日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
17 巻, 6 号
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表紙・目次
【ICTを活用した教材開発】
  • 川上 紳一, 三谷 弘敏, 長谷川 司, 上田 康信
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 1-6
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学理科「月と星」,中学理科2分野「地球と宇宙」の単元における,人工衛星の観測を取り入れた新しい指導法を提案する.人工衛星の観測を行うには,人工衛星の到来時間,飛行経路などの情報が必要であり,そうした情報を提供したホームページ「人工衛星観測ナビゲータ」を開発し,公開した.このウェブサイトでは,肉眼で見える人工衛星の種類やその業務内容,明るさに関する観測データを紹介している.児童・生徒に配布するためのワークシート画面があり,プリントしたものをトレーシングペーパーでなぞることで,目印となる星座や天体の配置に慣れることができる.実際に夜空を見上げて人工衛星を見つけることで,児童・生徒ひとり一人が星座学習の授業の達成感が高まる点に特色がある.
  • 渡辺 進武, 丹羽 直正, 酒井 茂, 上田 康信, 川上 紳一
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 7-10
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現行の学習指導要領では,小学理科「月と星」の学習で月の動きについて学習するものの満ち欠けのしくみまでは学習しない.にも関わらず中学生になって,金星の観測を行って満ちかけが金星の公転によることを学習することになっている.こうしたカリキュラムの中で,中学3年生には天体望遠鏡組み立てキット(スピカ)を一人一つずつ与え,継続的な金星の観測を行って,満ち欠けのしくみをモデルを使って理解する授業を実践した.一方,小学4年生にも同じ望遠鏡を与え,月の満ち欠けの学習を試みた.岐阜大学教育学部の屋上で撮影した天体画像をホームページで公開し,児童・生徒の観測への動機づけや観測結果の確認に使用した.これらの授業実践をもとに,天体望遠鏡(スピカ)とweb教材がより充実した学びへと支援できるか検討を行った.
  • 山中 敦子, 村越 英昭, 小田 泰史, 川上 紳一
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 11-14
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    博物館や科学館の収蔵資料は、教科教育の教材としての可能性を秘めている。しかし収蔵資料の多くは、学校への貸出が事実上不可能である。このため、化石や岩石など主に地球科学分野の標本や資料の展示・保管を行い、かつ教育の情報化推進及び情報のショールームとしての役割を併せもつ蒲郡情報ネットワークセンター・生命の海科学館では、化石・岩石等収蔵資料のデジタルデータと、学校で児童・生徒が実際に触れることのできる標本等との連携を可能とする、WEB教材の開発を進めている。館の標本を用いた化石発掘・隕石探査シミュレーションや、館の標本とその他の標本を同時に収蔵し観察・分類することができるデジタル標本箱を含む、WEB教材『トレジャー・プラネット』の概要と、蒲郡市の小中学校で行ったその実証実験について報告する。
  • 中馬 悟朗, 服部 晃, 渡辺 泰治, 高木 茂
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 15-20
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    楽しく学ぶ算数・数学プロジェクトにおける高等学校教材の開発の目的は、小・中・高等学校を通して学んできた数学について、その「楽しさ」を再確認するとともに、大学での数学または実社会での数学の学習に結びつけることである。当プロジェクトでは、数学を4つの分野(解析的分野、幾何的分野、代数的分野、確率統計的分野)に分けてWeb教材やテキストなど開発している。開発した動画、静止画、テキストなどはWeb上に準備され、生徒が自主的に楽しく学ぶことができるように多様な媒体を組み合わせた教材としている。
  • 加納 重徳, 中馬 悟朗, 服部 晃, 横山 隆光
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 21-24
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「楽しく学ぶ算数・数学プロジェクト」では,平成13年度まで小学校算数を中心に研究・実践を行ってきた。その成果を基に,平成14年度は中学校数学におけるプリント教材の開発やデータベース化,Webページの開発を進めた。開発の基本コンセプトを「WWW(いつでも・どこでも・だれとでも)」とし,学校や家庭等多様な場面での利用を想定し,基礎的・基本的な内容の学習プリントを中1から中3までの3年間で各70枚程度,合計約200枚開発した。授業での利用,長期休暇における家庭での利用,保健室での利用等,実際に教育現場で利用し,効果を挙げている。
  • 横山 隆光
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 25-30
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    岐阜県教育委員会では教育用コンテンツの開発・収集を行っており、開発した教育用コンテンツをデータセンターに蓄積して県内の各学校で活用している。開発・収集した教育用コンテンツはWBT教材、インタラクティブなWeb教材、デジタル動画コンテンツ等である。実践を通して開発した教育用コンテンツの評価と改善を行っており、教育用コンテンツ開発と改善、活用にかかわる本県の取り組みについて報告する。
  • 加藤 譲, 村瀬 康一郎
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 31-34
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    表示機能を持つ液晶ペンタブレットで利用するソフトウエア群を開発した。このシステムでは、プロジェクタと組み合わせて教師が教材を提示することや、測定装置として利用することが可能である。前者は、事前準備を増やすことなく、手で書き込みながら、常に前を向いて授業できる特徴を持ち、後者は、表示機能と入力機能が同一であることを生かし測定を手で行いながら、自動的に電子化が可能になる特徴を持つ。このシステムの理科の授業での利用の可能性について報告する。
  • 益子 典文, 川上 綾子, 牛山 幸彦
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 35-40
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    事例外挿法とは,基本的な科学的概念の学習を終えた状態の学習者に対し,「より正確で間違いのない」概念形成をねらう(科学の世界への「内挿」)のではなく,「科学的意味の使用が適切であるときの鋭い評価力」を持った事例,具体的には,生活の中の様々な技術的問題の解決場面において,科学的概念が持つパワーが発揮されている事例を与え,学習した概念がどのように使われているのかを考える(テクノロジーの世界への「外挿」)ことにより,柔軟で生き生きとした科学的概念の形成を促進することをねらった教材の開発方法である。我々は,「相対運動」概念を形成するための事例外挿法による学習コンテンツをストリーミング映像を用いて設計開発してきた。本報告では,その設計および開発について報告する。
  • 川上 綾子, 益子 典文, 水野 敏孝
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 41-46
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    益子ら(2003)で事例外挿法の考え方に基づき開発された理科の「相対運動」に関する学習コンテンツについて,中学生を対象にそれを活用した模擬的な実験授業を実施し,その効果を検証した。その結果,相対運動のルールに対する理解,理科の学習と日常生活や科学技術との関連性に対する認識,コンピュータによる映像提示やバーチャル実験の印象などに関して,全般的に良好な評価が得られた。
  • 森田 裕介, 尾上 亜衣子
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 47-50
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,松森(1983)の試作した視点移動の類型に,動画像やコンピュータグラフィックスによる視点移動(仮想的視点移動)の追加を提案した.そして,視点移動を必要とする天体運動に着目したWeb3Dコンテンツを作成した.インターフェイスに関する主観評価を行った結果,操作性について低い評価を得たため改善した.また,有用性については大学生対象に調査したところ,13名中10名から中学校の教材として利用できるとの回答を得た.今後の課題は,実際の教育現場における利用並びに検討を行うことである.
