日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
25 巻, 5 号
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表紙・プログラム
発表
  • -1995 年兵庫県南部地震から 2011 年東北地方太平洋沖地震までの防災教育を踏まえて-
    藤岡 達也
    2018 年 25 巻 5 号 p. 1-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    日本では,その立地する自然環境から歴史的にも大きな自然災害に見舞われ,伝統的に様々な対応がなされてきた。特に 1995 年兵庫県南部地震以降,防災教育については数多くの取り組みがなされ,2009(平成 21)年に施行された学校保健安全法など,学校教育での整備が一層なされてきた。本研究では,まず兵庫県南部地震以降の国際的な防災・減災の動向を踏まえ,日本の教育界での防災教育に関連した展開を概観する。ところで,近年成長著しいアジアであるが,世界の自然災害による被害の大部分が集中するのも事実である。そこで,アジアの防災・減災教育についても日本の貢献は期待することができ,その具体的な内容や方法を探ることは喫緊の課題である。2011(平成 23)年,小学校から全面実施される学習指導要領の改訂の時期に,兵庫県南部地震以降の自然災害に対する国際動向や国内の動きを科学教育と関連して掌握し,それらを踏まえて東アジアにおいて自然災害を取り扱う意義とその課題について再考したい。
  • 植木 幸広, 久保田 善彦
    2018 年 25 巻 5 号 p. 5-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    子どもたちは,観察・実験をした際,自分の予想や思い込みによって実験結果を正しく見とれなかったり,実験結果を正しく解釈できなかったりすることがある。本研究は,小学校 5 年理科「振り子の運動」の単元において,子どもたちの「思い込み」の実態を調査した。その結果,振り子の学習では,予想や仮説を立てた場合,自分の予想や思い込みにより正しく実験を行えないことがあり,その思い込みは,計測する時よりも実験数値を選んだり誤差について考えたりするときに影響を与えることが分かった。
  • 楠本 誠, 久保田 善彦
    2018 年 25 巻 5 号 p. 9-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究の目的は、天体単元における方位理解や没入感を高める教材を作成し、その効果を検証することである。そこで、既存の天体シミュレーションソフトに実践校の屋上から撮影したパノラマ風景を取り込んだ教材を作成し、シミュレーションの背景が身近であること、身近でないことが方位理解や没入感にどのような影響を与えるかを検証した。質問紙による興味関心、没入感、方位理解に対する主観的な評価と方位理解テストによる客観的な評価を行った結果、児童の興味関心、シミュレーションへの没入感が高まり、方位理解に有効であった。
  • ~中学校 2 分野「刺激と反応」から~
    久保田 善彦, 井上 育美
    2018 年 25 巻 5 号 p. 13-16
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ジェロントロジーとは,高齢者の増加で生じる問題を解決していくための加齢(aging)と高齢者(aged)の複合的研究分野である。本研究は,ジェロントロジー教育を理科学習の中で取り扱った。特に,生物学的な加齢変化を題材に,大学生を対象とした試行授業を行った。中学校理科の 2 分野「刺激と反応」の単元から視力について取り上げ,(1)理科学習の有用感を向上させること,(2)目の作りと働きの理解を深めること,(3)高齢者理解をすること,以上 3 つのねらいを立て授業を行った。その結果,以下が明らかになった。理科の授業で学習した内容がどのように自分に関わっているのかを認識できたことで,理科を学習する動機付けとなることが明らかになった。また,正常な目の状態を学習した上に,老眼や白内障などの目の学習を行うことで,目の働きが更に理解できた。更に,加齢変化によって引き起こされる目の病気を学習することで高齢者への理解も深まることが分かった。
  • 大脇 雅弥, 小林 辰至
    2018 年 25 巻 5 号 p. 17-22
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は次の 2 つを目的として行った。1 つは生活科と理科の教科書の内容の関連性を明らかにすることである。もう 1 つは,生活科の学習における児童の記述内容を記録カードから抽出した後,理科の学習の基盤となる気付き(科学性の芽生え)を類型化し,生活科と理科の接続の観点から考察することである。 生活科の教科書の分析は,まず自然に関わる体験活動に関する単元と自分自身の成長に関する単元とに大別した。次に自然に関わる体験活動について 3 年生以降の理科の学習内容に関連する内容を抽出するとともに,生活科と理科との関係性を検討した。記録カードの分析については,すべての対象児童の記述からキーワードを抽出し,科学性のある記述とその他の記述に分類した。 その結果,以下のことが明らかになった。(1)生活科の自然に関わる体験活動は,「季節の変化と生活」「自然やものを使った遊び」「動植物の飼育・栽培」の 3 つに分類できた。これらの単元は,科学性の芽生えの視点をもつことにより,3 年生以降の理科の学習の基盤として位置づけられた。(2)科学的な記述は,「自然に関わる体験活動を通した原体験的な事実への気付き」「比較」「因果への気付き」「活動への意欲」の 4 つに類型化できた。各類型の気付きは,教員が適切に評価し,指導に生かすことで理科の学習の基盤となることが示唆された。
  • 宮本 俊光
    2018 年 25 巻 5 号 p. 23-26
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、地域教材を基にした数学の授業実践に関する報告である.高校生に対し,地元の英雄である林子平先生考案日時計を基に,三角比の授業実践をした結果,有効な結果を得ることができたので報告する.高校 1 年生の生徒たちを対象に,数学Ⅰの三角比の授業実践について,地域教材の視点から,その有効性について報告する.
