日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
28 巻, 2 号
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表紙・プログラム
発表
  • -モデルやアナロジーの取り扱いに関する考察-
    甲斐 初美
    2013 年 28 巻 2 号 p. 1-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,各単元内容の系統性を整理するとともに,理科の一連の指導内容の最適化や構造化を図ることを目的としたこれまでの研究成果から明らかとなった,モデルやアナロジーの取り扱いについて,概念の体制化(organization)と精緻化(elaboration)の観点から考察することを目的とした。特に,温度による体積変化の学習において用いられるアナロジーの教科書における問題点を指摘し,モデルやアナロジーの使用の際の制約の必要性について検証したものである。それらのことから,教科書や教師の説明手段として使用されるモデルやアナロジーのベースとなる領域が,子どもにとってどの程度のなじみがあるのかを検証することや,子どもが理科授業内に持ち込むモデルやアナロジーの起源を整理することで,子どもにモデルやアナロジーを用いて説明させることが可能であるかどうかを検討することの重要性について提言していった。
  • - 教員志望大学生の手回し発電機を用いた実験技能の習得 -
    大黒 孝文, 舟生 日出男, 竹中 真希子, 山本 智一, 楠 房子, 寺野 隆雄, 稲垣 成哲
    2013 年 28 巻 2 号 p. 5-8
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校教員志望大学生の実験指導に対する苦手意識や実験技能の不足が指摘されている。そこで,手回し発電機とコンデンサーの蓄電実験に関わる,実験技能を習得するためのマンガケースメソッド教材を開発した。国立2校,私立2校の教員志望大学生,計57名を対象に,読み取る教材をマンガと教科書に分けて実験を行い,読み取り後の実験実技を比較したところ,マンガ群の実験技能が有意に高まっていることがわかった。
  • ー教員志望大学生の手回し発電機を用いた実験方法の理解ー
    竹中 真希子, 大黒 孝文, 舟生 日出男, 山本 智一, 楠 房子, 寺野 隆雄, 稲垣 成哲
    2013 年 28 巻 2 号 p. 9-14
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,小学校の教員を志望する大学生が,特に指導に自信がないとしている手回し発電機を用いた実験場面を題材にしたマンガケースメソッド教材を作成し,その効果を検討するための評価実験を行った。手回し発電機を用いた実験を題材としたマンガケースメソッド教材を使った学習と実験実技テストを受けた後に,実験方法の重要なポイントを理解できたかどうか評価した。比較のため,小学校の教科書を用いて学習する対照群を設けた。実験群は31 名,対照群は 26 名であった。評価実験の結果,手回し発電機を用いた実験方法の重要なポイントの理解について,実験群と対照群に差は見られなかった。このことから,本研究において作成したマンガケースメソッド教材は,教科書と大差なく利用することができることが保証された。
  • 形成的評価と協調的アーギュメント改善を指針として
    村津 啓太, 山本 智一, 山口 悦司, 稲垣 成哲, 中新 沙紀子, 中村 有里
    2013 年 28 巻 2 号 p. 15-18
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究の目的は,アーギュメント・スキルを育成する修正版教育プログラムの有効性を検証することであった。修正の指針として,(1)学習者が記述したアーギュメントの形成的評価を行う,(2)よりよいアーギュメントの基準を提示し,複数人のグループごとにアーギュメントを協調的に改善させる,という 2 点が設定された。教員志望の大学生を対象に,これらの指針が反映された修正版プログラムを実施した。修正版プログラム前後に行った評価課題を分析した結果,修正版プログラム実施後における「重み付けした結論」の得点は,ベースライン・プログラムと比較して有意に高いことが認められた。この結果から,本研究における教育プログラムの修正は,教員志望の大学生のアーギュメント・スキルを育成する上で一定の有効性があると示唆された。
  • 中野 吾一, 高濱 秀樹, 軸丸 勇士
    2013 年 28 巻 2 号 p. 19-24
