日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
21 巻, 1 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
表紙・目次
第1部 招待セミナー
第2部 研究発表
  • 渡辺 勇三
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 17-22
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    先般の「お茶の間宇宙教室の提唱」、「街角宇宙教室の提唱」、「街角星空教室の提唱」に続き、「街外れ星座教室の提唱」を報告する。近頃、星を見なくなった。何故だろうか。多忙なのだろうか。星が見えないのだ。郊外や海外や高山で星を見て感動した投書など見ると今の都会では如何に星が見えないかがよく解かる。では、相模原市ではどうなのだろうか。アンケート調査を実施した。視界の広がる相模川の堤防、農道、街灯を避ける高い塔などでささやかな星ウォッチングが行なわれていた。夏の日のタ刻、南の空にさそり座の雄姿を眺めた時の感動は終生忘れられない。今でも心が安らぐ。精神的な豊かさを得るには星座観測が一番だが星空学習は危機的状況にある。大気汚染とネオン光害で都会の低い空には星が無い。夜は誘惑が多く事故や事件で危険が一杯だ。先人は百年計画で明治神宮の森を作り上げ世界に先駆けて京都議定書を作成した。遠い将来を見据えて緑化と省エネに励みつつ田園で星々を学習することを提案する。
  • 里岡 亜紀, 中山 迅, 山口 悦司, 串間 研之, 松田 清孝, 山本 琢也
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 23-28
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    前報では,博物館と連携して一人の理科教師を保護者向けのサイエンス・コミュニケータとして育成し,その力量を向上させる研修プログラムの計画について報告した.本報では,対象となった理科教師の力量向上の評価を教授学的内容知識(PCK)の観点で実施した.分析の結果から,教師は,博物館・フィールドでの研修や家庭教育学級の実施を通して,火山灰に関する豊富で再体制化された知識,保護者の知識構成を促進するための,より洗練それた知識,「保護者は自分と類似した形でカテゴリ化された火山灰と土壌に関する知識を構成しているという知識」を獲得したことが分かった.
  • 竹中 真希子, 稲垣 成哲, 武田 義明, 黒田 秀子, 大久保 正彦
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 29-32
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    筆者らのプロジェクトチームは,ケータイを利用した情報共有支援システム(clippicKids)をベースにして,対話型バーチャル植物園を構築している.本研究では,この植物園を媒介として,植物生態学の専門家と小学生が協同で行った生活科の授業「野の草花しらべ」を専門家のアウトリーチ活動とみなして,その主観的な評価を実施した.小学生からは,学習意欲の喚起,知識理解の促進について肯定的な回答を得ることができた.専門家からは,こうした活動の意義の肯定的な評価とともに,研究活動とのエフォートの配分にかかわる問題点の指摘がなされた.
  • 渋谷 久, 辻 宏子
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 33-36
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は,これからの科学教育を支える教員養成のあり方について,学校現場と大学とのコラボレーションの内容について実証的に考察することを目的とする。まず,近年日本教育大学協会研究プロジェクトによって提案された「教員養成のモデル・コア・カリキュラム」のプログラム化等に見られる,理論に基づいた実践的な力の育成のための動向と大学におけるプログラムの現状を捉える。次に,「コア・カリキュラム」において不可欠である学校現場と大学とのコラボレーションの内容,つまりに求められる教員養成のプロセスにおける学校現場との連携にあり方について,特に算数・数学の教科指導に焦点を当て筆者らの活動をもとに実証的に考察・検討を行う。
  • 伊藤 真之, 田中 成典, 蛯名 邦禎, 長坂 耕作, 近江戸 伸子, 小笠原 史恵, 桜井 香織, 濱岡 理絵
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 37-42
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「市民の科学に対する大学の支援に関する実践的研究」(略称「市民の科学」)プロジェクトの一環として、「サイエンスカフェ神戸」を創始した。このプロジェクトは、科学技術的課題に対する市民のエンパワーメント・システム構築をめざすもので、サイエンスカフェ開催はその第一段階として位置づけられる。2005年10月から2006年6月までに16回を開催し、科学コミュニケーションの新しいスタイルとして高い可能性を確認した。サイエンスカフェは現在各地に広がりつつあるが、「サイエンスカフェ神戸」では、文化としての科学を地域社会に根づかせることを大きな目的とし、運営に市民が主体的に参加し、様々な場で頻繁に開催されるようなあり方をゴールとして設定している点で特徴をもっている。「市民の科学」プロジェクトでは、次のステップとして、サイエンスカフェを通じて形成された緩やかなネットワークも利用しつつ、大学の支援のもとでの、環境などに関わる課題の市民による調査・研究の展開可能性を探ってゆく。
  • 溝邊 和成, 藤井 浩樹, 野上 智行
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    科学系博物館を活用した教師教育プログラム開発の一環として,スイスのテクノラマ科学センターにおける学校支援について注目した.同センターの見学用資料等を検討するとともに,職員への面接調査を行った.その結果,ハンズ・オン,インタラクティブが重視されていること,見学に際しての諸注意など詳細に記された教師向け資料が充実されていること,教師向けの研修会が設定されていることなどが明らかになった.
