日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
31 巻, 7 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
表紙・目次
発表
  • -授業科目「理科指導法開発」において-
    藤井 浩樹
    2016 年 31 巻 7 号 p. 1-4
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究の目的は,授業研究を基盤とした「ESD の視点を取り入れた理科の教員養成プログラム」を開発・実践し,学生の理科授業に対する意識の変化からプログラムのメリットや価値を評価することであった。開発にあたっては,教育プログラム評価に用いられるCIPP 評価モデルを採用した。約2ヶ月間の実践の結果,学生の意識には「ESD の視点を取り入れた理科授業で,子どもに何を身に付けさせるのか」という視点が表れてきた。このことはプログラムの最大のメリットであった。
  • 小林 正明, 三宅 正太郎, 岩村 充希子
    2016 年 31 巻 7 号 p. 5-8
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,小中高校生の児童や生徒のモノづくりに対する興味や・関心が,小学校から中学 校にかけ大きく変化していることに着目し,中学生の生徒を対象に「モノづくり」に関する意 識や態度に関わる要因の影響を調べる調査を実施した.その結果,モノづくりへの興味は家族 や親族の取り組み方などの家庭環境に影響を受けていることが確かめられた.
  • ――主としてタイで入手できる 12VLED 電球による実験観察の報告――
    大隅 紀和
    2016 年 31 巻 7 号 p. 9-14
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本報告シリーズでは,タイ国に限らないが,タイで教育協力に取り組むことから手がけてきた工夫,機材の事例を報告することにしている。先の本研究会報告「海外-特にタイにおける科学実験ワークショップ⑴*」で,題材は基礎・基本にあること,電気教材では,初歩段階の乾電池と豆電球の実験に新しい工夫ができることを指摘した。現地のワークショップでは,素朴な実験から歴史的な考察まで幅広い話題を扱う。なぜ白熱電灯がLED 電球に取って代わろうとしてきたのか。基礎的な実験・観察を通じて考察する。あわせて自動点滅ユニットの試作事例を報告する。また白熱電球の発明(1879 年)の時代に遡って,日本の竹がフィラメントに使われた史実にふれることにしている。基礎レベルの電磁気の実験では,多様な電源機材を工夫して現地の学校事情に適応することが決め手の一つになる。あわせて電源に接続する負荷の種類も多彩にすれば,より適切な実験観察作業が展開できる。この事情を現地ワークショップの準備段階で工夫し,試みている事例を報告する。海外での教育協力のあり方と日本での科学実験への参考事例となればさいわいである。
  • -オーストラリアの科学授業の事例から-
    松原 憲治
    2016 年 31 巻 7 号 p. 15-18
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本報告では,オーストラリアの科学授業で用いられる科学の教科書での問いについてその例を示しながら,特に,コンテキストベースの問い扱われ方を論じることを目的とした。教科書の特徴についても合わせて検討した。調査対象の教科書では,ビッグアイデアの考え方を軸として構成されており,ビッグアイデアに関連した問いを用いながら,理解したことを別のコンテキスト(文脈)や状況に応用できるような配慮がなされいることが明らかになった。
  • 山代 一成, 栢野 彰秀
    2016 年 31 巻 7 号 p. 19-24
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    学習課題から結論に至るまでの子どもの考えや活動に重点をおいた、中学校理科授業計画(案)を全学年全領域全単元で作成した。授業を行う際には、以下の点に留意する必要がある。「エネルギー」,「粒子」領域では、学習課題から結論に至るまでの「授業の流れ」が4つの型に分類できた。その中には、既習事項や複数の観察または実験結果が互いに関係しあう「授業の流れ」もある点。「生命」,「地球」領域では「授業の流れ」をいくつかの型に分類できなかったため、「授業の流れ」が多彩である点。「エネルギー」,「粒子」領域と「生命」,「地球」領域とでは、観察・実験の位置づけが異なる場合もある点である。
  • -模擬授業の取組と課題-
    秋吉 博之
    2016 年 31 巻 7 号 p. 25-30
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校教員の理科指導に関する苦手意識は,以前から指摘されている .近年,全国の私立大学に小学校教員養成課程が設置されており,理科指導ができる学生をいかに育成するかという課題に直面している.これまで小中学校教員養成課程の授業の中で模擬授業を取り入れられているが,その実施方法や内容は大学によって様々である .そこで大学生の観察や実験の力量を高めることを意図した授業を実施し,その有効性について検討した.その結果,学習指導案の作成や予備実験等の模擬授業への事前準備に時間をかけて行うこと,模擬授業後の学生間の相互評価の実施,授業者自身の振り返りの時間を確保することの重要性が示唆された.
