82
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    福島の原発事故を受けて,次世代を担う大学生たちにどのような原発教育をし,何をどのように考えさせ判断させればよいかを検討してきた。原子力エネルギーの平和利用としての原発についてはいろいろな考え方・見方があるので,特に「多角的なものの見方・考え方や知識を習得し,創造的・個性的に生きる上で必要な深い教養を自ら培う」教養教育に適っていると考え,90 分 1 回を使って「原子力利用の技術と問題点」を解説した。その後,「日本の原発を今後どうするべきか」についてレポートを提出させた。以前のレポート・アンケート調査結果と比較すると,原発の特徴や課題あるいは問題点等を講義で紹介することが,学生の調査・学習活動を促すことに繋がっており,調べた文献やデータから自分なりに判断している学生が多いことがわかった。
  • 藤原 優, 名越 利幸
    2014 年 29 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    山本(2013)は,DVD-NHM を用いて数値予報を教材化し,その授業実践を中学生対象に行った.しかし,DVD-NHMでは局地気象現象の再現は簡単に行うことができるが,地形を取ったり海を陸にしたりするなど,仮想実験を行うことは難しい.先行研究の結果,気象庁 NHM に「NHM 統合環境」(1999)という数値実験プログラムが存在していたことがあることを知った.今回は,上野ら(1999)の論文にならい「NHM 統合環境」を現在のPC で作動させた時の計算所要時間のベンチマーク及び,「NHM 統合環境」の計算結果が現実に起こった気象現象とどのくらいの整合性があるかを調査した.その結果,現在のPC だと短い時間で数値実験をすることができる.したがって,気象現象について議論する教材として適していると判断した.この「NHM 統合環境」を用いた授業実践を行い,数値実験を行うことによる教育効果の検証を行う予定である.
  • 西山 絢美, 名越 利幸
    2014 年 29 巻 2 号 p. 87-90
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    高橋(2011)が「学校気象台」ライブカメラを用いて盛岡市上空に南北に伸びる波状雲を観測した.本研究では,気象庁の数値予報モデル「DVD‐NHM」と名古屋大学で開発された雲解像モデル「CReSS」を用いて 2011 年 12 月 13 日における波状雲を再現し,結果から力学的構造と発生場所を特定することを目的とし研究を行った.DVD-NHM では、明瞭に再現することはできなかったが、CReSS では、鮮明に再現することができた.さらに、CReSS の結果から、盛岡市上空だけではなく、青森県の八甲田、岩手県の八幡平市、紫波町、宮城県の蔵王町でも波状雲の発生を確認することができた.宮城県の蔵王町は、盛岡市よりも鉛直気流が強く鮮明であったが、雲に関しては盛岡市の方が鮮明に多く出ていることが確認できた.今後は、さらに盛岡市上空の波状雲について詳細に調査していきたい.
  • ~雨を降らす実験器具の製作~
    舘脇 壮, 名越 利幸
    2014 年 29 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    降水の過程を教室内で実験することができる実験器具の作製・開発を行った.降水の現象は水粒に表面張力が働くことで水粒は大きくなりづらい.そのため,目に見える大きさにまで成長させることが難しい.しかし,その実験器具の実用性を検証したところ目で確認できる大きさの水粒を発生させることができた.また,約6分の1程度に小型化することにも成功した.今後の展望として,義務教育の理科の授業に雨を降らせる実験教材を導入した授業実践を行い,教育効果を調査したい.
  • 村上 源太郎, 名越 利幸
    2014 年 29 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究室では奥羽山脈,雫石町上空,盛岡市上空に南北に伸びる波状雲を発見した.波状雲は,北西から吹く季節風が奥羽山脈の山越え気流となることで生じる定常状態にある雲である.お天気雨,風花,虹などの盛岡市でしばしば見られる気象現象の原因と考えられる波状雲は,盛岡市の気象を学ぶ上で重要な役割を担っていると考えられる.高橋(2012)は「学校気象台」動画データによる観測によって 2011 年の波状雲月別出現頻度をまとめた.北西の季節風が吹く冬に波状雲は頻繁に出現し,夏にはほとんど見られないことが分かった.本研究では 2012 年から 2014 年までの観測を行い,先行研究と同様の結果を得ることができた.また,今回の観測では南北に伸びる典型的な波状雲の他に岩手山を中心に弧を描くように形成する波状雲を発見した.これより波状雲の形成には奥羽山脈だけでなく岩手山も影響を及ぼしていることが考えられる.今後は気象条件との関係にだけでなく,地形効果との関係についても調べるため,シミュレーションソフトの利用や模型による再現を考えている.