  • 清水 麻記, 西村 隆彦, 目黒 実
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 49-54
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    九州大学ユーザー・サイエンス機構子どもプロジェクトでは、インゴ・ギュンター氏と共同で、地球儀に現在の地球上の環境・社会問題を表すデータをプロットした巡回展"Worldprocessor"を開発した(2005年8月)。地球儀は、地理教育を主として扱われてきた教材であるが、今回開発したものはこれまでの地球儀の利点を活かしつつ、アートの力を援用し、「地球」に関する自然科学的情報や地球上でおこっている事実のデータを伝えるという点で、アートとサイエンスを融合させた新しい教育メディアである。本稿では、この巡回展という「現在の地球」を伝えるメディアをとおして来館者である子どもたち・大人たちが、何をどのように感じ取っているのかについて検証し、ケース・スタディの一つとして子ども・大人共に効果的なアートと科学が同居する新しい展示のあり方を考える一助としたい。
  • 勅使河原 君江
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 55-60
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は近年、日本の美術館で行われるようになった「対話型美術鑑賞」における、子どもとファシリテーター(対話の実施者)との対話構造を分析し、そこで子どもとファシリテータの間で交わされる対話による思考過程の分析を行う。また、対話による美術鑑賞では、鑑賞者が主体的に作品を「観察する」「五感で感じる」という過程を経て、「観察でえられた情報を考える」「感じたことを分析する」やがて、「考えたこと。分析したことを通して自分の作品世界のイメージを広げる」という思考プロセスへと導く試みである。そして、このような子ども自身の力で思考プロセスを構築する試みは科学教育においても有効であると考え、その応用化へとつながっていくことを今後の目的とする。
  • 三宅 志穂, 稲垣 成哲, 野上 智行
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 61-66
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,兵庫県西宮市における環境教育事業の変遷について,これまでに詳細な記述がなされていない2002年から2005年に着目して調査をおこなった.LEAFにおける職員へのインタビューを行うとともに,LEAFおよび西宮市が発行した環境教育事業に関連する文献資料を収集した.これらの資料にもとづき,当期間に,LEAFが中心となって展開した,西宮市における環境教育事業の特色を検討した.その結果,次の3点が特色としてまとめられた.(1)市からNPOへ環境教育事業が委託されるようになった(2)西宮市における環境教育事業が全国的に認められ始めた(3)地域の諸機関をつなぐ環境教育事業のしくみが確立した
  • 大黒 孝文, 竹中 真希子, 上田 浩司, 東 徹哉, 牧野 治敏
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 67-72
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,協同学習の理論と方法を習得するための教師教育プログラムを開発した.このプログラムの特徴は,Webブラウザで動作することと,協同学習の実践者の授業事例や,実践者へのインタビュービデオを用いて,理論と方法,そして,その効果を分かりやすく提示していることである.このプログラムでは,教師らの協同学習の指導方法の習得と授業力の向上に資することを目指している.
  • 加納 寛子
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 73-78
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    情報社会では大人だけでなく子どもも巻き込み情報を巡る様々なトラブル起きているが,「気づき」が促されているか否かで,随分対処法が異なる.そこで,KJ法により情報モラル教育内容を5つに分類を行い,情報モラルに関して大切だと意識していることに関する学生の自由記述より内容の抽出を行った.その結果,1)情報収集の詐欺・情報の信憑性に関して6件,2)情報発信のプライバシーの侵害・個人情報保護に関して47件,3)人間関係や心身の健康の人間関係に関して11件4)クラッキングに関するセキュリティーは0件,5)ソーシャルエンジニアリングに関するセキュリティーも0件であり,大切だと意識していることには偏りがあり,情報モラル=プライバシーの侵害,個人情報保護といえるほどに,プライバシーや個人情報保護の大切さに関しては「気づき」が浸透していることがわかった.一方で,セキュリティーに関する自由記述は全く見られず,セキュリティー分野に関する情報モラル教育内容の「気づき」を促す指導の必要性が示唆された.
