生物を相手にして感じることは, これが途方もなく複雑だということである. 過去何世紀にもわたって, 生物は解剖され分類されて来たが, メンデルの法則を例外とすれば, 物理におけるリッツの結合法則やメンデレーフの周期律に見られるような発展は, なかなか出そうにもない. しかし, 生物の最小の部品である生体高分子の領域では, 生物の外見上のバラエティーは消える一方, 物理法則を客観的な寄りどころとして生命を見て行くことが出来る. そこでは, 生命とは何かということが, 何となく判ったような気になって来ているのである.
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