  • —体感できる,腕の曲げ伸ばし筋肉モデル—
    高田 昌慶
    2016 年 31 巻 7 号 p. 31-34
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校 4 年生の「人の体のつくりと運動」で,腕を曲げ伸ばししたときの筋肉の様子を実験器で説明してきた。しかし、従前の実験器の筋肉部分はゴム製である。そのため,腕を曲げると上腕二頭筋相当部分が縮むように見えるが,元の形に戻るだけで体感的には力が抜け,上腕三頭筋相当部分が伸びて,体感的には元に戻ろうとする力を感じる。つまり,このモデルで児童が体感するイメージは、実際とは相反するもので,指導者としてフラストレーションを感じていた。そこで、腕の筋肉の収縮と弛緩に伴って腕が曲がったり伸びたりする様子を模式的に説明できる実験器を考案し,ケニスで商品化された。まず,筋肉チューブとして付属している非ゴム素材で「力が入って縮む・力が抜けて緩む」ことを体感させる。その上で腕モデルを曲げ伸ばしすることで,感覚的に「縮む・伸びる」とインプットされたイメージを,実感を伴って「縮む・緩む」と正しく再認識させることに効果があったと推察される。
  • 宮地 功
    2016 年 31 巻 7 号 p. 35-40
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    AI 技術論のブレンド型授業において,講義内容のスライドをスクリーンに投映して講義をし,教科書に従って説明した.その後,演習問題を解かせ,最後に小テストを解かせた.課題として,9週目までに,人工知能に関する最近のトピックスを紹介するスライドを作成させて,相互評価させた.その結果を参考にして,11 週までに修正させて,再度相互評価させた.学生に事前と事後に力に関係した意識について入力した評価シートを提出させた.事後には,意識の向上に役に立つ活動を入力させた.この情報から意識と活動についてクロス集計表を作成し,このクロス集計表を用いて,クラスター分析して,意識クラスターと活動クラスターを見つける.ここでは,AI 技術論のブレンド型授業におけるいろいろな活動がどの力に関係した意識の向上に役に立つかを分析して,その結果を報告する.また,先に報告した人工知能のブレンド型授業の結果と得られた結果とを比較して報告する.
  • 岡本 弥彦
    2016 年 31 巻 7 号 p. 41-44
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    総合的な理科教育であるアースシステム教育(Earth Systems Education;Mayer,1991)で示されている理解目標の活用例を紹介するとともに,その多面性や系統性について再考した。そして,その理解目標の順序性や位置付けを踏まえ,理科を学ぶことの意義や有用性の実感を目指す授業設計への活用に対する可能性を示した。
  • 佐々木 弘記
    2016 年 31 巻 7 号 p. 45-48
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「理科教育法」の講座において,「反省的実践家としての教師」の力量形成を目指して,小グループで行う模擬授業を工夫し,講座の前後で学習指導力に関する 20 項目からなるアンケート調査を実施した。その結果,1つの項目にのみ平均値の上昇に有意差が見られた。また,学生が自分のグループで行った模擬授業に対する評価(自己評価)と他のグループが行った模擬授業に対する評価(相互評価)をアンケート調査を通して検討した。その結果,相互評価に対して自己評価は有意に低い項目が 17 項目に及んでいた。これらの結果から,模擬授業の工夫によって学習指導力が向上したと自己評価できるだけの自信を履修者に持たせることができなかったことを指摘した。
  • ― 高校化学用教材の検証
    高原 周一
    2016 年 31 巻 7 号 p. 49-54
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    一般に、有機化合物の燃焼時に発生するススの量は分子中に二重結合があって炭素含有率が高いほど多くなることが知られており、高校化学の教科書も掲載されている。最近、燃焼時のススの発生について食用油を用いた教材が提案された(板倉,2013)。食用油の主成分である油脂分子(トリアシルグリセロール)の炭化水素鎖中の二重結合の数は食用油の種類によって異なるが、ある条件で食用油を燃焼させた時のススの発生の有無はこの二重結合の数で決まるとする内容である。この教材は身近な食用油を使っているなどの点で非常に優れた教材であるが、ススの発生の有無は炎の大きさにも依存する、食用油の油脂以外の成分がススの発生の有無に影響する可能性があるなど、検証が必要な点もあると考えた。そこで、炎の大きさを変えて種々の食用油および純成分の油脂のススの発生量を定量した。その結果、食用油を燃焼させた時のススの発生量は油脂分子の二重結合の数と相関があることが確認できた。
feedback
Top