最近, 高エネルギー重イオンが原子・分子に衝突すると, 電子・陽子にくらべ, 何桁も多量の高電離2次イオンが生成されることが見いだされ, その生成機構の解明が進んでいる. 特長のひとつは2次イオンの反跳エネルギーが非常に小さいこと(eV/amu程度)で, 特に分光学的にはドップラー効果を最小限にすることが出来, たとえば, Ar
17+イオンからのライマン・アルファ線のエネルギーが5 ppmの精度で測定され, 重イオンに対するQED効果も比較的容易に測定されるようになった. 本稿では, こうした重イオン衝突で生じる高電離2次イオンの特長, それを用いた応用について述べる.
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