本稿では, まず生活科や小学校中学年理科, 環境教育で取り上げられている「身近な自然」について, 洋芝型人工草地を例として, 動植物相の生態系の特性を明らかにした。次いで, この草地での実験授業の結果にもとづいて, 授業者としての教師には, 自然の印象を自己の肉体に刻みつけ, 感性を磨くための日頃の実践がなければならず, そのためには, 先行経験に新たな経験を重ねるといった過程で, 対象の限定要因を特定することができる能力を獲得するための訓練を欠くことがあってはならないことについて言及した。こうした教師の姿勢が, 学習者としての子どもの自然に関する認識能力を養うことになることを示唆した。
抄録全体を表示