日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
ISSN-L : 1882-4684
32 巻, 10 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
表紙・目次
発表
  • 吉川 直志, 沖 柚希, 尾崎 真帆
    2018 年 32 巻 10 号 p. 1-6
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    小中学校の理科で学ぶ電気回路は、重要な内容にも関わらず理解が難しく、多くが苦手意識を持つことになる。導線を流れる電気は目には見えないために存在や動きが想像できず理解を難しくしている。そこで、一人ひとりが電気となって電気の輪となり回路を回って、自分の体感とみんなでの動きを通して小学校で学ぶ基本的な電気回路から順に理解を進めて行く方法を提案する。手回し発電機やコンデンサーなど、その中での電気の存在や動きの理解を助けることもできる。これまでに擬人化体感学習として行った電気の表現を系統的に小学校の内容から学んでいくことで、電気の理解方法のひとつとなることを報告する。

  • 中廣 健治, 下村 勉, 須曽野 仁志
    2018 年 32 巻 10 号 p. 7-10
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    安価なセンサーやPC が販売されるようになり入手しやすくなってきた。また,中学校では,技術家庭にコンピュータによる計測・制御が取り上げられており,学習者のプログラミングによるデータ処理が容易になりつつある。これらのことが,理科実験におけるICT 活用の可能性を広げている。本研究では,注射器と圧力センサーや安価なPC を使い,データを「スクラッチ」で処理して,断熱変化や等温変化の圧力と体積の関係を示すPV 線図に準じた図を描く方法を開発した。このような実験は,高校レベルの実験設備では行われてこなかった。開発した方法を生徒実験に用い,その後にシミュレーションで確認できるようにしたところ, 断熱変化について,PV 線図からの特徴理解に有効な可能性が見いだせた。

  • 林 裕貴, 郡司 賀透
    2018 年 32 巻 10 号 p. 11-14
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    小学校高学年及び中学校のデジタル理科教科書教材の視覚表現に注目し,エネルギー・粒子・生命・地球の4 領域についてその件数をカウントした。次に,当該デジタル理科教科書における「技術」に関する視覚表現に焦点をあて,件数の傾向と記述内容を踏まえて,「技術」に対するイメージを考察した.

  • - ドイツ・キール大学IPN「NaWi 造船所」を例として -
    寺田 光宏, 磯部 征尊
    2018 年 32 巻 10 号 p. 15-20
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本論はドイツにおける資質・能力育成を指向し文脈を基盤としたMINT(Mathematik,Informatik, Naturwissenschaften,Technik )教育である“Schwimmen, Antreiben, Steuern”プログラムの概要とその学習プロセスを明らかにし,日本の教育現場への示唆を得ることを目的とした.このプログラムは,科学,技術及び情報科学を「造船」という視点で一つの文脈にまとめ上げ,MINT 教育の一つの方向性を具現化していた.ただ,資質・能力の定義が不十分で,特に情報技術で育成される資質・能力が明確ではなかった.日本においてこのような科学・技術教育を推進する場合,数学,情報科学,自然科学,技術のそれぞれの資質・能力を暫定的にでも明らかにできれば,カリキュラム・マネジメントとして,資質・能力育成を指向し文脈を基盤とする指導が十分に可能になると考えられた.

  • 小西 伴尚, 石井 智也, 秦 浩之, 平賀 伸夫
    2018 年 32 巻 10 号 p. 21-24
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年危惧されている「理科嫌い」「理科離れ」の問題に対して,三重中学校では, 2005 年度から外部 連携による特別授業や科学部活動といった様々な取り組みを継続して行っている。その中で,科学技 術に興味を持つ生徒が増え,生徒が企画・運営することにより主体的に活躍する生徒が増えた。継続 するには,内部及び外部のネットワークを作ることが大切だと考えている。

  • 川田 博基, 小西 伴尚, 秦 浩之, 杉崎 隆, 南 創, 藤原 信也, 倉田 茂, 鈴木 伸明, 尾上 勝利, 茂森 則幸, 東本 達也 ...
    2018 年 32 巻 10 号 p. 25-28
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    現行の中学の理科教育の電気に関して, 発電や電気の利用は多く扱われているが, 送電がほ とんど扱われておらず, また, 教科書の中でも知識の暗記に留まっているため, 送電を学ぶ交流 について学習するプログラムを作成した。本校では作成したプログラムを、2014 年度より中学 3 年生に対して実施している。2014 年度の実践では, 本プログラムを通して学んでほしいと考えた 項目について生徒たちに尋ねた結果, 全員が納得に至っていなかったため, 補習授業を行った。 本発表では、2014 年度の実践を受け、改良した最新の 2017 年度のプログラムを紹介する。

  • 植田 達郎, 川田 博基
    2018 年 32 巻 10 号 p. 29-32
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    目に見えない現象を学習することは難しい。しかし複合現実(MR)は、そのような学習を支援する可能性を持っている。今回は、目に見えない現象として磁界をとりあげ、可視化教材アプリを開発し、授業プログラムを作成した。そして、8 つの機会で授業を実践した。授業するたびに様々な問題点・課題が判明し、教材アプリを改良し、授業プログラムを改善した。最終的に学習効果は上昇し満足度は良好であった。MR は目に見えない現象の学習を十分支援できることができることがわかった。

