日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
27 巻, 2 号
選択された号の論文の35件中1~35を表示しています
表紙・目次
発表
  • 鶴岡 森昭
    2012 年 27 巻 2 号 p. 1-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2011 年 3 月 11 日の東日本大震災とそれに続く福島第一原子力発電所事故に直面し、新学期の4月から放射線と地震に関する授業を実施した。授業開始時と授業終了後に、①放射線への興味度、②放射線の識別、③放射線の所在、④放射線の障害、⑤放射線の利用について調査し、さらに終了後の調査実施日に生物選択者にも同じ調査を実施し、それらを比較検討した。
  • 岡田 努
    2012 年 27 巻 2 号 p. 7-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    いわゆる東日本大震災の原発事故による放射能汚染問題で,学校現場での理科の授業では原発事故後の「放射線教育」をめぐって様々な実践が行われた。被災地である福島県内においては日常生活に放射能汚染の影響を受け,通常の授業の実施すらままならない状況の中で,理科の授業で放射線教育に取り組んでいる。今回は放射能除去やその他復興支援活動に取り組む県内の研究機関や社会教育施設,企業等の取り組みを理科教育の貴重な教育資源として活用すべく,報告者が附属中学校等の教員とともに取り組んだ連携活動の実践を中心に報告する。
  • -寒剤を利用した拡散霧箱の開発-
    柚木 朋也
    2012 年 27 巻 2 号 p. 11-16
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本論は,パースにおけるアブダクションをはじめとする推論の考察をもとに,教材開発について検討したものである.教材開発を行うためには,様々な知識,能力,工夫,努力などが必要であり,特に推論の役割は重要であると思われる.本論では,推論の分類をもとに,教材開発の実例として「寒剤を利用した拡散霧箱の開発」を取り上げ,考察した.その結果,推論形式をもとに推論することが教材の開発,改善に有効であることが明らかになった.
  • 藤原 優, 村田 朋恵, 黒沢 実姫, 荒川 絵梨, 柿崎 健, 八木 一正
    2012 年 27 巻 2 号 p. 17-18
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    東北地方太平洋沖地震に伴う原発事故により、放射線に対する国民の関心は未だ高い状態にあると推測される。しかし、一つの報道やデータだけで放射線被ばくに対して過度に放射線を怖がってしまっている人々も多いと考えられる。そこで、航空機内の放射線強度が強いと断片的に言われていることから、実際に航空機内で測定したデータを採集してどのくらいの強度があるのかを確かめてみることにした。また、放射線が観測されている様々な場所のデータをまとめて比較することで、放射線の実状はどのようになっているのかを考察していく。
  • 荒川 絵梨, 村田 朋恵, 藤原 優, 柿崎 健, 八木 一正, 黒澤 実姫
    2012 年 27 巻 2 号 p. 19-20
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    放射線の飛跡をみる実験として、よく知られている霧箱であるが、その霧箱をより簡単に、より見やすくするためにはどのように工夫したらいいのかを考え、開発に臨んだ。実験のほかにも、放射線に関する講義を行い、放射線教育をおこなってきた。それらをもとにアンケート調査をし、成果と課題を見つめなおすことができた。
  • 松本 浩幸
    2012 年 27 巻 2 号 p. 21-24
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は、自己決定をめぐる状況について、文献を探索し、理科教育における自己決定の周辺を明らかにするため、質問紙を作成し調査を行った。分析の結果、以下の4点が確認された。最初に、学年が進むと、内発的な動機づけのスタイルに変化があること。次に、自己決定を支える概念は、能力と関係性で性差があること。また、内発的動機づけのスタイルでも有意な性差があること。最後に、授業において自己決定を支える能力 ・自律性 ・関係性は動機づけスタイルと相関があることの4点であった。
  • 斉藤 栞, 名越 利幸
    2012 年 27 巻 2 号 p. 25-26
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    高橋(2011)により、盛岡上空に雲を伴う「Lee Wave」が観測された。今回はそれを、名古屋大学で開発された雲解像モデル(CReSS)による数値シミュレーションを用いて確認する。
  • 八幡 和典, 名越 利幸
    2012 年 27 巻 2 号 p. 27-28