  • 中西 英, 中山 迅
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 79-82
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    小学校4学年の単元「水のすがた」において,反復再生可能描画システムPolka (Process Observable Learning system for Knowledge Acquisition)を活用した授業を実施した。Polkaが対話や概念変化や振り返りをいかに支援できるのか明らかにすることによってPolkaの「しおり」機能の学習過程への効果的な位置づけを検討していく。
  • 坂本 美紀, 稲垣 成哲, 山口 悦司, 藤本 雅司, 山本 智一, 竹中 真希子, 大島 純, 大島 律子, 村山 功, 中山 迅, 近江 ...
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 83-88
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    筆者らは,CSCLシステムであるKnowledge Forumを活用した小学生のための科学教育カリキュラムを開発・評価している.本研究では,遺伝子組換え食品問題に対する社会的意思決定を扱うカリキュラムを,知識構築に関するデザイン原則のひとつである認識主体性の観点から改善し,有効性を評価した.評価の指標は,この問題に対する個人的意見であり,単元開始時,中盤,終了後の3時点で測定し,学習の進行に伴う変化を改善前のカリキュラムでの結果と比較した.その結果,改善後のカリキュラムでは,単元の中盤から提案型の意見が出現し,単元後にはほぼ全員が,条件や代替策を示した賛成意見を記述した.児童の認識主体性を考慮した授業デザインの変更により,共同体にとって価値あるアイディアの創出という知識構築のレベルを,さらに向上させることができた.
  • 杉本 雅則, 円城寺 人史, ラヴァシオ パメラ, 原 務
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 89-93
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿では、SketchMapとよばれる屋外協調学習支援システムについて紹介する。SketchMapの目的は、学習者の視点で地図を作成すること通して、(1)屋外での活動における気付きを、その場で簡単に記録できるようにすること、(2)その気付きを活動の振り返りの際に再発見し、さらなる学習へとつなげること、(3)自分の体験だけでなく、他者の屋外での体験を共有できるようにすることで、教室での学習者同士の活発な議論や相互作用を支援すること、である。SketchMapを用いた授業実践を、千乗県柏市内の小学校と協力して行っている。具体的には、地域安全マップ作り、自然観察などの活動で、子供たちに利用してもらっている。SketchMapシステムの開発は現在進行中である。本稿では、現状のSketchMapの機能を用いて行った実践の結果について述べ、今後の展開について示す。
  • 瀬戸崎 典夫, 森田 裕介
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 95-98
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,天文分野の様々な課題を解決するために視点移動能力に着目し,「月の満ち欠け」を理解させることを目的としたWeb3Dコンテンツと実物模型を併用した多視点型天体教材を開発した.さらに,教育現場での利用を検討するために教育学部教員養成課程学生を対象にアンケート調査を行った.この結果,「実物模型の機能」,「教材の有用性」について高い評価を得ることができ,実際の授業で利用する価値があると考えられた,また,Web3Dコンテンツと実物模型は併用して用いたほうが学習効果を向上させることが示唆された.
  • 森田 裕介, 馬場 秀徳, 山崎 将平, 藤木 卓
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 99-102
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,講師が対象物を提示する場面に着目し立体映像教材を試作した.そして,一対比較法を用いて立体感と見やすさの観点から評価を行った.実験の結果,講師とボードが一緒に映る条件で,かつボードの提示距離1.0mのときに最も立体感を得やすいことが明らかになった.また,講師が一緒に画面に映る条件と講師が画面に映らない条件では,前者のほうが見やすいことが明らかになった.
  • 出口 明子, 藤本 雅司, 桑木 房子, 山口 悦司, 舟生 日出男, 稲垣 成哲
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 103-108
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    筆者らは,再構成型コンセプトマップ作成ソフトウェアの実践研究に取り組んできている.本研究では,本ソフトウェアを導入したカリキュラムを開発・改善することを目的として,小学校第4学年理科「状態変化」に関する2004年度版のカリキュラムを改善し,2006年度の授業に導入した.両年度における児童らの概念理解を比較した結果,2006年度においてより深い理解がなされていることがわかった.また,カリキュラム改善に関する教師の評価において,教師は,カリキュラムの改善が児童の概念理解を深める上で有効であったと評価していることが明らかになった.
  • 三澤 尚久, 稲垣 成哲, 舟生 日出男, 山口 悦司, 出口 明子, 上田 浩司, 大黒 孝文
    原稿種別: 本文
    2006 年21 巻1 号 p. 109-112
    発行日: 2006/08/17
    公開日: 2017/11/17
    研究報告書・技術報告書 フリー
    アナロジーを活用した理解深化支援の効果を検討するために,中学校理科「電流と電圧」において授業実践を実施した。その際,学習者支援の道具として再構成型コンセプトマップ作成ソフトウェアを導入した。その結果,アナロジーとソフトウェア導入による電気分野の理解深化支援への可能性が示唆された。
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