  • 崎山 琢人, 平賀 伸夫
    2018 年 32 巻 10 号 p. 33-36
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    学校と博物館が連携するためには,学校と博物館をつなぐ役割が必要である。本研究では,学校と博物館をつなぐ役割として博物館が作成するワークシートに注目した。博物館が作成した学校種・学年別ワークシートの問いの分析を行い,学校種や学年別の違いによる問いの変化の傾向を明らかにした。その結果,日本の学校と博物館の学習観の差が示唆された。

  • 小林 俊行
    2018 年 32 巻 10 号 p. 37-40
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 小池 嘉志
    2018 年 32 巻 10 号 p. 41-46
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    問題解決型授業では,全ての子どもが自力で問題の解決に至るということは難しく,通常は,解決できた子どもの解法を代表例として取り上げ,その解説を通して全体での理解へと導いていく。ところがその活動の際に,自力での解決に至らなかった子どもたちの十分な理解が保障されないという問題点が指摘されている。本稿ではその原因を,北尾・豊田らの提唱する精緻化の視点から考察することを試みた。その結果多くの解法理解場面で行われている,解法の全体を提示し代表の子どもがその解説を行うという学習形態では精緻化が困難であり,それが未解決者が十分な理解に至らない原因であることがわかった。その解決策として,解法を,解決した子どもの思考過程に即して部分的に提示し,その意味を十分に考えさせるという学習形態の有効性について考察した。

  • 田中 健二朗, 川上 紳一, 武藤 正典
    2018 年 32 巻 10 号 p. 47-52
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    次期学習指導要領では, 理科の学習において自然災害に関する内容の充実が図られている.日本は火山国であり, 多数の活火山が存在している.火山活動のしくみを理解すると同時に, 火山ハザードマップなどを活用して, 予想される被害を読み取る学習が想定されている.本研究では, 3D プリンタで御嶽火山の地形モデルを作り, 火砕流のモデル実験教材を開発した.火砕流の発生は, 地形モデルを水中に入れ, 粉末(カーボランダム)を混ぜた水を塩水中に流し込んで噴煙柱を生成し, その重力崩壊で火砕流が発生するようにした.開発した実験教材を用いて, 大学生と中学生を対象に授業実践を行い, 実験結果を御嶽火山ハザードマップと比較した.授業実践の結果をもとに, 火砕流モデル実験の学習効果と防災意識について, アンケート調査を行った.

  • 川上 紳一, 河合 佑里恵, 片田 誠, 橋田 千寿
    2018 年 32 巻 10 号 p. 53-58
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    クリメニアはアンモナイト亜綱に属する軟体動物の化石であり, 古生代デボン紀末期の限られた地層から産出するため, 示準化石の教材化に向いている.本研究では, モロッコ産クリメニア化石を大量に確保し, 分類を行って, 化石の形態から分類群を絞り込めるものを選び教材とした.一方, アンモナイト亜綱に属する生物の系統図や地質時代年表, 化石の同定に用いるアンモナイト図鑑を作成し補助教材とした.中学生を対象にした授業実践では, クリメニア化石の同定を行い, 地質時代を決定する活動を通して, アンモナイト類が示準化石であることや, 化石を用いて地層の年代が推定できることを, 実感を伴って理解させることを目指した.

  • ー研究所の科学コミュニケーション活動における実践を中心としてー
    倉田 智子
    2018 年 32 巻 10 号 p. 59-64
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    研究機関の科学コミュニケーション活動として実施される子ども向けの生物の観察体験にタブレット端末を導入し, 観察活動・観察データの記録活動・観察結果のまとめの作成の3つのパートからなるプログラムを設計した。生き物の観察を行い, 観察結果をタブレット端末のカメラでデータとして記録し, そのデータを利用して観察内容を電子ブックとして表現する活動の実践を行った。体験者によって作成された電子ブックは, 実施者へのフィードバックとして有用であった。また, アンケート結果からは, 電 子ブック制作に関する子どもたちの高い関心が示された。

  • 天羽 康
    2018 年 32 巻 10 号 p. 65-70
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    次期学習指導要領の改訂において,「理数探究」の新設が予定されている。「理数探究」に取り組むにあたり,深い探究を伴う教材,ICT 機器を扱うような教材,理科の現象を数学で探究するような教材に取り組んできたが,どの程度の数学の深さを求めるかに課題を感じていた。そこで,本稿ではピンポン玉が繰り返しバウンドする現象を通して,そこから生まれる数学的探究に私自身が高校生目線に立って考察を行った。どれだけICT 機器に頼るか,あるいはどれだけ数学的に思考し手計算で解決するかによって複数の教材化・授業化の可能性があることが明らかになった。

  • -距離センサを例として-
    飯島 康之
    2018 年 32 巻 10 号 p. 71-76
    発行日: 2018/06/23
    公開日: 2018/07/22
    研究報告書・技術報告書 フリー

    「理数探究」で必要な, 機器を使った測定データを基にした数理的探究についての知見を深めるため, 距離センサを小型コンピュータに接続して利用する探究の様子を提示し, 検討した。センサ等は内部を操作不可能なブラックボックスであり, プログラムを使いこなして各種の実験をすることになる。センサは電子部品だが, 数学的現象やコンピュータ上でのシミュレーションの場合と違って実際にはどうなるかを検証しながら探究を進めていく必要がある。その実験の精度などが取り組むべき探究の内容等に大きく関わることが明らかになった。

feedback
Top