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    岩手県を含む東北地方北上川流域には、冬に西高東低の北西の風が吹き、それを防ぐ防風林がある。今回扇状地として有名な岩手県奥州市水沢地域において,防風林を持つ家屋の数とその設置方位に違いがあるのか。また、北上川流域の防風林に差異があるのか考察したので、報告する。
  • 山本 桃子, 名越 利幸
    2012 年 27 巻 2 号 p. 29-30
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学校理科授業において,現業で使用されている気象庁 DVD-NHM を用いて数値シュミレーションするという試行を行った。
  • -雲のフォトコンテストを通じて-
    田口 瑞穂
    2012 年 27 巻 2 号 p. 31-34
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,小学校児童の気象現象に対する興味・関心を高める方法として,雲のフォトコンテストを行うことが有効であるかどうかを検証した。その結果,次の成果と課題が明らかになった。 1.雲のフォトコンテストを行うことで,毎日雲をよく見る児童が増えること 2.雲のフォトコンテストを行っても,雲の形がおもしろいとかきれいと思う児童の割合は変わらないこと 3.興味・関心を高める効果は,第 5 学年児童において顕著であること 4.コンテストに参加したくてもできない児童に対する対応策が課題であること
  • 明石 和大, 山下 清次, 川村 教一
    2012 年 27 巻 2 号 p. 35-38
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学・高校理科で津波の学習が行えるように,既存の組み立て式津波実験装置を改良した。この実験装置は海底面の隆起により津波を発生させるもので,海岸平野とリアス式海岸の津波の比較,津波の波形の観察と波高の計測ができる。
  • 柿崎 健, 村田 朋恵, 黒澤 実姫, 荒川 絵梨, 藤原 優, 八木 一正
    2012 年 27 巻 2 号 p. 39-40
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    遊園地はジェットコースターなど子どもにとってワクワクする非日常的な面白物理体験が一杯で、楽しい力学体験の宝庫である。これを「遊園地は巨大な科学実験室だ!」という認識に立って、科学体験学習会を地元の遊園地で10年前から毎年夏に実施してきた。楽しみながらアトラクションによる実験を行うことで実感を伴った理解を図り、理科に強く育てることで「地域からビッグな子を育てよう」という取り組みを行ってきた。昨年からは震災の復興支援の一環として、岩手県沿岸の津波復興地区の子ども達を対象にイベントを行い、彼らを元気づけることも大きな目的のひとつとなった。本研究では、今回の科学体験学習会の経緯や成果、今後の課題や展望について紹介する。
  • 川村 教一
    2012 年 27 巻 2 号 p. 41-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校教員養成課程に所属する大学生の,河川堆積物,特に砂について,野外における観察活動を経験することによって認識が変化するかどうか実地に調査した。その結果,観察前には砂の成因について全員が誤った認識を持っていたが,野外観察後には,別の成因を提示する学生も現れた。野外観察において適切な指導を行うことにより,科学的な認識を持たせることができる可能性がある。
  • ―秋田大学の小学校教員養成課程の学生を対象としたアンケート調査から―
    加藤 史弥, 川村 教一
    2012 年 27 巻 2 号 p. 45-48
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校教員志望の学生が理科の授業を行う自信の度合いはどのような事柄と関連があるのかを明らかにするため,秋田大学の学生を対象にアンケート調査を行った。調査から,学生の理科授業の受講経験,理科に関する素養との関わりや,高校での理科の履修科目と理科の各分野における授業の自信の度合いに関わりがある可能性が明らかになった。また,高校の理系クラス出身の学生は,文系クラス出身の学生より理科の授業に関する自信の度合いが高く,このことは,理科に関する嗜好の強さと関わりがあることが明らかになった。
  • 山下 清次, 明石 和大, 松田 洋, 加藤 基, 川村 教一
    2012 年 27 巻 2 号 p. 49-52
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    筆者らは遠隔地で撮影した太陽の様子を観察させることを目的とし,Web カメラを用いた太陽観察用望遠鏡を製作した。この望遠鏡を用いて行った金星の日面経過ライブ中継イベントについて参加者を対象として,アンケート調査を行ったところ,日面経過について知らなかったと回答した人の約 8割がイベントをとおして日面経過について理解を深めることができたという結果を得られた。また遠隔地からの天文現象を中継するイベントを望んでいる人がいることがわかった。