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,中津市立小学校の4年生対象の教科「総合的学習の時間」に「地域の自然・環境:トンボの生態を中心とした学習」を設定し,汎用性の高い教材による自然体験(プールに生息する生物調査とヤゴの飼育)と保全活動に携わる「大分トンボの会」による希少種ベッコウトンボに関する講話を取り入れた教育実践を行い,理科教育や環境教育における効果を分析した。
  • ―ボーリング資料の活用と地層モデル実験の検証―
    山本 裕子, 渡邉 重義
    2013 年 28 巻 2 号 p. 25-30
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校理科6年「大地のつくりと変化」の学習において,露頭などで地層を観察できない地域で身の回りの環境を生かした学習を行うために,学校周辺のボーリング資料を活用した教材化を行った。改修工事などのボーリング調査の資料から教材用の柱状図を作成し,ボーリングのサンプルを利用してサンプル表やミニチュア地層を作成した。また,教科書に記載されている地層の堆積実験を検証した結果,①1970‐80年代と現在で,堆積のモデル実験の方法に変化があること,②流水を用いたモデル実験では,真砂土60~75cm3を用いて,樋の角度20°にして,水槽の水位は排水ホースまで入れると比較的よい観察結果が得られること,③土砂を2回流す実験では,同じような操作を2回繰り返した場合,級化構造の繰り返しは確認されないことが分かった。
  • 土田 理
    2013 年 28 巻 2 号 p. 31-34
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,これまで 10 年にわたって蓄積してき膨大な桜島画像データを基礎にして,地域の素材である桜島を最大限に活用した理科教育用気象教材の開発を目指している。そして,桜島噴煙移流,雲の移動を記録するための全方位観測カメラシステム(全天画像カメラ)を新しく構築し,平成 25年 2 月から全天画像の蓄積を行っている。その結果,従来記録している桜島方面の web カメラと比較し,雲の移動が明瞭に観察できるようになった。一方,桜島噴煙移流は,画像周辺に位置する場合,観察が難しいことが判明した。
  • 飯野 直子, 金柿 主税
    2013 年 28 巻 2 号 p. 35-38
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校および中・高等学校理科の教員免許取得予定者を対象に放射線に関するアンケートを行ったところ,学習機会や知識等が十分ではなく,放射線を観察・測定した経験もほとんどないことがわかった.小学校および中・高等学校理科の教員免許取得予定の大学生用の放射線教育素材・教材が必要であると思われた.そこで,学校現場で利用可能な 5 機種の簡易測定器を用いて,熊本県内のモニタリングポスト近傍や,航空機内,高速船内の環境放射線を測定した.その結果,各機器の特徴が明らかになるとともに,放射線教育で利用可能な素材データを得ることができた.
  • 渡邉 重義
    2013 年 28 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学校理科「植物の生活と種類」の学習において,植物の維管束カードを利用した植物のなかま分けの学習を行い,維管束カードの学習効果や生徒の分類スキルを調査した。生徒のワークシートを分析した結果,次のことが明らかになった。①約 90%の生徒は単子葉類・双子葉類等の分類群を基準にして,それぞれのカテゴリーに当てはめるようにカードをなかま分けした。②単子葉類と双子葉類を区別する維管束配列を除くと,茎のつくりの特徴をなかま分けの基準に用いた生徒は 17.7%であった。③なかま分けのまとめ方は多様であり,23.8%の生徒は,異なる分類基準を組み合わせたなかま分けを行った。
  • 第 6 学年「燃焼の仕組み」の事例
    中新 沙紀子, 山口 悦司, 村山 功, 坂本 美紀, 山本 智一, 神山 真一, 村津 啓太, 稲垣 成哲
    2013 年 28 巻 2 号 p. 45-48
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    科学的な問いは,科学的探究を進展するために必要不可欠な要素である(Chin & Osborne,2008).本研究では,科学的な問いのうち,科学的原理・法則に基づいているという特徴を持つ問いについて,支援の方法を検討した.具体的には,科学的原理・法則に基づいた問いの生成を支援するために,科学的原理・法則のメタ理解を獲得させる理科授業をデザイン・実施した.学習者の問いに関する評価課題を分析したところ,メタ理解を獲得させる授業を通して,学習者の科学的原理・法則に基づいた問いの生成が支援されたことが明らかとなった.
