日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
27 巻, 6 号
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表紙・プログラム
発表
  • 小松 祐貴, 渡邉 悠也, 桐生 徹, 中野 博幸, 久保田 善彦
    2012 年27 巻6 号 p. 1-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「月の見え方」など,天体現象を理解するには,視点移動能力など空間認識能力の発達は欠かせない。筆者らは,これまでに,「月の見え方」についての理解を促すため,AR 技術を利用して教材を開発している。この AR 教材は,学習者が平面図を手がかりにして「月の見え方」を理解するために開発したものであり,タブレット端末のカメラで平面図を撮影すると,その平面図の画像上に3D モデルが重畳表示されるものである。中学生を対象とした授業実践により,その教育効果は明らかになっている。本研究では,学習者が AR 教材を利用することで,「月の見え方」に関する空間認識をどのように変容させるのか調査した。その結果,AR 教材を利用することで視点移動は比較的容易に理解し定着するが,「球形・左右概念」は,概念を組み合わせて使うことや,視点移動の不十分さから難易度が高い課題であることが明らかになった。
  • -中学校第1学年「物質の状態変化」への導入を通して-
    中村 直貴, 桐生 徹, 久保田 善彦
    2012 年27 巻6 号 p. 7-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    理科実験中のメタ認知的活動は重要視されている。そこで,メタ認知的活動の基と考えられているメタ認知的知識を含んだチェック項目付きワークシートを開発し実践した。その結果,チェック項目付きワークシートを用いることで,理科実験中の 77.4%の生徒のメタ認知的活動をサポートすることができた。また,学習者自身もそれらを意識していることが確認できた。しかしながら,チェック項目の内容と実験を上手く結び付けられない生徒がいる可能性や実験を進めることとチェック項目を読むことの同時進行の活動が困難な生徒がいる可能性が示唆された。
  • 山上 純, 久保田 善彦, 桐生 徹
    2012 年27 巻6 号 p. 13-18
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    主に算数・数学で実践される「ふきだし法」を理科に取り入れた。調査1で,3つの視点を与えてふきだしを記述させた結果,ふきだしを書く視点を提示する必要がないということが分かった。また調査2で,書くときを与えない場合は,子どもは,場面をきっかけにしてふきだしを書くことが分かった。子どもがふきだしに書く内容は,書くときを与えないことによって心情面や自信度などという3つの視点を与えたときとは異なる記述であった。このことから理科においては書く視点は指示をせず,書く内容のみ言葉がけをすればふきだしを適宜書いていくことが分かった。
  • ―「ものの温まり方」単元における概念の関連から―
    荻野 伸也, 久保田 善彦, 桐生 徹
    2012 年27 巻6 号 p. 19-24
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校4 年生「ものの温まり方」単元において,金属への熱の伝わり方は,児童にとって科学的な概念を形成しやすい学習事項である。しかし水への熱の伝わり方は,科学的な概念を形成することが困難である。本実践においても,有効性が指摘されているサーモインク液の使用だけでは,科学的な概念の形成に至らなかった。誤った概念で捉えた児童は,観察が不十分と考えられる。そのような児童は,金属の熱伝導など,自分にとって納得のいく安定なモデルを適応し,概念を作り上げる事があると分かった。更に作られたモデルは,曖昧な記憶によるため不安定で,時間の経過と共に,既習事項で理解しやすい安定なモデル(「回転モデル」)へと変化することも明らかになった。
  • 武田 健太郎, 東原 貴志
    2012 年27 巻6 号 p. 25-28
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    木製品の製作実習において,作業が遅れがちな学生は,作業の見通しを立てて行動することが苦手とされており,作業段取りや作業計画に関する学習が重要である。本研究では,木材加工作業の連合作業分析を通して,作業が改善される様子を観察した。学生 2 人で 1 組となり,簡単な構造の CD ラックと,やや製作が難しい木製ラックを順に製作させた。その結果,木材加工の経験が多い学生は,手空き時間がほとんどなく製作題材の違いによる大きな作業工程の変更はみられなかった。それに対し,木材加工の経験が少ない学生では,手空き時間がしばしばみられ,効率的な作業を行っていたとはいえなかった。しかし,木製ラックの製作時には作業工程の改善がみられた。