  • 黒澤 実姫, 村田 朋恵, 柿崎 健, 藤原 優, 荒川 絵梨, 八木 一正
    2012 年 27 巻 2 号 p. 53-54
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現代の日本は“超高齢化社会”と呼ばれ、介護・介助をすることは避けられない状況である。その中で強引な介護が悲劇につながっている。大学生に対する介護に関するアンケートの結果、介護に対して良いイメージを持っている学生は少ないということが分かった。これから介護をする上で、介助者も被介助者も介護の動作の意味を物理的視点から捉えることで、お互いが少しずつ力を出し合って楽な介護ができるのではないだろうか。また、物理的視点から介護動作を捉えることは物理的リテラシーにもつながる。今回は物理的リテラシーを普及させるために、物理的視点から捉えた介護動作を紹介する。
  • ―理科好きを増やすために―
    村田 朋恵, 黒澤 実姫, 藤原 優, 荒川 絵梨, 柿崎 健, 八木 一正
    2012 年 27 巻 2 号 p. 55-56
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    理科の学習を阻害することがある素朴概念と、その一つひとつに応じた実験開発と授業実践を集めた「素朴概念集」を製作する。第一に、「大学生は素朴概念を引き継いでいる」という仮説の下、調査を行った。調査結果から、学習者が持ちやすい素朴概念は、特定の限られたものであるという考察ができた。しかし、大学生が持つ誤った概念が素朴概念によるものであるかの検証が必要となった。この課題の克服のため、理科を学習する前の小学生を対象に調査を行い、その内容を報告する。第二に、学習者が素朴概念を客観視するために、実験を充実させることが必要であることが分かった。実験の量を増やすだけでなく、学習者全員に実感を伴った理解を図らなければならない。これに基づき、典型的な素朴概念といわれている真空中の自由落下を再現するための、安価で分り易い実験器具の開発を行った。
  • 藤原 秀行, 飯沼 和樹, 坂本 有希
    2012 年 27 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    中学 1 年の光の屈折の学習では,屈折が起こるしくみを扱わない。そのため,異なる媒質間の入射角と屈折角の関係を暗記する学習にとどまることが多い。そこで坂本は,屈折現象の理解を深めるために,光の速さが媒質によって異なること,それにより屈折が起こることを授業で扱った。これを受け,科学部員の藤原,飯沼は様々な屈折現象への関心が高まり,光の曲がり方をコントロールできないかと考えた。本研究は,藤原らが,砂糖とアガーという身近な素材を用いて平面レンズを作るという試みである。水と砂糖水を接触させて境界面に濃度勾配を作り,それを利用して光を曲げる。種々の濃度の砂糖水を用いて光の曲がり方,最適な凝固剤を明らかにし,レンズ中で光が曲がる砂糖水-アガーレンズの作成に成功した。
  • -光合成におけるデンプン生成を調べる実験について-
    中村 奈央, 安藤 秀俊
    2012 年 27 巻 2 号 p. 63-66
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    新学習指導要領では,理科の授業において科学的な見方や考え方を養うために,コンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的かつ適切に活用すること,継続観察の記録などの際に視聴覚機器を活用することが示されており,生物の継続的な観察を行う手段として情報端末機器の活用が期待される。光合成におけるヨウ素デンプン反応を調べる実験は,小学校・中学校ともに用いられる代表的な実験であるが,温度や日照時間を情報端末機器によって管理し,実験を行っている試みは今までに例がない。また,光合成によってデンプンができるということを示す実験は存在するが,デンプンの生成量を経時的に調べている先行研究はあまり見当たらない。そこで本研究では,携帯電話やパソコンから遠隔操作できる生物育成システム:アイテラリウムを用いて光合成におけるヨウ素デンプン反応を調べる実験を行い,経時的にデンプンの生成量の推移を調べた。
  • 福山 希望, 安藤 秀俊
    2012 年 27 巻 2 号 p. 67-70
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    だ液アミラーゼによるデンプンの消化分解の学習については,中学校理科第 2 学年で学ぶ。今年度より中学校においても新学習指導要領が実施されているが,現在発行されている教科書では材料として主に透明なデンプン溶液が用いられており,だ液がデンプンを分解するという変化の過程を視覚的に捉えることが難しい。そこで本研究では教科書にも掲載されている新素材として,生分解性プラスチックを用いることとした。生分解性プラスチックはプラスチックの処理問題の解決策として開発された植物が原料のデンプンであり,菌類や細菌類によって分解されるプラスチックである。しかし,教科書では新素材として紹介されているが,実験での利用は見られない。この生分解性プラスチックを用いて,だ液アミラーゼによるデンプンの消化分解を可視化できる教材の開発を検討した。