【カリキュラム研究】
  • 久世 均, 佐藤 正明
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 51-54
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    生徒が学習を進める場合、個人によって興味・関心に違いがあり、学習速度も異なる。そのために、このような多様な状態であることを考慮した個人に適する学習の方法があると考えられる。しかし実際には、教師主導の一斉授業が進められていることが多い。個人学習法は、これらの学習方法を改善し、生徒が自主的に学習できる環境を保証し、個別学習を進めようというものである。「小・中・高等学校における総合的な学習・情報カリキュラム研究プロジェクト」では、平成11年度より小・中・高等学校における情報教育に関するカリキュラムや学習教材を研究している。ここでは高等学校の教科「情報」における学習教材を『情報に関する学習のすすめ方(第1集〜第3集)』という冊子にまとめ、これらの学習教材を利用した個人学習法を活用した教科「情報」の実践について報告する。
  • 孔 泳泰
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 55-60
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    韓国と日本における中学校の理科に関する教育課程は、それぞれ1997年と1998年に新しく改訂された。韓国では2001年度から学校現場において新理科教育課程が施行されている。本研究では、両国における理科の教育課程を対象にして、教育課程改訂の基本方向、改訂の変遷、構成体制、授業時数、目標、学習内容、教授・学習活動、評価に分けて比較してみた。その結果、両国における理科の教育課程に関する共通点と相違点を明らかにすることができた。さらに、韓国の教育課程の研究において、日本の教育課程の実践から学べる点についても示すことができた。
  • 畑中 敏伸, 長州 南海男
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 61-66
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    フィリピンでは,科学教育における新しい教師教育の取り組みとして,2000年より日本の国際協力のもと小学校と中学校の科学と数学の教師を対象とする学校を拠点とする現職教育(SBTP)が始められた.本研究の目的は,SBTPの特色と課題を明らかにすることであり,そのためにフィリピンにおけるフィールド調査と関連文献の調査を行った.その結果SBTPは,地方の学校の教師に対する継続的な教師教育であり,その教師教育プログラムに観察実験活動が取り入れられている,日本の研究授業と類似している,地方主導の運営である,学校での授業に即した内容である,低コストの運営をしている,日本からは人的な貢献を主としている,という特色があることを明らかにした.またSBTPは,模範授業後の討論が十分に行われていないことが課題であり,その理由として模範授業に関する評価と授業内容に関する討論の観点に問題があること,参加教師には科学的知識や実験技能が不十分であるという問題点を指摘した.
【ICT活用】
【大学における遠隔教育とe-Learning】
  • 南部 昌敏, 三輪 眞木子, 波多野 和彦, 村瀬 康一郎
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 79-84
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現職教員のための遠隔コースを提供している米国の先進的5大学におけるインターネット等の情報通信技術を用いた遠隔教育の実施状況、主な技術や支援体制の実態等について、教授者、受講者、管理者、支援スタッフ等の関係者と面談し、各大学で提供している遠隔教育の実態と成功要因について、各々の立場から知見と意見を聴取した。その結果、米国の現職教員向けの遠隔教育では、修士レベルの学位や資格獲得のための多様なコースが提供されており、受講者のニーズに合わせて柔軟なカリキュラムが組まれていること、教授者と受講者のために図書館や遠隔教育用教材開発および受講者支援を担当する多様なスタッフが多数配置された組織を構成して運用されていることが明らかとなった。このことは,わが国における今後の教員養成大学学部・大学院教育の改善に寄与するものと考える。
  • 加藤 直樹, 村瀬 康一郎, 益子 典文, 松原 正也, 奈良 敬, 輿戸 律子, 佐藤 俊介, 田中 昌二, 加藤 一郎
    原稿種別: 本文
    2003 年 17 巻 6 号 p. 85-88
    発行日: 2003/06/21
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    情報通信技術を積極的に活用したeラーニングの導入が高等教育においても具体化され始めているが,総合的な学習環境の開発が課題となり, LMS (Learning Management System)への移行や組織的な運用体制等の構築が重要とされている。そこで指摘される課題を検討し,岐阜大学では従来のテレビ会議システムを包含するLMS基本システムを構築するとともに,総合情報メディアセンター設置による運用体制の整備を進めてきたので,その概要について報告する。
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