  • ―「方法」の場面に注目して―
    森 智裕, 中山 迅, 猿田 祐嗣
    2013 年 28 巻 2 号 p. 49-54
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,中学校理科教科書に書かれている「問い」を分析することによって,探究活動の特徴を見いだそうとするものである。今回は,探究の「場面」のうち「方法」の場面に焦点を当てて分析を行った。その結果,学年・領域・単元によって,「方法」の場面における「問い」の内容が異なっていることが明らかになった。また,物理領域では回路の作成にかかわる方法の問いが多く,化学領域では物質の同定方法のための問いが多い。生物領域では器官などのはたらきを調べる方法についての問いが多く,地学領域では実験の準備物について問う傾向があることが分かった。
  • -学習指導要領の改訂による影響-
    江本 昇平, 森藤 義孝
    2013 年 28 巻 2 号 p. 55-58
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究においては,概念生態系のアイデアを基礎として,ゆとり教育を受けてきている大学生を対象とした「単純電気回路を流れる電流」についての認識を調べ,二方向,一方向非保存,一方向保存の 3 種類の電流概念の適用率と容認率を明らかにするとともに,その結果を基礎として,理科授業における学習可能性についての検討がいかに進められるべきかについての議論を行った。
  • 川北 一彦
    2013 年 28 巻 2 号 p. 59-62
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    平成23年度の文部科学省「学校基本調査報告書」によると,理学・工学系学部,専門学校の学生数は 538,390 ,医学・保健科学系の学生数は 465,301 である。保健科学系学生の大部分は高校物理を履修していない。現在の高校物理,中学校理科の物理教材は理工系中心の構成である。ボディメカニクス,眼球模型,圧力(血圧を含む),正弦波,等の実践例をあげ,医学・保健科学系希望者に適する物理教育の開発が必要であることを提案する。
  • 高木 悟
    2013 年 28 巻 2 号 p. 63-66
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿では,筆者の本務校である工学院大学で実施している大学入学前の数学教養教育について,実施初年度である 2006 年度からの変遷と,今後の方針について述べる.具体的には,推薦等により工学院大学へ入学することが決まった生徒に対し,大学での授業にスムースに接続できるよう,合格から入学までの期間を利用して基礎学力を向上させるための入学前教育を工学院大学では実施している.筆者が工学院大学の入学前教育に従事していた 2006 年度,2007 年度,2012 年度の 3 回について,特に筆者が担当していた数学教養教育に焦点をあて,その実施状況を詳細に報告する.また,それらの経験や,他大学で従事した入学前教育の経験をもとに,今後どのように実施していくのが望ましいか,その方針を述べる.
  • -実験授業だけではなく新聞の活用も加えて-
    今村 友裕
    2013 年 28 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2007 年に鶴岡工業高等専門学校の学生が,純度の高い硫黄をゴム状硫黄にしたときの色を新たに発見した。そこで,硫黄の同素体に関する実験授業とともに,当該新聞記事を授業に組み入れる実践授業を行った。これは,硫黄の同素体の理解を深めていくと同時に,生徒の進路や将来を意識させる機会を提供することに意味がある。実践授業やアンケートを通して,生徒が自分の進路や将来をわずかながら考えることができた。
  • 栗田 博之, 軸丸 勇士
    2013 年 28 巻 2 号 p. 73-76
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    野生動物による農林業被害問題や外来生物問題は全国的に深刻な問題であるが、野生動物や外来生物の命とどう向き合うべきか、人間は動物とどのように共生すべきかを考える良い題材であると思われる。筆者は大学生への講義の中で、これらの問題に対する意識調査をアンケート形式で実施し、その概要を記載した。質問内容は、(1)野生動物による農林業被害問題は身近な問題か、あるいはよく知っているか、(2)農林業被害をもたらす野生動物にどう対処すべきか、(3)その対処は誰が行うべきか、(4)外来種に対してどう対処すべきか、などである。全 139 名からの解答を分析した結果、80%の人が農林業被害を身近あるいはよく知っていると解答したが、20%の人はあまり知らないと解答した。また農林業被害の対策として、野生動物には何もせず、人間側が徹底的に対策を講じるべきとの意見が最も多かった。農林業被害対策を講じるべきなのは地方公共団体であるとした人が多数であった。また外来生物問題では、意見がばらついたものの、最も上位を占めたのは捕獲し動物園等で飼育すべきであった。
  • 江草 遼平, 足立 孝之, 中山 智裕, 楠 房子, 生田目 美紀, 溝口 博, 稲垣 成哲
    2013 年 28 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,鑑賞者が物語の進行に参加することができるインタラクティブ人形劇の改善と評価を行った.インタラクティブ人形劇は.その特徴として身体動作を媒介とした物語参加機能を実装している.身体動作を媒介とした物語参加機能とは,鑑賞者が一方的に人形劇を鑑賞するのではなく,鑑賞者自身の考えに基づいて,物語の展開を操作する機能である.同機能は,鑑賞者に物語の世界や登場人物への感情移入を促すために実装されていた.改善された身体動作を媒介とした物語参加機能では,操作性の向上を目的とし,カーソルの強調表示及びスクリーン上での操作ガイドを行った.健聴児を対象にした評価実験では,改善した身体動作を媒介とした物語参加機能の操作性について肯定的な評価が得られた.