  • 日比野 優, 安藤 秀俊
    2012 年 27 巻 2 号 p. 71-74
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    平成 20 年の中学校学習指導要領の改訂により,中学校理科では学習内容と授業時数が大幅に増加した。それに伴い教科書も大きく変化したため,新しい教科書による中学校の理科指導のあり方を分析・考察することを目的として,新しく編纂された 5 社(教育出版,啓林館,大日本図書,東京書籍,学校図書)の教科書を,指導方法や教材という観点から比較調査した。教科書のページ数は,旧学習指導要領における教科書よりいずれも大幅に増えており,学習内容の増加がうかがえた。また今回は増加した内容の中でも「種子をつくらない植物の仲間」,「化学変化と電池」という 2 つに焦点を絞って調査をした。その結果としては 5 社の教科書でそれぞれ実験や教材に独自性が見られた。
  • 冨田 小夜, 柚木 朋也
    2012 年 27 巻 2 号 p. 75-78
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,固体から液体に状態変化する融解の実験において,塩化カルシウムを使った教材を提案するものである.中学校1年生の教科書では,融解の実験が実際に記載されているものと,実験自体がなくグラフや資料等に記載されているものがある.後者においては融解の実験に困難な点があることが一因として考えられる.塩化カルシウムを使うことで融解の実験が容易になることが,教科書に記載されている他の物質(パルミチン酸,ナフタレン等)と比較することによって明らかになった.
  • 浦野 弘, 藤垣 雅明
    2012 年 27 巻 2 号 p. 79-82
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    0歳~15歳という保育園・幼稚園・小学校・中学校という4校園全体を貫く一貫教育を体系的に進めようとする試みについて報告している。連携教育を推進する上での組織は,上記の「学び」「育ち」「心」という3班と,接続部分に焦点をあてた「連携保幼」,「連携幼小」「連携小中」という3部会を組織し,教職員はいずれの班及び部会に所属する。その上で,授業検討会等は「学び」「育ち」「心」という3班で実施することが効果的であったことを示唆している。
  • 小野 恭子, 鎌田 浩子, 大竹 美登利
    2012 年 27 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    生活時間調査は,人々がどのように生活しているかについて知るための調査である。小学生の生活時間は,学校が中心になっているため平日・休日では生活スタイルが大きく異なる。また生活行動は地域の生活環境や家族の生活スタイルによって変化すると考えられる。そこで,平日と休日生活時間調査を行い,平日・休日の生活スタイルの違い,地域における生活活動の違いを明らかにすることにした。この結果、平日は学習時間と余暇活動時間において都市間における差が大きくなっていた。しかし休日ではその差が縮まることが明らかになった。
  • 下郡 啓夫, 平井 由美子
    2012 年 27 巻 2 号 p. 87-90
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    文部科学省の推奨する幼児期の食育実践の多くは,食の知識をしっかりと身につけさせることを目的としている。本研究では,事物教育を大切にしつつ,いかに食育と知育を融合できるのかを考え,その橋渡しとして算数を想定した。具体的には,(1)台所用品をつかったもの,(2)幼児の興味関心を引くためにおやつ時間を利用する,(3)パズルなどである。各内容で幼児期の発達段階にあわせたレスポンスがあったが,それらを保護者・保育士や幼稚園教諭など,保育や教育に携わる者がしっかりと受け止めることが求められる。その上で,生活や自分の中に算数意識を持たせ,その土台の上に教科学習へと接続させる道筋を準備すべきである。また,発達段階にあわせた試行錯誤と解消の道筋が論理的思考につながっていると考えており,今後はそれらの知見を生かしながら学習材の開発を行う。なお,本研究における幼児とは,児童福祉法で定義されている幼児のうち,学校教育法における就学前教育をうけるのに値する年齢の幼児を指す。
  • 金森 晶作, 松浦 俊彦, 本村 真治
    2012 年 27 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    北海道函館市では,はこだて国際科学祭をはじめ各種科学イベントが地域の協働により実施されている。その中で子どもを対象とする催しの多くは,楽しい体験により,科学技術への関心喚起することに主眼を置いており,現象への科学的な理解を促すことに難点を抱える例が多い。そこで,科学リテラシー向上に寄与する「わかる科学講座」を目指すため,科学教育プログラムに演劇を取り入れた科学技術コミュニケーション手法を提案し,函館地域で実施していくための取り組みを行った。活動主体となる人々への意識付けと科学演劇の開発・実践により,「わかる科学講座」実施への道筋を示した。