  • 菅原 一貴, 名越 利幸
    2014 年 29 巻 2 号 p. 99-102
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    岩手県の雫石町,盛岡市上空には,日中に南北に伸びる定常状態の雲があり,「北岩手波状雲」と名称される局地気象現象がある.高橋 2012 の 「学校気象台」ライヴカメラによる観察から,波状雲があるということ,山本(2013)による数値シミュレーションから,上昇気流と下降気流の交互に起こる山岳波が確認された.この研究から、日中には波状雲は出ていることも確認されたが,夜間にはどうなっているのかという疑問を持った.本研究では,高橋(2012),山本(2013)と同様に 2011 年 12月 13日のデータを用いてこの現象を,雲解像モデルCReSS を用いた数値シミュレーションで再現し,「北岩手波状雲」日変化を調査する.24 時間出力を行い動画にした結果,夜間に波状雲ができていないことが確認することができた.また,今後の課題として,秋田側からの山脈越えの風の強さに影響されているのかということを調べていきたい.
  • 黒坂 優, 名越 利幸
    2014 年 29 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    愛媛県の大洲盆地で発生した霧が陸風によって長浜河口へ流れ出る,「肱川あらし」という局地風がある.2013年12月2日から4日にかけて「肱川あらし」を観測した.そのときの観測データから,地点ごとの風速・温度・湿度・気圧について結果をまとめた.長浜にあるアメダスの観測データや,これまでの論文のデータと照らし合わせ,当研究室が観測した2013年12月の「肱川あらし」について観測結果を報告する.観測結果から,「肱川あらし」の日変化の中に,凪の時間帯があることが確認できた.また,陸風が吹いている時間帯は湿度が高く,霧が伴っていることがわかった.V字谷の地形の前後で風速や湿度に違いがある可能性が見えてきた.次回の観測では,さらにその変化が顕著に見て取れる地点を検討していきたい.
  • 菅原 大樹, 名越 利幸
    2014 年 29 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現在の教育現場では,電子機器の導入が進んでおり,子ども達も違和感なく受け入れている.そこで,360°全球が撮影可能なカメラ「RICOH THETA」を理科教材化して使うことで,複数の事象を同時に観察し,相互に関連させて理解できるのではないかと考え,研究を行った.特に今回は,太陽の動きと日時計の影の変化を観察するための教材として利用することを目的とした.内容としては,まず「RICOH THETA」の特徴を把握し,理科教材として活用するための方法を研究した.その中で,理科教材として使う中での様々な問題点を発見したため,その問題を解決する方法を研究した.その後,太陽の日変化と日時計の影の変化を観察する予定であったが,準備が遅かったことと,悪天候が原因となり,行うことができなかった.今後の課題として,今回行えなかった日変化の観察実験と,「RICOHTHETA」を,さらに理科教育に活用する方法の研究,また「RICOH THETA」以外のものを理科学習教材とした活動の研究を行いたい.
  • 伊藤 哲章
    2014 年 29 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では、アメリカ合衆国の高校生物教育におけるバイオテクノロジーに関する教育内容の特質を明らかにすることを目的とした。そこで、顕在的カリキュラムの一つといえるScholastic Assessment Test (SAT) Biology Examに着目し、バイオテクノロジーに関する内容について分析検討を行った結果、次の2点がわかった。バイオテクノロジー分野が全体に占める量は、Biology E (Ecological) が約4%で、Biology M(Molecular) では10%である。また、Biology E、Mどちらのバイオテクノロジーの問題も基本的な知識を問うものであった。
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