  • 博物館展示を支援するモバイル説明システムの提案と実装
    石山 琢子, 楠 房子, 稲垣 成哲, 寺野 隆雄
    2013 年 28 巻 2 号 p. 81-84
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,博物館展示を支援するために,タンジブルなオブジェクトを用いたスタンプ・イ ンタフェースを媒介として,人と実物との橋渡しを可能とする展示システムである Stamp On の 提案とその実装について報告する。Stamp On は,展示物に設置されたスタンプとそのスタンプ に対応した展示コンテンツから構成されている。展示コンテンツはモバイル端末に組み込まれて おり,ユーザは展示物のスタンプをモバイル端末の画面に接触させることで,展示コンテンツを 表示させ,鑑賞することができる。本システムのユーザ評価として,教師を対象とした予備実験 を実施した結果,展示支援についての有効性を認めることができた。
  • 面接調査を通して
    山橋 知香, 山口 悦司, 稲垣 成哲, 奥山 英登, 田嶋 純子, 堀田 晶子, 田中 千春, 坂東 元
    2013 年 28 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    動物園は,子どもから大人まで,幅広い年齢の人々に対する科学教育の場になると期待することができる.しかしながら,動物園において,来園者の学習は充分に行われていないと指摘されている.この現状を改善するために,筆者らは,学習支援の方策として紙芝居に着目し,紙芝居を通して来園者に観察の視点を提供するという試みを行っている.具体的には,旭山動物園のペンギン展示を事例として,ペンギンの特徴に関する紙芝居を導入した親子向けのワークショップを実施している.この研究の一環として,本研究では,紙芝居を通して観察の視点を提供できたのかを明らかにするために,ワークショップに参加した家族に対して面接調査を実施した.面接調査の回答を分析した結果,15 家族中 13 家族が,1 つ以上のペンギンの特徴を学習していたことが明らかになった.併せて,紙芝居の内容であった 7 つの特徴のうち,5 つの特徴がいずれかの家族に学習されていたことがわかった.
  • ~ものしりクイズラリーの作成を通して~
    里岡 亜紀, 中山 迅
    2013 年 28 巻 2 号 p. 89-92
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    宮崎科学技術館では,学校との連携を促進するために,展示物解説の改善や学校利用ガイドブックの発行を行ってきた。学校利用ガイドブックの学校現場への普及状況を把握し,さらなる活用をうながすことで,科学館の学習利用につながる方策を考えた。その方策の1つとして,クイズラリーを作成することとし,理科の学習に役立つクイズラリーの作成方法について探ることとした。
  • ~1年に100日,4年間の実施を基にして~
    軸丸 勇士, 武井 雅宏, 一木 高志, 栗田 博之, 佐藤 賢彰, 中野 吾一
    2013 年 28 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    理科好きを増やし科学や技術への関心を高めるため、表題の実験教室(O-Labo)が4年目を迎えた。これは毎年約 100 日、大分市の中心市街地にある空店舗を借り開かれている。参加者は年々増加し、平成 24(2012)年度は 3421 人にもなる。実験を行う講師はこの事業に関心のある団体、学校、会社や個人などで事務局に登録し、都合の良い日に担当する。そのため実験内容は多種類となる。実験は O-Labo の他、要望のあった市町村に出かけて行う出前実験教室(サテライト)も毎年 10 日以上開かれる。又、教員、公民館・児童館職員、各種団体や個人を対象にした実験や安全講習会も2回開催し、指導者の育成と拡大に努めている。ここでは O-Labo やサテライトに参加した子ども、保護者、講習会出席者に実施したアンケートや講師の意見等を基に、実験教室のあり方について述べる。
  • −当事者の語る実情:ウプサラ大学の場合−
    三宅 志穂, 野上 智行
