本稿に関連して、大阪からオンラインによるタイ国教師向けSTEM教育研修事業“Power Up”プロジェクトは、すでに報告したことがある(*1)(*2)。このプロジェクトは、バンコクに拠点を置くユネスコのSEAMEO (South East Asia Minister of Education) のSTEM教育センターが実施したもので、本稿では、あらためて経過と背景、およびタイ国の科学教育事情の一端を報告し、今後のSTEM教育と現職教師の研修プログラムのあり方を検討する参考事例として報告する。はじめて本事例を目にする人のために、一部の繰り返し部分があることを断っておきたい。
このプロジェクトの基本テーマとした「電気」(electricity)は、タイでは小中学校・高校で多くの先生が苦手としていて、実験観察は厄介扱いされる傾向がある。加えて、このプロジェクトはリモートで、実験活動を主体にした実施を目指しただけに、きわめて挑戦的な取り組みとなった。
本稿では、5日間のワークショップの3日目の終了時に実施した参加者72名のプロジェクトに対する評価結果のごく一部を中間的に報告する。プロジェクトのトータルの評価作業は、ホストであるバンコクのプロジェクト・チームが取り組んでいて、その詳細は後日のことになると思われる。
本稿が日本国内の科学教育研究者、STEM教育に関心を持つ人たち、特に海外でも活躍しょうとする若い世代に参考になればさいわいである。なお記述内容はSEAMEOのSTEM教育センター公式のものではなく、筆者の個人の見解に基づくことを断っておきたい。
抄録全体を表示