  • 小川 正賢
    2018 年 25 巻 5 号 p. 27-30
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    国際比較調査の結果が公表されると東アジア地域に混じって北欧フィンランドの好成績が注目をあびてきた.ところで,その影に隠れてはいるが,継続して理科で好成績を挙げている国にバルト三国の小国エストニアがある.旧ソ連の崩壊によって 1990 年代に独立したバルト三国(エストニア,ラトビア,リトアニア)の中で,エストニアだけがとびぬけて理科の成績が良好である.いったいその原因はどこにあるのだろうか.そのような問題意識から,本論では,従来あまり紹介されてこなかったエストニアの理科教育事情,理科教師教育事情を概観する.
  • 宮本 俊光
    2018 年 25 巻 5 号 p. 31-34
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は,算数・数学科の授業のために,関係発達論に基づいて構築した情報環境を用いて実験授業をしたその結果報告である. 具体的には,大学院生を被験者として,中学校 2 年生から高等学校 3 年生の範囲の数学問題を用いて,グループ学習を実施した所,有効な結果が得られた.
  • 谷塚 光典, 東原 義訓
    2018 年 25 巻 5 号 p. 35-38
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,eポートフォリオに関する論文をレビューし,eポートフォリオの研究動向を概観した。日本科学教育学会の年会論文集や研究会研究報告においては,①教師教育(特に教員養成)における実践,②再構成型コンセプトマップ作成ソフトウェアを活用したポートフォリオ評価,③グループウェアを用いたポートフォリオ評価,④CSCL 環境を用いたポートフォリオ評価,等のeポートフォリオに関する研究が行われていることが明らかになった。
  • 五百川 裕
    2018 年 25 巻 5 号 p. 39-42
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    新潟県における理数系教員(CST)養成拠点構築事業の特徴は, 県内 12 地区の理科教育センターを CST 活動拠点として充実・支援すること,CST 養成プログラムの現職教員履修者の多くは修了後に各地区理科教育センター担当 CST となること,学生履修者の多くは理工系学部卒業後に小学校教員免許取得をめざす大学院生であること等である。この特徴ある取り組みは,新潟県教育委員会が広大な県土における理科教育振興に不可欠と守り育ててきた地区理科教育センターの存在と,上越教育大学が大学院での高度な教員養成を指向し他大学卒業生が大学院で教員免許取得ができるよう制度(免許取得プログラム)を整備したこと,そして,県教育委員会と上越教育大学とが長年連携して教員養成と現職教員再教育に取り組んできた信頼関係により初めて可能となったものである。CST 養成プログラムでは,県立教育センター理科長期派遣研修のノウハウも取り入れ,堅実な CST 養成体制の構築をめざしている。
  • 淺原 雅浩
    2018 年 25 巻 5 号 p. 43-46
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    平成 21 年度理数系教員養成拠点構築事業第 1 次募集に採択され、学部生、大学院生および現職小中教職員を対象とした理数系教員(コア・サイエンス・ティーチャー:CST)養成と支援のための仕組み作りに着手した。平成 22 年度より、養成プログラム受講者を募集し、実際の養成に着手した。平成 23 年度末には、CST となる教員が誕生し、実際の CST 活動が開始される予定である。現在、養成プログラムの運用・改善とともに支援拠点の構築など支援策についても検討中である。
  • ー高知 CST プログラムの基盤構築と高知 CST 養成プログラムの開発を中心にー
    大嶌 竜午, 吉岡 健一, 蒲生 啓司
    2018 年 25 巻 5 号 p. 47-52
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    高知大学と高知県教育委員会は,科学技術振興機構の助成のもと「高知 CST 養成拠点構築事業」に平成 22 年度から4カ年の計画で取り組んでいる.本小論では,平成22 年度に高知 CST 養成拠点構築事業においてなされた取り組みを,本事業を実施するための基盤構築と CST を養成するためのプログラムの開発の2点から検討した.その結果,高知 CST 養成拠点構築事業では,初年度の取り組みとして,各機関との連携の構築とその強化,高知 CST プログラム拠点校の選定・整備,高知 CST プログラムの周知,高知CST 養成プログラムの開発を主な成果として挙げることができた.
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