  • 石原 学
    2012 年 27 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    eポートフォリオを導入している教育機関が増えてきている。本論では,クラウド型のeポートフォリオの運用について述べる。講義科目・実験実習およびキャリアプランの導入例について述べ,自学自習のエビデンスや実験実習科目の利用についてふれる。特に自学自習のエビデンスを必要とする教育機関には有効な手法である。実験実習の導入例としては,エンジニアリングデザイン科目への導入を例としている。議論の場としての可能性を述べている。最後に運用上の問題点について述べる。
  • 三橋 功一, 山崎 正吉, 梅澤 実
    2012 年 27 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,授業記録を読むときの手がかりについて,小・中学校教師と教師をめざす学生を対象に質問紙調査に基づき因子分析を行い,「①主質問、②相互作用、③教材・教具、④学習者、⑤キーワード、⑥体験、⑦分節、⑧立ち止まり、⑨ヒント」の 9 因子を抽出・解釈した.また、「①主質問、②相互作用、③教材・教具」の 3 つの因子の寄与率(累積寄与率に占める割合)も高く、授業記録読解における重要な位置づけの因子といえる.
  • -制度の変革と就業スキル開発要素の導入-
    小川 正賢
    2012 年 27 巻 2 号 p. 105-110
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    理工系博士号取得者の未就労問題は日本でも大きな課題となっており,政府,大学,研究機関,研究資金提供機関等も各種の方策を考案・実施してきているが,目にみえる成果は得られていない.それとは対照的に,博士号取得者の就労が問題化していない国もある.フィンランドはその一例である.本事例研究の目的は,フィンランドでは博士号取得者の就労問題に関していかなる方策が立てられているのか,その特徴を解明することにある.2012年初夏に実施したフィンランドの2大学への訪問調査と,文献資料の分析を行った.主な知見は,博士教育の当事者たち(教授,プログラム・コーディネータ,大学院生,大学管理者,政府担当者,開発公社担当者)が「就業スキル(転移可能なスキル)開発」を大学院教育の重要な要素として認識しそれを導入しはじめていることである.
  • ―地学及び物理領域を例としたアンケートから―
    安達 和美, 藤田 静作
    2012 年 27 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では、理科の学習及びプロセススキルに対する中学生の有用性の認識をアンケートにより調査した。その結果、学習内容やプロセススキルの違いによる有用性の認識の違いが見られた。全体的に見たとき、学習内容やプロセススキルについて、学校の成績や入学試験のために役に立つと中学生は認識していることが明らかになった。他方、学習内容やプロセススキルが役に立つと認識している生徒の割合が低かったのは、就職試験や仕事に対してであった。また、特に有用性の認識が高い学習内容やプロセススキルでは、今の生活や大人になった時の生活に役に立つと認識している中学生の割合が高いことが明らかになった。
  • 孔 泳泰
    2012 年 27 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では、電気分解の概念に関する外国の化学教科書の内容構成と内容展開を調べ、韓国の新しい化学教科書の改編に役に立つ示唆点を得ようとした。研究対象である外国の化学教科書は11ヶ国の27種である。外国の化学教科書の内容を調べた結果、電気分解を酸化還元反応のような化学変化として定義しているなど、韓国の教科書で見られるような記述的なエラーのようなものは多くの海外の教科書では見られなかった。
  • 孔 泳泰, 金 聖圭
    2012 年 27 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では、過去三度に渡って編纂された韓国の高等学校化学教科書のなかで、電気分解の概念に関するの提示内容を調べ、新しい化学学習指導要領の実行に役に立てる示唆点を得ようとした。本研究で分析資料として使われた韓国の化学教科書は、第6次教育課程によって編纂された化学II教科書が10種、第7次教育課程によって編纂された化学II教科書が8種、2007年改訂教育課程によって編纂された化学II教科書が4種で、あわせて22種である。教科書の内容を電気分解の定義、電気分解過程に対する理解、反応物の選択基準、酸素或いは水素気体反応物の選択基準、反応物の濃度効果に分けて調べた。
feedback
Top