  • 槙 誠司
    2012 年27 巻6 号 p. 29-32
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    東日本大震災以降、環境問題等が深刻化する中で一人ひとりが持続可能な社会の担い手として主体的に行動する生徒像を示すと共に、高等学校理数教育に ESD を取り入れた実践例を紹介し,その効果と今後の方向性について述べる。
  • 孔 泳泰
    2012 年27 巻6 号 p. 33-38
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では、日本と韓国においてのTIMSS調査結果に基づいて、両国の理科到達度の推移変化と理科カリキュラムとの一致度を探ってみた。その結果、両国ともにTIMSS調査の理科到達度は年々落ちているものの国際平均値に比べると10ポイント以上高い数値を示しており、国際的に高い理科学力をもっていることが分かった。また、両国ともに理科カリキュラムとTIMSS問題との低い一致度にもかかわらず、高い水準の理科学力を見せていくことは多様な要因が関係しているとも思われる。
  • 孔 泳泰
    2012 年27 巻6 号 p. 39-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は、平成24年度に日本で行われた理科学力·学習状況調査用で用いられた理科問題集を韓国語に訳して、韓国の小学校6年生に適用した結果について調べたものである。そして、韓国の結果を踏まえて、両国においての理科到達度の比較研究を試みてみた。韓国への適用は、5年生421名と6年生777名を対象にして、2013年4月に行った。比較するにおいては、領域別正答率と問題別正答率の分析を行った。その結果、韓国の6年生の正答率は、日本の正答率に比べて全体的に低かった。その理由として、独立された理科問題類型に慣れている韓国の生徒たちは、今度のような連続問題類型には慣れていないことと履修されなかった問題があったことなどがあげられる。
  • 関根 幸子, 長谷川 直紀, 田代 直幸, 五島 政一, 稲田 結美, 小林 辰至
    2012 年27 巻6 号 p. 45-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,理科における探究能力育成を目指して,Process skills をもとに新しく設定した 31 項目の「探究の技能」の観点で類型化した観察・実験等の特徴と,授業における問いかけとの間に関連性が認められるかどうかについて検討を行った。その結果,各類型の観察・実験等における探究的な特徴と,授業における問いかけとには強い関連性が認められた。
  • 吉田 裕, 田代 直幸, 五島 政一, 稲田 結美, 小林 辰至
    2012 年27 巻6 号 p. 51-56
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,小学校理科教科書に掲載されている観察・実験等に関わる問いかけ方と,Process skills をもとに新しく設定した 31 項目の「探究の技能」の観点で類型化した観察・実験の探究的な特徴との間に関連性が認められるかどうかについて検討することを目的とした。その結果,各類型の観察・実験等における探究的な活動と,問いとの間には強い関連性が認められた。
  • -「探究の技能」育成の観点から-
    渥美 猛, 山口 真人, 吉田 裕, 稲田 結美, 小林 辰至
    2012 年27 巻6 号 p. 57-60
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    T 社の小学校理科教科書に掲載されている全ての観察・実験等について,長谷川らが提案した31 項目の探究技能の一つ一つが含まれるかどうかを検討し,具体的な評価規準を明文化した。本報では,そのうちものづくりを取りあげ,その学習の過程において,育成できる探究の技能と評価規準について具体的に提案した。
  • -「探究の技能」育成の観点から-
    山口 真人, 渥美 猛, 吉田 裕, 稲田 結美, 小林 辰至
    2012 年27 巻6 号 p. 61-64
    発行日: 2012年
    公開日: 2018/04/07
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究の目的は,「探究の技能」に基づいた観察・実験の評価規準を基に,「探究の技能」の観点を取り入れた学習の展開を明らかにすることである。まず小学校理科教科書(T 社)に掲載されている全ての観察・実験について「探究の技能」の観点から評価規準を作成した。この評価規準を用いて,小学校第5学年「種子の発芽と成長」における授業を構想した。「探究の技能」の評価規準を使用することによって,具体的な評価方法や評価場面が明らかとなった。
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