    2013 年 28 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    著者ら䛿,諸外国における高等教育機関におけるキャリア形成事業䛾制度と運用について,大学教員や Ph.D あるい䛿ポスドク経験者らへ直接に聞き取り調査している。本稿で䛿 2012 年に行ったウプサラ大学䛾医学系研究室(スウェーデン)䛾事例について報告する。本調査により次䛾ようなことがわかった。a.キャリア形成事業マネジメント䛾制度Ph.D 生䛿大学に雇用されている身分である。大学から給料が支払われている。そ䛾基盤䛿指導担当者(教授)が獲得するファンド(研究費)である。Ph.D 䛿定められた単位を,コース䛾受講と研究活動によって取得することが求められる。b.キャリア形成事業マネジメント䛾運用Ph.D プログラム終了後䛾キャリア支援専門職員䛾配置䛿ない。医学系䛾 Ph.D 䛿もともと職業をもっている場合が多い䛾で,もと䛾仕事に戻ってよりよいポジションに就いている。
  • ~困難な生物教材に関するアンケート調査~
    西野 秀昭
    2013 年 28 巻 2 号 p. 105-110
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校理科・生命領域,中学校理科・生物分野で困難とされている生物教材の実態を明らかにするため,現職教員へのアンケート調査を実施した.調査対象は,教科書が同じ福岡県内の3自治体で,平成 20 年学習指導要領解説理科編に準じ,小学校は理科の授業経験がある教諭・常勤講師,中学校は理科教諭・常勤講師である.単元は,小学校は生命領域全てを対象に,中学校は「遺伝の規則性と遺伝子」の分離の法則,「生物のふえ方」の細胞分裂,及び「その他」で調査した.その結果,小学校では,水の中の小さな生き物の採集及び顕微鏡観察,アサガオの受粉やホウセンカの水の通り道,モンシロチョウの成長などが困難な観察・実験とされていた.中学校では,細胞分裂像観察や花粉管の伸長実験等に困難が見出されるとともに,三倍体の植物組織が分離の法則の教材に使われている実態が明らかになった.これらの結果を踏まえて現在,生物教材支援の目的で教材研究を実施している.
  • −ニーダーザクセン州での実践に着目して−
    内ノ倉 真吾
    2013 年 28 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現在科学教育改革の進むドイツで、学校外での科学学習環境として普及・定着している「シューララボアレ„Schülerlabor“」について、ニーダーザクセン州での実践に着目してその特色を調査した。シューララボアは、単発的な科学体験プログラムとは異なり、科学技術系(MINT)分野への興味・関心の向上、人材育成という観点から、大学や研究機関などによって運営されており、継続的に学校外での科学学習プログラムを提供するものであった。また、各学校種のクラスもしくはコース単位を対象として、学校内の科学カリキュラムと関連付けられたプログラムを提供するシューララボアが典型的なものである一方で、その目的・対象・内容と運営形態には多様性が認められるものであった。
  • -NSES および NAEP を参照として-
    德永 聖一, 坂本 憲明
    2013 年 28 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,PISA2006 の科学的リテラシーについて県内高等学校の理科教師がどの様に認識しているかをアンケートによって調査し,分析した。また,1950 年代より科学的リテラシーを定義してきた米国の様々な例の中から,特にその理念を示している『全米科学教育スタンダード(NSES)』(1996)及び実際に生徒を評価するための枠組み(フレームワーク)を詳細に設定しているNational Assessment of EducationalProgress(NAEP)をもとに概観することで,高等学校の理科教育における科学的リテラシーの向上に対する示唆を得たいと考えた。この研究によって以下のことが明らかになった。① 県内の高等学校においては,科学的リテラシーに関する定義及びその内容についての認識が希薄な状況にある。② 米国では科学的リテラシーに関する明確な理念をもった具体的な定義がなされている。③ 米国では定義された科学的リテラシーに基いて生徒の能力(Performance)を評価し,測定する機能的なフレームワークが設定され,システマティックに運用されている。④ NAEP の評価問題は,定義された科学的リテラシーのフレームワークを元に,単なる知識を問う問題ではなく,状況や文脈を理解し,様々な知識や概念を活用して課題を解決する問題によって構成されている。⑤ NAEP は期待される生徒の能力(Performance )を具体的に示し,生徒の現状や課題を評価問題によって明らかにしている。
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